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の続き。
今回は作品紹介じゃないので純粋に自分の感想を書きます。
「人間の敵なのに主人公の旅に同行する」という複雑な立ち位置のキャロットというキャラが面白い
元は「寄生獣」のように人間を殺す本能を持って生まれた「鬼」という存在だが男主人公「キビツミコト」によってすべての力を奪われ人間と同等の存在になってしまう。処刑されそうになっていたところをもう一人の女主人公「サリー」によって救われて一緒に旅をするのだが当然自分の帰属意識は「鬼」のままである。
だから、主人公が一方的に「鬼」を倒す展開を良しとしようとすると、その都度「鬼だってちゃんと思考をもって生きてる存在なんですけど」「鬼が人間を殺すのと人間が鬼を殺すのって何が違うんですか」と価値観を相対化させに来る。
とにかく主人公のサリーがアホの子で直情的に考えて行動するので、周りの亜人や鬼が「あんた本当にそれでいいの?」って一時停止を促すというのはいい感じ。
こうやってキャロットがチクリと嫌味を言うのは自分を助けてくれたサリーのことは好きで、サリーも差別をなくしたいと宣言したから彼女なら信じてもいいのかな?って思ってついてきてるわけなんだけれど。
肝心のサリーは行動が適当過ぎるために、だんだんサリーのことを信じられなくなってきて人間のことがますます嫌いになっていくキャロットがかわいそう。
結局とある街で、自分の慕っているフラウがひどい差別を受けていることに我慢しきれず暴走してしまったりもする。このあたりの展開は非常におもしろかった。
ただ、最終的には、なんかうやむやになってしまっている。まだまだこのキャラにはアホの子のサリーを制してほしいので今後も頑張ってほしい。
この作品今のところは、どうしても「うしおととら」みたいな超ウルトラ神作品に比べると明らかに描写不足感がある。また、このあたりの種族差の描写に特化した作品においても「塵害魔京」という作品があって、今のところそういう作品と比べるとちょっと物足りない感じはあります。
でも、このキャロットっていうキャラだけは何気にいろいろとおいしいなーと思ってます。この後「敵の鬼がキャロットに惚れており、キャロットは人間に無惨に殺されたという嘘を信じて襲い掛かってくる」という展開があるので、このあたりで見せ場作ってくれそうな気がする。
キャロットの可愛さを眺める作品と思って楽しんでます。
ところでこの作品、割とランスシリーズっぽいなと思ったり。
まず鬼という存在がいて、鬼は人間を襲って殺すように作られている。(ランスシリーズでいうと使徒)
そして、その鬼を生み出し統率できる上位存在がいる。(ここが魔人)
さらにその上がいるみたいだけれど、まだ明らかになってない(いるなら魔王だよね)
一方で、鬼の勢力が強くなると「鬼殺し」の桃太郎の血を持った人間が生まれる。
この作品の場合はキビツミコトとサリーの両方なのだけれど。
個別の事例で見てもランスシリーズを意識してる感じある。
たとえば「吸血鬼」。これ鬼畜王のときのレイとメアリーの関係だね。
吸血鬼は人間の女を好きになってしまい、お互い愛し合っていたんだけれど
鬼の本能であるときその愛していた女を殺してしまい、
そのあとは絶望してただ死を待つのみになっていた。
また、鬼を生み出せる存在「ジュセリノ様」と「皇鬼」の関係は
ランス6のカーミラ様とアベルトくんそのものだよなぁって思いながら見てる。
そういうランスオマージュを強く感じるところが好きなのだけれど、
ただ、ランスシリーズとただ一つ違うのは主人公。
とにかく女優先でぶれないランス様と違って、ブレまくりだし考えなしすぎてちょっとイラっとする。
望む道には得体のしれない男
望まぬ道には大切な…
どちらを選ぶ?
ただ、だからこそ迷いなく突き進むランス様とはまた違った意味で面白いという面もあって、
イラっとさせられた分、ちゃんと後で納得する展開を描いてほしいなと思っています。
まだ期待は維持できるレベルだと思うので引き続き読んでいこうと思います。
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