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「命令されなきゃ、憎むこともできないの?」(ブルーアーカイブ#3 エデン条約編3.私たちの物語)

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「売春婦」は被害者でありかわいそうな人でなくてはならないという固定観念が、一人の女性を自殺に追い込んだというお話

※あくまでフィクションのお話です



ホームレスの話に関連してなんとなく思い出したので「絡新婦の理」の話でも。





本作品は京極堂シリーズの中でも「フェミニズム」「婦人運動」が殺人事件にかなりガッツリ関係しているストーリーになっています。


フェミニズムが人を自殺においやったり、殺人犯を作り上げてしまうというかなりグロテスクな話

フェミニズムは女性に対する差別をなくそうという考え方で、それ自体はとても素晴らしいと思います。

しかし、そのフェミニズムの考え方を杓子定規に適応しすぎると、

時には守りたかったはずの女性の尊厳を否定し、傷つけてしまうことだってあります。




本作品では、石田芳江という女性の自殺にフェミニズムが絡んできます。

あくまでこの女性は自分の自由意志で不特定多数の男性と関係を持っていました。

しかし、ある時それを根っこから否定され、「金で身体を売っている可哀想な女性」というレッテルを張られたことにより尊厳を破壊され、それが原因で自殺してしまいます。





さらにいうと、本作品の場合、

・連続絞殺魔の動機にも

・連続目潰し魔の動機にも

ことごとくフェミニズムが「黒幕」によって殺害の装置として利用されるという現象が起きています。





もちろん、作品としてフェミニズム自体が悪いという主張は一切ありません。

というか、京極堂(秋彦)自身が自らフェミニストを名乗っていますしね。
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フェミニズムに関するうんちくも語られます。
時代が時代故にフェミニズムに色眼鏡を持っている男性の方が多いですが、秋彦はそれらを逆に一蹴するくらいです。


ただ、売春や近親相姦、女系一族と男系一族の主導、そして敗戦後の米軍慰安施設のエピソードなど、いろんな意味で女性の性が絡む本作品においては

杓子定規なフェミニズムでは対応しきれませんでした。

それゆえに本作ではすべての事件を操っていた「蜘蛛」によりフェミニズムが利用されてしまう、という展開になっています。



こういう作品が今から数十年前に書かれていたというのが本当に驚きです。



繰り返しになりますが、この作品の前半で出てくる男たちは男尊女卑のどうしようもない人間が多く、
それに対して女性たちはとてもしっかりしているので、あんまりフェミニズムそのものが悪者、って印象はないですけどね。


ただ、この作品でも「フェミニストの人が、あまりにも杓子定規すぎて怖い」って描写はちょこちょこあったりします。
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何が言いたいのかというと

「人道主義」でも「フェミニズム」でもいいんですが。

ホームレスのことをあんまり知らない私らがろくに知らないのにあーだこーだ決めつけて語るのはやめた方がいいんじゃないかなってことですね。



本作品で語られていたフェミニストたちのように「こうであらねばならぬ」と決めつけて、
その「正解」にしがみつきすぎたり、「正解」でないものを排除しようとすると
そこに「憑き物」が出てくるんじゃないかと思ったり思わなかったり。

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一般論は一般論としてポリコレでいいけど、
個々の事例に対してその一般論を杓子定規に当てはめるだけの人はやっぱり苦手だなあと。

一般論は基準としてあってもいいのだけれど、
個々の事例についてはちゃんと1つ1つ是々非々を丁寧に考えられるようにしたいですよね。


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「バトルグラウンドワーカーズ」4巻 ホームレスのシーン