おすすめ度★★★★★(文句なし傑作)
狐というのは時代をさかのぼれば瑞祥とされるんだ。出会えばいいことがある
以前マシュマロでおススメしてもらって以来買ったまま積読状態だったので、引っ越し前の整理で読んでみました。
紹介してもらったその場で読めばよかったと後悔!これめっちゃ面白かったし何より私好みでした。
紹介してくださった方、本当にありがとうございます。
「異界」もの醍醐味を味わえる、今の常識が全く通用しないぶっ飛んだ世界観がめちゃくちゃ面白いです
この記事で言う異世界は「現代のわれわれと異なる理で動いてればOK」くらいの緩いノリです。
この基準で言うと、この作品で描かれている「古代中国」っていうのは普通に人の理と妖怪の理が混在している異世界といってよいのかな、と。
そんな「人の理と異なる理で生きる妖怪が自然に存在する」時代を舞台にして、妖怪側に属する主人公が、いろんな歴史上のイベント時に現れては人間をからかって遊ぶというお話。
「蟲師」の他にも、今アニメ放映中の「FGO7章 絶対魔獣戦線バビロニア」とか私がめちゃくちゃ好きな「もっけ」あたりを思い出します。
「化物語」や「メルブラ」みたいに人格が見えない妖ではなく、人間以上に知性が高く人間味がある妖から見た人間たちの姿がコミカルに描かれてて読んでてとても楽しい。
中国の古典って良い意味で頭おかしくて面白いものが多かったよねw
実際にこの時代に古典とか書いたり読んでた人たちってこういう感覚で世界を見てたのかなって思ったら、創作話ってめちゃくちゃ面白かっただろうなーって思う。
この時代の人たち、今の感覚だったら「ありえない」と切って捨てるような荒唐無稽な事象を、「妖だったらやりかねない」って感じで当たり前のように起こりうることとして受け止めてるし、そもそも人間たち自身が今の時代の倫理観だったら完全にぶっ壊れてる行為を平気でやるので、もうとにかく「なんでもあり」感がある。
私は高校の時に漢文で登場するエピソードとか読んでるとき、今の基準で考えたら頭完全にイってるおかしな話が多くて好きだったんですけど、その時の気持ちを思い出しました。
漢文嫌いな子にこれ読ませて、漢文ってこんな感じの頭おかしいエピソードいっぱいあって面白いから探してみろって言いたいし、
「なろう系」の作品書いてくれてる作家さんにこれ読ませて、「異世界ものやるなら、このくらいぶっ飛んでてもええんやで」って言いたい。
個人的には「図書館の大魔術師」「とんがり帽子のアトリエ」以来久々に「これは推せる!」って感じた作品ですのでぜひ皆さんも読んでみてほしいです
最近マンガ読む冊数自体が絶対的に減ってきましたし読むのもなろう系とか増えてきたりしてていろいろと「漫画楽しむ筋力」みたいなものが衰えてきてるのを感じましたが、そんな私でも久々に問答無用でおもしれー!って感じる作品でした。
とにかく1巻だけ読んだだけでも満足度すごく高かった。ほかの漫画だと3冊分くらいの密度があると思います。
環境が落ち着いたら絶対に続きも読みたいです。