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「命令されなきゃ、憎むこともできないの?」(ブルーアーカイブ#3 エデン条約編3.私たちの物語)

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〇学で願いをかなえる会社(旧:鐘〇化学)で起きた過去の過労死事件について

いろいろと闇が深い感じある。

business.nikkei.com

個人的には人事や労働組合が機能不能になっているように見える点が一番問題だと思う

日経ビジネスのインタビュー記事を読む限りでは退職した社員は転勤自体は拒否していなかったのに「せめて数週間転勤の時期をずらしてほしい」という要望すら認めず「退職前の有給休暇の取得」も認めなかったとされている。つまり

①各事業部の部長などが独立して独自に人事権などを実質的に掌握し、
②人事と現場の方針がミスマッチだった場合、人事が現場を統制できない。
③さらに理不尽なことがあっても労働組合は機能しない。

などの問題がうかがえる。

・相談の結果は「日程をずらすのは難しい」とのことでした。労働組合も「日程の変更はできない」という意見でした。

・転勤はまだわかりますが、有給取得の申請が認められなかったのは黒に近いグレーではないかと。

・人事にも上長にも育休の取得を相談していました。東京本社での男性育休取得はほとんど例がなかったようで、人事は「こういう事例をつくりたい」と前向きでしたが、上司は本音では喜んでいなかったのだろう

ラノベにおける生徒会と人事って、何かと絶対権力を持つ悪者扱いされたりしますが、
本来はこういう「現場の暴走」を抑えて、社全体としてのガバナンスを守るための「機関」なんですよね。
今回の件で、よほどリカバリーが上手くいかないとそういうガバナンスが全然機能してない旧態依然とした社風だと思われてしまいそうです。



リーマンショック前にカ〇カで起きた過労死事件について

別にこの一件をもって〇学で願いをかなえる会社全体の社風を語ることはできないのだが、この会社では以前にも「理不尽な転勤」からの過労死が発生している。

www.osaka-karoshi.jp
www.osaka-karoshi.jp

亮一さんはうつ病を発症(同年10月下旬ころから11月ころ)する前において、単身赴任による出向、設計管理業務から機械設備の保全業務への変更、新規機械導入やISO業務の多忙による引継ぎの遅れ、更に発症前の月80時間を超える時間外労働等の出来事が生じていた。

「亮一には、出向に伴う遠距離の単身赴任と、従前はほとんど経験がなかったメンテナンス業務への従事という遠因があり、一人で24時間稼動の機器のメンテナンスをしなければならないという心理的な負担感があり、これが前任者の永井係長が退職する予定の中での短期間における引継ぎの不十分なままの終了が近くなったこと、これらをカバーするため、長時間労働を余儀なくされたことなどの要因が重なり、また、予定された設備係長ないし同課長としてのより上回る適応が期待されていたのに、これに見合う能力を身につけることが困難となり、自信を喪失し、看板塔の見積りミスもあり、相乗的に影響し合って発症し、自殺に及んだと推認される」として業務上と判断、国側の控訴を棄却した。

ちなみにこの時は「長年勤めていた業務から全く関係のない業務を行う子会社に急な転勤を求められ、わずか4か月後に自殺」している。リーマンショックの影響を受けての雇用調整の一環だったのかもしれないが、その結果転勤先で超過勤務状態ってなんだそりゃ。「二十年以上にわたり勤勉に会社に尽くしてきた人を、それまでの業務経験や知識をまったくといってよいほど活かせない職場に飛ばし、数か月で使いつぶす」というのは経営的にも合理性があるとは思えないし、会社と社員の信頼関係とかどうなってるんだという感じがする。

※余談だがこの会社はリーマンショックの深刻な影響を受けた2008年、2009年、2010年度ですら営業利益を黒字維持している。
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つい10年前まで、29年問題なく勤めてきた人が、転勤後わずか4か月で過労死しても訴訟しなければ労災認定が下りなかった

トヨタ過労自殺名古屋高裁判決(平成15年7月8日判決)につづく全国で2件目の自殺について業務上と判断した高裁判決であり、今後の精神障害・自殺の労基署長の労災認定実務に大きな影響を及ぼす判決である。

労働行政上きわめて重要な判例で、その後の過労死認定の基準となっている。 ※なお、この時の訴訟の相手はあくまで国(労基署)である点に注意。

国側が控訴審で精神科医を動員して立証しようとした故亮一さんの個体側の脆弱性につき、「資格マニアと言われる程に真面目で、勉強家でもあり、鐘化〇業及びカ〇カにおいて約29年間稼動してきたもので、この間、雇用関係で特段の問題を生じさせたこともなく、一方、酒は嗜まず、カ〇カ時代は禁煙に努め、剣道等も有段者であり、家庭的で、禁欲的とも評価できる程の嗜好や趣味、生活状況であったのであり、亮一の性格傾向の一面のみを捉えて隠れた脆弱性があると認めるのは相当ではないというべきである。」として、否定している。

というわけで、労働者側には残念なことだが、労災認定の基準は「最も脆弱な者」基準ではなく「平均的労働者」基準になってしまった一方で、「隠れた脆弱性」の主張については否定するという形になっている。

29年問題なく勤めてきた人が、転勤後わずか4か月で自殺に追いやられても訴訟しなければ労災認定が下りなかった時期があった。
そのころと比べたら、今は少しは世の中ましな方向に進んでいるのだろうか。しかし元がひどすぎて全然足りてないよね。



内部告発や人事・労組へのまっとうな訴えが機能せず、SNSテロでもしないと横暴な会社ほどやりたい放題な現状ってどうにかならないのだろうか

今回SNSで発信した人の勇気はたたえられるべきだが、こうまでしないと少しも改善しないし
ここまでやってもこの会社の場合変わらないかもしれない、って思うと、
いい加減「労働組合がまともに機能して、労働組合を通じて社員が守られる」って今の制度は前提が完全に違うので何とかしないとですよね。

労働基準法勉強したことある人ならわかると思うんですけど、「まともに機能する労働組合」の存在を前提とすれば、労働基準法ってアメリカとかと比べてめちゃくちゃ労働者保護が手厚いんですよ。いろんな条項に「労働組合の過半数の同意を必要とする」っていう条件があります。会社側は労働組合の同意を得ずにいろんな不利益変更はできないし、何か問題があった際の労働組合の団体交渉権なども結構保障されている。その代わり、労働組合が会社のポチだった場合、労働者個人で会社と争う手段は逆にものすごく脆弱です。

そのせいで、労組がやたら強いせいで社内政治が激しくなった「日産」などの事例がある一方で、今回の件のように労組が会社の味方をしてしまうとほとんど何もできません。そして退職して社員でない個人になってしまうと、めちゃくちゃ面倒くさいことになるというのは下記の記事でも語られています。

anond.hatelabo.jp

これは日本の福祉が会社依存が非常に強い代わりに正社員でなくなったら国からの福祉が非常に弱い点と同根の問題です。国はいろんなものを会社に丸投げしすぎて、だからこそ国は会社(特に大企業)に頑張ってもらわないと簡単に崩壊してしまう。だから大企業を優遇せざるを得ない。


この状況を何とかしない限りは、SNSテロは今後も無くならないんだろうなと。






「過労死」が全然他人事と思えない社会ってなんかすごく嫌だけど、認識が広まらないと改善しない

ja.wikipedia.org

www.kobe-np.co.jp
こういう話はいろんな高校でちゃんとやってほしいなって思う。灘はちゃんとやってて偉いな。

ご年配の方々もいい加減「昔は良かった」「最近の若者は」からは脱却してほしい

ちなみに、W〇LQで炎上した某企業に勤めてる友人曰く、その企業は育休制度がめちゃくちゃ充実してて、半年間育休を取ってる男性が何人もいるそうです。会社大好きなうちの父親なんかはこういう企業を蔑視して、東大卒の人間などがこういう会社に行くことをよく嘆いているわけですが、若者からしたら、父親が通っていたような「上の世代の給料を維持するために若者の給料を全く上げない」会社より、「若者でもチャンスがあって」「社員を大事にする企業」というところを目指すのは当たり前だよなって思う。うちの父親みたいに、最近の若者がってなんでも若者のせいにする人は、いい加減「自分が若者だった時は良かったけど今の若者にとって魅力的な会社か」ってのをちゃんとゼロベースで考え直してほしいなって思う。*1

人口比率が非常に高い団塊世代の人たちが、このあたりの認識を変えてくれないと、民主主義の社会では今の会社の仕組みって変わらないのかも……。

*1:実際には、うちの父親の時代は今より労務環境はずっとひどかったのは事実です。だからその点だけをもっていえば「最近の若者は甘えてる」っていうのは間違いじゃない。一方で、父親の時は働けば働くほど報われるという感覚が非常に強かった。父親の保険資料とか見たらインフレのせいもあって入社10年間で給料10倍以上になってるんだよね。そんなん今考えられる?絶対ないでしょ。そんな時代に若者だったら、そりゃ消費もするし仕事も頑張るよね。そのあたりの比較抜きに、一方的に会社を擁護して若者批判と安倍批判ばっかりやってる父親は、やっぱり子供からしたら「老害」に見えてしまってとても悲しい。とにかく絶対に会社側を批判しないんだよね……。