先の記事で紹介した2か月前に書いたツイートにちょっとした反応がありました。
まりんこゆみ5巻より。
— よしき (@yoshiki_anime) July 13, 2019
海兵隊というかアメリカ人の合理性みたいなのをすごい感じられるマンガ。
こんだけIT発展すると、長期戦になればなるほど日本って弱くなるのはそりゃ当然だよなあって思いますね pic.twitter.com/ylnbuYdNMx
多分皆さんもこういう「休まないことの不合理」みたいなのを体感したことがあるんだろうな、と思います。すごいわかる。
なので、このツイートに関連して「マスターキートン 交渉人のルール」を紹介したいと思います。ご存じの人も多いかと思いますが、ぜひ読み返すきっかけにしてください^^
「決められたタイミング以外で、自分の意志で休むこと」を罪悪だと感じがちな日本人
韓国ほどではないにせよ、日本人は休むことを罪悪と感じる傾向が非常に強いです。
これは、やはり子供のころからそのように教育されており、その結果会社組織でも「休まずに働く人間が偉い」という価値観が支配しているからでしょう。
なぜ日本では休むことが悪いことなのか。原因は卒業式で皆勤賞を祝っているからだと思った。堂々と有給とりたいよぉ・・・。 - ぼさとの定規
さらに、質が悪いのが、卒業式のときに皆勤賞や精勤賞を祝うということです。例えば、中学、高校の三年間で一度も休まないほうが異常なことだと私は思います。
それは、絶対に行かなければならないということを美徳とし、どんなに体調が悪くても出席をするということです。
発熱をするということは大なり小なり、感染症の疑いがあるはずです。それなのに、休んではいけないものだと主張して、周りに感染することを考慮せず、自分勝手に無理をして出席するとなぜか賞賛されます。
学校教育でも「皆勤賞」と「不登校」の中間が弱く0か1で考えてしまいがちで、学ぶ意思はあるけれどしんどくて全部は無理だって人間はどうすりゃいいんだって思いますよね。
ホワイト企業に勤めてたけど発達障害のせいで適応障害&鬱になって退職した時の話 - 頭の上にミカンをのせる
こういう「皆勤賞と尊ぶ文化」って、決して合理的ではないし、ましてや賞賛されるようなことではない、ということ。「しっかりと休むことも立派な仕事の一つであること」。日本企業や学校教育はこの2点について意識改革をしていってほしいなと思いますね。
なお、日本人は有給休暇を取らないせいで、「祝日」は世界でもトップクラスに多いそうです。そのせいでますます有給休暇を取りづらい雰囲気になっています。悪循環もいいところ。「国民がいっせいに休暇を取る」のは本当に効率が悪いので、祝日を減らしてもいいから有給休暇の日数を増やして消化率100%を目指してほしい。有給消化率95%以上じゃない企業が働きやすい企業ランキングとかになってるの、評価基準がおかしいのでは?
さらに「日本人の休日に対するの考え方」について、文化的・歴史的な背景とかあったら知りたいなと思います
たとえばこんな感じで。
詳しくはもっとあるんだと思いますがそのあたり詳しく説明してくれてる話とか読んでみたいです。
安息日という掟の後ろ盾がないため、日本では未だに、「休む」というのは「働かないこと」というネガティブな定義で、「休み」は権利ではなくて上からの恩恵にすぎない。雇い主やエライ人から「少しくらいなら怠けてもイイよ」と与えられる。ので、休日返上は勤労者の鑑みたいに賞賛される。
一方、安息日文化圏では、怠け者より、安息日を破った者のほうがよっぽど激しい非難を浴びせられる。そういう文化的土壌を何千年もかけて形成してきたのである。現代においてようやく、信仰云々とは無関係に、合理的な空軍や航空会社では、パイロットはフライトミッションの前に必ず一定時間休息を取ることを義務付けられるようになった。
ガンダムでもマチルダさんがアムロに「寝るのもパイロットの仕事のうちですよ」って言ってましたっけね。マスター・キートンでも、ネゴシエイター(人質解放の交渉人)の、任務としての睡眠・休息の義務が描かれていたし。体力的な面だけでなく、状況に応じた的確な判断を下せるように、頭脳の休息もミッションのうちなんですよ。
https://chap-chap3.hatenablog.com/entry/20141122/p1
と、前置きが長くなりましたが、マスターキートンのお話です。
「マスターキートン 交渉人のルール」は初めて読んだとき印象が強くていまだに覚えてる名エピソード
はてなの人はたぶん80%くらいの人が読んでると思われるマスターキートンですが、特にこの「交渉人のルール」の回は人気が高いと思います。
状況は圧倒的に向こう側が有利。しかし、我々と滝田氏の間には信頼関係がある。
そして、われわれの戦略は奇妙に思われるかもしれませんが、誘拐犯との間にも信頼関係を形作ることです。
そう、犯人は血も涙もない。でも信頼しなければならない。
そう……信頼するしかないんだ。
原作だと4巻です。人気が高いせいか単体のエピソードも販売されています。
アニメだと8話。バンダイチャンネルやAmazonプライムで見ることが可能です。もし見たことがない人はぜひ見てほしいです。
私はこの回が格好良すぎて感銘を受けたので、それから何冊かリアルのネゴシエイターが書いた本をよんだほどです。どれもめちゃくちゃ面白かったし、マスターキートンで書かれていることは本当でした。
交渉人って話術とか戦略も大事だけど「チーム戦」であり、NYPDの場合は「決定者と交渉者」は完全に別なんですよね。直接交渉している人が情に流されて決定しないように。
こういう「万全の体調で」「チームとして」戦い、そして、成果をあげればそれに報いるという仕組み作りができているは本当に強いなとため息が出ます。よくネットで「生産性」の議論とかになった時、個々人の問題にせず「チームとして成果を上げる方向」の議論がされないのを見ていると本当に情けないなと思う。
なので、みんなもマスターキートンを読んで、子供にも読ませて「大事な時にはしっかり休みを取るほうが正義だ」って考えに今のうちから意識をアップデートしていきたいですね。
日本3大電話交渉マンガって面白いな
自分もこの後藤と内海の対話回は、日本漫画における
— gryphon(まとめ用RT多) (@gryphonjapan) June 9, 2017
「3大電話交渉マンガ」と位置づけている。
あとの2本は
・浦沢直樹「MASTERキートン」での誘拐犯とのネゴシエーション、
・魔神ぐり子「楽屋裏」での地方在住マンガ家と編集者の攻防(笑) pic.twitter.com/7Fx8NGB0tV
「楽屋裏」は読んだことなかったので、kindle unlimited入ってるし読んでみようと思います。
魔神ぐり子先生の楽屋裏、kindleUnlimited対象になってるから読もう!面白いけど半分くらいは金がらみの事だ!(´・ω・`) pic.twitter.com/nvAKSlwqgh
— あるふぁ (@a03nyan) September 5, 2016