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「命令されなきゃ、憎むこともできないの?」(ブルーアーカイブ#3 エデン条約編3.私たちの物語)

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『そうだ、売国しよう』 圧倒的に弱い立場から「敵国の力を利用して」のし上がっていく話

民にとって国なんてものはただの器だ。どんな国だっていつかは滅びるもんさ。それがたまたま俺たちの代だってだけだよ。俺(国)がいなくなろうと、新たな為政者のもとでしぶとく生き延びるさ。

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北の小国ナトラの王子であるウェインが主人公。

ナトラは赤字続きで産業も脆弱な弱小国であり、南の大国アースワルド帝国と戦っても勝てるわけがない。かといって属国のようにふるまっても国民からの反発を受けて失脚してしまう。

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まずは帝国を利用して自国の軍備を強化する

そこで王子は、圧倒的に弱くて戦っても絶対に勝てないという立場を逆に利用して、帝国に積極的に恭順の姿勢を示す。

これにより、帝国からの武力制圧の可能性をつぶすどころか、帝国からナトラ軍への支援を引き出す。「未来の帝国軍になりますよ」という建前で軍の維持費も支払ってもらうし、技術供与もしてもらう。

この辺りは「軍靴のヴァルツァー」という作品でも似た展開がありましたね。軍靴~の場合は主人公は帝国側でしたが。

軍靴のバルツァー 1 (BUNCH COMICS)

軍靴のバルツァー 1 (BUNCH COMICS)


ウェインは、相手に花を持たせつつ、おいしいところをいただこうと画策するわけですね。
しかも、狙った通り、帝国はいろいろとナトラ国を支援してくれた後、皇帝が死去したことからいったん撤退していきます。
この時、ナトラ国はおいしいどころ取りをできたわけですが、その「詫び」として帝国から武器を仕入れたりと配慮をしています。


その後に西のマーデン国から攻められるがこれを撃退する

ここでのウェインの狙いはほどほどの勝利させて相手を撤退させ、あくまで国防に専念すること。

しかし予定外に相手側の指揮官が無能だったため大勝して敵司令官を打ち取ってしまう。

国内が好戦ムードになってしまい、そのまま敵地に攻め込むと……重要拠点まで占拠してしまうことになる。

これにより戦線が伸びてしまい……という展開。

関羽亡き後に呉の国に攻め込んだ劉備率いる蜀の軍だとか
イゼンローン要塞奪取後に、フォーク准将に煽られて考えなしに敵国の深くまで攻め込んでしまった自由同盟軍だとかを思い出しますね……。

www.tyoshiki.com



自分たちが圧倒的に強い立場でない限りは適度に勝ち、適度に相手に譲るという立ち回りがかなり重要

ネットだと自分たちをマイノリティと自認していながらも
勝てる状況になったとたんに敵を完膚なきまでに叩き潰そうとしたり
勝利した後調子に乗りすぎて反発を招き、猛烈なバックラッシュを受けている集団がいますよね。

これは女性だからとかポリコレだからとかN国だからとかそういう理由じゃないんですよ。
どんなことであっても「一度に勝ちすぎる」と、一気にバブル状態になり揺り戻しがひどいことになるんですね。

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世の中の変化は意外と激的なものではないのです。
激的なものの場合は血なまぐさいことが続き、落ち着くまでに時間がかかります。



このあたりのバランス感覚がきちんと描かれているのが個人的にポイント高いですね。


弱小国という設定ではあるものの、序盤では敵国側がそれほど優秀ではないので軽い気持ちで読めるまさにライトノベルって感じの作品です。


設定がハードモードの作品が読みたい人は「ねじ巻き精霊戦記」とか「売国機関」がお勧めです。

明日は軽めに売国機関の感想でも書こうかな。