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「ネット証券、口座開設が急増 株価急落で初心者参入」についてリーマンショックの時はどうだったのか?

リーマンショックおじさんのマウント怖いよー:;(∩´﹏`∩);:


さて、実際このブログを読んでくださっている方の中にも、この下落を機に投資を始めようと思われている方がいらっしゃるかもしれませんので、いろいろとリーマンショックおじさんの話を紹介しておきます。

リーマンショックの時も同じようにネット証券の口座開設が急増した

リーマンショックの時、一番安値を付けたのは2008年10月27日です。さすがにそこからは少しは戻しました。

10月17日から始めた場合、いきなり日経平均9000→7000割れの洗礼を受けますが、それでも耐えきったのであれば、2009年ころには累積積み立ての効果で元本を回復できていることになりますし、一週間遅れならほぼ底です。

意外と初心者は賢いって結果になるかも?

現在ってリーマンショック末期じゃなく2007年9月(サブプライム問題の顕在化)や2008年3月頃(バリパショック)の雰囲気に近いと思うんですよ

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https://moneykit.net/pdf/info/nikko080104_1.pdf

私も当時投資やってませんでしたが、過去の資料を見ると今って、2007年9月くらいの空気感だと思います。仮に2008年3月頃の雰囲気だとしても底打ちまではまだ遠いと思います。

私はインデックス投資をするにしてもまだこのタイミングではとてもお勧めできませんし、こういう話をせずに「今から積み立て投資始めましょう」って煽ってる人ってあんまり信用できない……。どう考えても二番底あるでしょ。

実際にリーマンショックを体験したリーマンショックおじさんかく語りき

私の知り合いにも「リーマンショックおじさん*1」がいます。

この人にいろいろ話を聞いたりするのですが当時がどんな雰囲気だったかというと。

2007年末頃には「2008年は前半はじりじりと下がっていって厳しいけど企業の自社株買いが支えてくれるはずだよ」って割と楽観的な空気が強かったそうです。いくつか問題のある企業は倒産や上場廃止で退場しましたが、株価も大分下がったし、問題は残っているけどそれらもある程度織り込まれたと思っていたのです。

www.tyoshiki.com

サブプライムローンで発生する損失は1000億ドルくらいと見込まれていたし、それ自体はそこまで間違ってなかった。恐ろしくでかい金額と思うかもしれませんが、金融市場においてはこれだけで市場が傾くほどの金額ではない。本当に問題なのがこれだけなら、市場はコントロールできた。

だから真のリスク(ブラック・スワン)についてみんななかなか気づかなかったんです

考えてみてください。破綻したリーマン・ブラザーズの負債総額は6,130億ドルです(ちなみにリーマン・ブラザーズの売上は600億ドルくらいでした)。1社の負債だけでサブプライムローン全体で発生した損失総額よりはるかに大きい。たとえサブプライムローンが全部0になって、それを全部リーマンが被ったとしても残り5130億ドルはどこから来たんだ、となりますよね?

実際、2008年2月には「下がっている今がチャンスだ」と株や投信を教えるスクールができたり、2008年5月頃にも初心者向けの情報が増えました。マネー雑誌では割安株や高配当株を推奨していました。

リーマンショックの時は何の指標も通用しなくなり真っ暗闇の中でひたすら恐怖に耐える日々。さらに本当に厳しかったのは2009年に入ってから

ですが、いざリーマンショックが起きた後、翌年に入って2009年から各社の業績が発表され始めると、こうしたファンダメンタルジはすべて崩壊しました。

ほぼすべての企業が赤字になったのです。黒字を維持した企業もニトリやユニクロ、コンビニなど一部の企業を除いては軒並み業績がガクッと落ち込み前年比90%減益などになりました。


つまり、株価は下がりましたがそれ以上に利益が下がったため「PER」などまるで役に立たなくなりました。

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https://nikkeiyosoku.com/nikkeiper/

多くの企業で減配になったり無配当になったりしたためマネー雑誌で煽っていた配当利回りという指標は全く機能しなくなりました。(その時に配当を維持したり優待を維持した会社の場合利回り10%の企業がゴロゴロしていたそうです)。また当時新興企業は粉飾が結構あって、実は数字自体がぜんぜんインチキだったと判明したりしました。本当に無茶苦茶でした。

後から考えればリーマンショックの時、銀行系以外なら倒産しなかった会社はだいたいどこを買っても大きな利益になっているはずです。ですが、当時はどの企業もつぶれてもおかしくなかった。どの企業が生存できるかが四季報などの表面的な情報や数字を見ているだけではまったくわからなかったんですね。数字だけ見ていてはわからない「本当の強み」を持つ企業を探す必要が出てきたわけですね。*2

今回のコロナショックでもマイナス効果が数値として出てくるのはこれから

今回のコロナショックにより、次回以降の決算では悲惨な数字がどんどん出てくることはほぼ確実視されています。

というか、すでに丸紅をはじめとして悲惨な数字が出始めています。
www.nikkei.com
business.nikkei.com
www.nikkei.com

今回のポイントは「減損」になるでしょう。まず体力のある会社が「減損」という形で損出しをしてくる。次に翌年度の計画下方修正もやってきます。 *3

さらに言うと、企業はアホみたいに内部留保があることは知られていますが内部留保は現金の形ではなくかなりの割合が有価証券に化けているので現金が必要になったらいろいろ売られると思います。ソフトバンクがアリババ売るかもっていうのはほかの会社にとっても他人ごとではありません。どこの会社がどの会社の有価証券持ってるかとかも把握しておいたほうがいいです。

トータルで見ても3月決算におけるマイナスまではすでに株価に織り込まれているとみていますが、4月以降の経済のダメージはまだ全く織り込まれていないと思うので、東京をはじめ各地での感染爆発が抑え込めるかどうかがものすごく重要になってきますね。あまり楽観視できる状況ではないと思います。

ということを考えると現在のPERはあまりあてになりません。企業の真の実力を見極める自信がないのであれば個別株投資はかなりリスクがあると思っています。そのあたり考えるのが面倒な人はインデックス投資するしかないと思います。



リーマンショックおじさんには手を出すな

さっきのリーマンショックおじさんに話を戻します。

この人は2009年にもフルポジで投資を続けたそうです。下手をしたら0になるリスクがあるから企業選びには必死で、決算書類を読み込むだけでなく社長や事業部長まで把握し、その企業の強みをじっくりと掘り下げていったそうです。今でも会ったときに自分が投資しようとしてる企業の話をすると「他社と比べてどのあたりが強み?」「その会社の経営者や営業部長はどんな人?」などと聞いてきます。私はそこまで必死に企業分析をしたことがあるかというと自信をもってYESとは言えません。こういう経験があるからリーマンショックおじさんは強いのだと思います。
今からの相場で個別株投資をするというのは、こういう恐ろしいおじさんが巣食ってる場所に飛び込むことだ、ということを忘れないようにしておきたいです。


とはいえ怖がり過ぎなくても大丈夫です。「成長する業種」「偽物ではない長期的なトレンド」を見出してそこで割安な株を見つけることさえできれば(たいていの有望業種はどの企業も割高です)、リーマンショックおじさんを相手にしなくても大丈夫です。間違っても下落相場で煽り屋のいう人気株なんかを買わないようにだけは気を付けてほしいなと思います。


長々と書いてしまったのでまとめ

・私はここが底値になるとは思ってません。直近最安値15900は下回っていく可能性があると思って危機感を持っていますし、そうでなくとも長期的な買いはVIXが収まってからでよいと思います。ここ数日の動きを見る限りバフェットはダウが19000を下回った水準でしか買ってきてないので、19000がバフェットが許容する上限だと理解しておいたほうが良いと思います。(19000でもちょっと割高だとみている可能性があります)


・コロナ対策に早期に成功した場合はバブルの可能性もあると思っていますがその場合は反動による下落はより厳しいものになると思います。その場合積み立て投資だと無駄な高値掴みをすることになるので結局お勧めできません。こっちのシナリオを見込んでる人はむしろ積み立て投資ではなく短期的に儲けに行くつもりでやったほうがいいと思います。


・長い目で見たら今より高い水準に株価が回復する可能性はかなり高いと思っているので、インデックス投資をやるつもりの人は「上がる前に来る長い停滞期を耐える覚悟がある」のであれば今からやってもいいと思います。そうでない人はとりあえず口座作って1年くらい少額で積み立て投資をやってみるといいと思います。「少額積み立てなら」松井証券か楽天証券をお勧めします。
11/16 A8フェスティバル大阪レポート② 実際にユーザーの私が松井証券のおすすめポイントを紹介します - 頭の上にミカンをのせる



・基本的に自分で勉強せず煽り屋やアフィリエイトブログのいうことを真に受けるような人はそもそも投資向いてないと思います。相場が右肩上がりの時期は「みんな幸せ」になれる時期でしたから比較的平和でまともな情報発信も多かったと思いますが、右肩下がりの時期は「弱者からお金をむしり取って生き延びるゲーム」にかわります。ここからは特に煽り屋やアフィリエイトブログは危険な存在になります。自分で考える力がない人はただのカモになります。投資は「自分の力で儲けられる力を手に入れよう」を目的にして勉強すれば面白いし必ずためになるので、そういう人に投資をやってほしいなと思います。


余談 1929年大恐慌の時のチャート

*1:リーマンショックを生き延びてその後資産を20倍にふやした仙人みたいな人です

*2:例えば一番厳しかった不動産系・ホテル業などでは、「開発」や「再販」メインの企業は売り上げが消滅し、もともとレバレッジを掛けすぎて財務状況が悪かったため銀行からも見放されて潰れました。その代わり①相場が下り坂に入ったことを察してあらかじめ増資してキャッシュを確保し財務健全化に努めていた先見の明がある経営者の企業②「賃貸」や「メンテナンス」など定期的にキャッシュを得られる事業を実施していた企業③他社にない強みを持っていた企業などは銀行が積極的に救済し、リーマンショック後に大きく成長することになりました。具体的には賃貸事業を持つサムティや、ドーミーインを持つ共立メンテナンスなどです。よくネタにされるフージャースもリーマンを生き残っただけでめちゃくちゃすごいと思います。

*3:会社に勤めている人ならわかると思いますが、アベノミクス以降目立った不景気がなく10年以上ずっと前年比プラスを強いられてきた会社は、やばいやばいといいながら「今年は赤字になってもいいんだ」って一息をついてる管理職の人いませんか? 見せかけの好景気がだらだらと続いてきた数年間。高く推移する株価を維持しなければいけない上場企業だけでなく、中小企業でも社員を酷使してでもなんとかプラスの結果を出さなければとしてきた会社は多いでしょう。そういうところがバンザイしてきたりしますのでそういう意味でもしんどいですね。