「鬼畜野郎が主人公のファンタジーで」
— あさひんご (@asahineru) March 28, 2020
(ランスかな?)
「一目ぼれした女が奴隷にされそうだったから全財産はたいて購入して」
(ランスっぽい)
「ヘタレなので告白もできず奴隷扱いで接する」
(絶対ランスだわ)
「魔導士が主人公の作品」
(ランスじゃないだと!?)https://t.co/pODAFMylEe
4巻まで読みました。
某レビュワーさんが意外と面白かった!というので読んでみたら本当に面白かったです。
私は基本的になろう系作品はサブブログの方で紹介しているのですが、これはタイトルで敬遠されそうなのがもったいないのであえてこっちのブログで紹介しておきます。kindle unlimited対象商品なので、登録している人はぜひ読んでみてください。
なお、3巻までが原作小説1巻までのひとまとまりの内容なので、どうせ読むなら3巻まで読んでください。*1
これ絶対にランスシリーズ好きな作者さんが書いてるよね?
というか、この作者さん絶対にランスシリーズ好きだろ。
以前も別の作品でランスシリーズの影響をめちゃくちゃ強く感じたけれど
www.tyoshiki.com
「小説家になろう」にはランスシリーズの影響受けてる人多いよね。
それにしても、この作品に至ってはもうドストレートです。
なんなのこのシィルが好きすぎるランスみたいな設定は!
主人公は魔術師で、人のことなどどうでもいい鬼畜野郎なのですが、奴隷として買ったヒロインの女の子の存在が外付け良心回路になって「結果として」人助けのようなことをしたりヒロインの存在が中和剤になっってヒロイン以外の人間とも交流関係が発生したりする展開がまんま過ぎて笑いが止まらんです。 (ランス10におけるシィルの食券イベント1っぽい)
設定の時点でニヤニヤしてしまう上に、作者さん自身がきちんと話を作るのが上手でいいラブコメの波動を感じる……
それでいて、さすがにランスシリーズは今の時代だとそのままでは無理なのでうまい具合に現代風に調整されています。
さすがに主人公のキャラクターはランスには及ばないものの、
主人公は魔導士ということで、「できること」がいろいろと多く、
また、さすがにランスよりは大人で、ヒロインが好きっていうことへの自覚はあります。
その自覚を持ってヒロインとコミュニケーションを取ろうとするのでちゃんとラブコメになってる。
「マグダラで眠れ」とか「賭博士は祈らない」を思い出しますね。こっちも私結構好きな作品です。
- 作者:有坂 あこ
- 発売日: 2013/10/04
- メディア: Kindle版
- 作者:えかきびと
- 発売日: 2018/07/23
- メディア: Kindle版
ラブコメ描写だけじゃなくてストーリーもちゃんと独自性あって好き
そもそも最初は「魔王」じゃなくてただの「魔術師」です。
ただ、この世界の魔術師は、人倫を外れたものとして存在自体が嫌悪されるものになっています。また、この世界の魔術は「とんがり帽子のアトリエ」のような仕組みに近く、強大な力を持つ割りに基本的に個々人ごとにその中身を明かさず、世のために使うわけでもないので嫌悪されがちなんですね。
そのために、魔術師を殺すことを目的とする聖騎士という対抗勢力に命を狙われたりもします。
主人公はそいつらに、ヒロインに手出しさせないためにも「魔王」の地位を目指すという感じですね。
ヒロインはヒロインで、主人公に従い守られてだけの存在ではないです。自分を一方的に守ろうとする主人公の意志をはねのけ、自分の意志を持って主体的にかかわろうとします。さすがにもう受け身なだけのヒロインが受ける時代ではないってことですね。(ランス10第一部ではシィルも割と主体的に動いてますしね)
そんな感じで序盤こそ「ランス」まんまやんけ!って言いたくなるような作品ではありますが、ちゃんと現代風のボーイミーツガールになっていきそうな予感のある、なかなかに楽しみな作品です。
余談として、この作品は他にも「魔法科高校の劣等生」など作品を参照している感じがするところといい、きちんといろんな人気作品を咀嚼して再構成することでオリジナリティにつなげている感じがするので、そういうところが同じオタクとしてすごく好ましいなと思うのです。超傑作ではないですが、「小説家になろう」らしい、それでいてラノベとして見ても普通に面白い作品だと思います。おすすめ!
*1:タイトルが綺麗に回収されてお見事!ってなりますよ