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昨日こういう記事書いたので、エロゲやアリスソフトの未来について悲観的だと思われたかもしれませんが、私はどちらかというとこっち側の立場です。
アリスソフトに絡めて商業エロゲ終わった論が出てますけど、ユーザー的にはけっこう楽観視してます。こないだアトリエかぐやが20周年迎えたし、98末期かWin95出始めの時のクラウドはANIMってブランドに変わって良作連発してて、細々と寡作の裸足少女とか、それなりに昔のメーカー生き残ってるんで。
— かーずSP (@karzusp) June 16, 2021
一昨日打ち合わせでチャンピオンソフトのフェアリーズレジデンスよかったなぁって話してたよ(どんな打ち合わせ)。あれからもう35年。めっちゃ続いてるよね。
— 若木民喜@スピリッツ連載中 (@angelfrench) June 16, 2021
そもそも、先の記事でもちょこっと触れましたがソフ倫のエロゲだけではなく、エロゲと同人エロゲを合わせて見れば高水準の売り上げを達成している(販売本数では全盛期の2003年を上回る)以上、エロゲそのものの需要が落ち込んでるってのはあまり信ぴょう性がないです。
とはいえ、「エロゲ業界そのものの話はどうでもいい。私が好きだったアリスソフト(チャンピオンソフト)は大丈夫なのか!」という意見もあると思います。
でもそれはちょっとアリスソフトさんを舐めすぎではないかと。
なので、これについていくつか過去の情報などを踏まえつつ語っていきたいと思います。
先に結論だけ書くと
ゲーム業界である以上将来が安泰とはとても言い切れないし結局は「今後の作品次第」ではあるのだけれど
「アリスソフトはとりあえず今の時点では大丈夫」というのが私の認識です。
アリスソフトが過去に「会社存続の危機では?」と言われた時のまとめ
アリスソフトさんは何回も「おいおいおい死ぬわあいつ……」と言われてきた過去があるんですよね。
私が知ってるだけでも5回くらい言われてる。
①エロゲ黎明期の1989年にいきなり経営崩壊してたが、なんとか盛り返した
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アリスソフトさん、黎明期にこれがあったせいか、「やたらと根性値が高い会社」だったりします。
②「東のエルフ西のアリス」と呼ばれていた時期があるが、これは1990年代中頃の話
むしろアリスソフトはエロゲ全盛期にそこまで恩恵を受けてません。
ランスシリーズがヒットして盛り返し、1995年発売の「鬼畜王ランス」は今では想像できないくらいのヒットになったものの、さすがにエルフとは格が違ったといわれています。
やはりこの時は「同級生~下級生シリーズ」によってエロゲだけで40万本、コンシューマを含めると100万本近いセールスをたたき出しエロゲ業界の枠を超えて認知され、美少女ゲームの基礎を築いたとされる絶頂期のエルフが圧倒的一強だったのではないでしょうか。(当時はエロゲやってないから知らんけど)
どちらかというと、「system3.*」と自社システムをユーザーに開放したりファンサービスや会員制サービスを早くから始めており、「ものすごく顧客ロイヤリティが高い会社」という印象でした。よく言えば根強いファンに支持されている会社、悪く言えばマニアック。少なくとも私がエロゲ業界というものの存在を知ってから、アリスソフトが業界のリーダーという位置づけだったと感じたことがありません。
2000年に入った時点ではすでに葉鍵の時代であり、他にF&C度などが強かった。アリスソフトの基幹タイトルであるランスシリーズの本格続編「ランス6」が発売されたのはエロゲ市場のピークが過ぎた2004年と、今一つエロゲ全盛期の恩恵は受けられてなかった気がします。
③2004年に、ボーイズラブゲームのブランド「アリスブルー」の活動休止
ボーイズラブ系ゲームブランド「Alice Blue」のほか、「Alice noir」や「Alice crimson」などのブランドが存在していたが、2014年以降は「アリスソフト」以外のブランドは活動を休止している。
エロゲ業界の絶頂期は2003年ですが、この時期に早々にブランドの縮小を行っています。
とはいえ、ここからもいろんな作品を出して安定したヒットは出ていたので、この時期は経営を心配する声はなかったと思います。
特に「大悪司」「大番長」は大人気となりました。
むしろこっちが好調過ぎて「ランスシリーズの続きちゃんと作ってくれるんだろうか」が心配されたくらいです。
今でいう「FGOが好調過ぎてきのこがDDDの続き書いてくれない」みたいな状態ですね。
④「戦国ランス」(2007年)が大ヒットするも、その後2011年に「大帝国」が大コケしてピンチに。
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「もう、企画そのものをご破算にするか」というところでしたが、そのときに、いってんちろく【※】が最後の仕上げまで引き継いでくれて。あのとき、いってんちろくが引き受けてくれなかったら、うちの会社は消えてたかもしれません。人生最大の失敗でした。「ここで責任を取って辞めたほうが」なども考えたけど、失敗したまま辞めるのはそれこそ無責任なので、気持ちを切り替え、いまの自分に出来ること、好きなこと、作りたいものをやろうと思い直したんですね。
このいってんちろくさんが、今回アリスソフトを退職された方です。
私は「大帝国」のシナリオめちゃくちゃ好きで、Erogamescapeでは95点つけてるんですけどね。
なまじ前作の「大悪司」「大番長」の主人公人気が高く、かつゲームとしても自由度が高くて評価されまくっていたのに対して、
「大帝国」は主人公の人気が低く、ゲームの自由度が大きく損なわれているとして批判が強く、当時はぼこぼこに叩かれてました。
アリスブランドの失墜とか散々ないわれようでした。
⑤この流れで2014年に東京支社を閉鎖したため、同時期にピリオドを打ったエルフと同一視され「経営がやばいのでは」「アリスソフト終わったな」説がささやかれた
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もう記事の論調からして「何とか生き延びてほしいですねえ」みたいな感じだった。
ランスシリーズ8作目の「ランス・クエスト」も当初評価が微妙であったことから本格的に心配されていた。
※後にアペンドディスクである「ランスクエスト・マグナム」が出たことで一気に評価が逆転し今では名作扱いになってますが。
⑥「ランス9」も評価が微妙であり、果たしてランスシリーズを10で完結させる体力があるのかがかなり心配されていた
じつは順番からすると、『RanceIX -ヘルマン革命-』(平成26年)のほうが先に出るはずだったんですけどね(笑)。ヘルマン編は、ぷりんが担当と決まっていたんですよ。ずっといっしょにやって来たなかで、彼はヘルマン関係の設定を僕が知らないところまで作り込んでいるので、「じゃあもうヘルマン編は君がやりなよ」と(笑)。でも、準備に時間がかかったので発売の順は入れ替わってしまいました。
10が終わった後であればいい作品だなと思えるのですが、
9が出た時は、楽曲が過去の作品のアレンジばかりだったり戦闘システムがそれほど洗練されていなかったりと問題が多く「本当に大丈夫なのか……?」とかなり心配されていた。
ランス10の前に出た「イブニクル」というゲームも(アリスソフト以外が出すなら文句なしだったものの)ランス10を控えた状態だったので「この程度なのか?」と不安に拍車をかける形に……。
まぁ結局ランス10が超超超傑作であり、シリーズの最終作品として文句のつけようのない完成度だったので、8や9を叩いてた人たちも「やっぱりアリスソフト最高やな!」「わいは最初から信じてたで!」ってテノヒラクルーするんですけどね。
⑦そして2020年。開発が難航ししていたソシャゲ「超昂大戦」がリリースされるも、まとめサイトや「3分でわかる」シリーズの人などが大コケと煽りまくる
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大炎上とか言いすぎやろって思うけど、リリース直後はまぁ文句言われて当然な内容だったと思う。
⑧ランスシリーズは終わり、頼みの綱のソシャゲはコケたと思っている人からしたら、「ランスシリーズのリメイク」や「ドーナドーナ」を担当していたスタッフが退職したことで「やっぱりアリスソフト終わったな」って言いたくなる人が出てくる
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業界全体が苦しいこともあって、アリスソフトもやばいのではって言いたくなる気持ちはわからんことはないです。
30年の間に何度もコケながら生き延びてきたアリスソフト(会社名はチャンピオンソフト)さんのしぶとさを舐めてはいけない
多分、やめるとしたら金銭的にどうこうというよりは、スタッフの方の熱意がなくなったとか世代継承にミスったとかそんな感じになると思う。
ただ、最近も若手の人が同人ブランドに挑戦したりとか、まだまだエロゲに熱意を持ってる人がいると思ってます。
まぁ一言でいうと、憶測でものをいうんじゃなくて、当事者であるTADAさんのブログ読めってことなんですけどね。
昨日は "アリスソフト" が話題に・・・
— TADA (多田) (@hanny_king) June 16, 2021
30年以上続いているブランドなので
今は全然接してなくても
過去に遊んだ事がある、そんな人がけっこう多くいて
そこそこ記憶に残ってくれているんだね
なんか、うれしい
今の時点ではまだ途中なのですが、この先もアリスソフトの歴史を語ってくれるようなので楽しみ。
ちなみに、みんながオワコン扱いしてる「超昂大戦」ですが、セールス的には今のところきちんと成功しているようです。
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2018年、アリスソフトでは、ソシャゲーの自社開発が進められていた
これしか生き残る道は無い、それは分かるがリスク大きすぎと思っていた
2019年、2020年と開発は遅れていく・・
もう諦めたら?私はそれとなく会社上層部に伝えたりもした
それこそ、私にはインパール作戦に見えた、当時のMRJ(三菱ジェット)とも重なった
傷が浅い内に中止の方がと・・・・
だが、スタッフは最後まで頑張り通して2020年末、ついにサービス開始に辿り着く
今は成功してアリスソフトの屋台骨を支える主力事業になっている
ランスシリーズとのコラボでは「ランス10」の後のオリジナルストーリーが進んでいるので私もやめるにやめられない。
ここでしっかり稼いで、いつかランスシリーズの続きというか新しい何かを出してくれるのを期待しております。
でも正直言って、そろそろ宝箱のシステム何とかしないと新規プレイヤー一切獲得できないのではと心配しております!