頭の上にミカンをのせる

「命令されなきゃ、憎むこともできないの?」(ブルーアーカイブ#3 エデン条約編3.私たちの物語)

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「本気出せばお前殺せる」 母から娘に対する慈悲深い差別を描いた作品。シンプルだけど個人的にかなり好き

次回最終話なのか……これ題材としてめちゃくちゃ面白かったので
何かの機会でバージョンアップしてもっと長編になったこの作品を見たい……

shonenjumpplus.com



本作品で一番のクライマックスはやはり「主人公を抑圧してきた母親は、娘の幸せを願っていた」という部分ですね。

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「カルバニア物語」で紹介した話と通じるものがあります。

www.tyoshiki.com

「エキュー。気に食わないことなど、一つもない。本当のことを言おう、いつも君には感服している。君は公正で、勇気があって、努力家で、そりゃあ大した女だ。君こそはきっとタンタロット公爵がお作りになった最高傑作だろう。」

「じゃあ……なんで」

「だからこそ、いい人生を歩んでほしいんだ。確 実 な 良い人生を。君には、愛する男に手をひかれて、安全な、美しい道を歩いて欲しい。意外に思うだろうけど、私も、他のハゲ(親戚)たちだって、君の幸せを心から願っている。だから、カルバニア初の女公爵だなんて、誰も経験したことのない冷たい風のふく荒れ地みたいな場所に君を立たせたくないんだ。
 君の美しい顔が苦痛にゆがむのを見たくない。私は君を気に入っている。だから私はこうしてここにいるんだ」

これがあるので、「わかりやすい敵役を設定して、それを打倒していく」というソリューションはどこかで限界を迎えます。
というか、こういうソリューションの方向を取っている限り、行きつく先は石川優実や仁藤夢乃といったものにならざるを得ません。

こうした運動は初期には必要とされますが、「敵を憎悪し、打倒する」という過激なアプローチをとる派閥は
最終的に新しい時代の邪魔になるので粛清されるべき運命にあるのは歴史の繰り返しが示しています。

ja.wikipedia.org

「一見、女性思いに見える発言をしていたり」「実際本人が自分のことを女性の味方だと思っている」人たちの間にこそ、もっとも厄介な存在がいるのだ。女性を理解していると信じ、女性のためを思うからこそ女性の権利を抑圧するのが正しいと思っている人たちがゴロゴロいるのだ。

今はまだその段階ではないのですが、最終的に乗り越えていくべきはやはり「慈悲的な差別」にあります。

男対女だとまぁ昔からよくある話ですが、それを「女性対男性」ではなく「強い女性同士」の間で描くという視点が本当によかった。

今のフェミニズム、まだこの段階にまで到達できてないので、その「先」を描いてる作品だと思う。

無料で全話読みましたが、なんとなくこの作品は時々読み返したくなる気がするので、作品を買ってもよいですね。



以下は作品外の蛇足的な話です

今のインターネットは
まだまだ「慈悲深い差別」「ミソジニーのフェミニスト」をありがたがってる段階というか
ぶっちゃけ「弱い女性」「弱さを武器にしている女性」が多すぎて話ができる段階ではない。


「弱い女性」「弱さを武器にしている女性」が主役になっている以上
活動が「男から与えてもらう」という立場をグルグルするだけになります。



立憲民主党が政権を取れないのと同じ構造が男女関係の中にもあると思う。


私は普通に女性差別は存在すると思っており、今の社会は明確に「男性」と「強者女性」が連立与党を組んでいて、「弱者女性」とか「男性の役割を降りた何物にもなれない何か」とか「その他いろんなマイノリティ」が野党的なポジションにいると思う。


しかし「差別」そのものは段階的に解消していけるとしても「野党的な立ち位置」というのは道徳では救うことはできない。
ここまでを「差別」と言い出すと、「差別解消」という主張自体がゆがみだすというかすでに大分歪んでる気がします。



「努力でどうにもならないこと」は解決していくべきですが
「努力でどうにかしていくべきこと」は努力をしていくべきであり、それらは区別していかなければいけない。
嫌いなものを差別という言葉で消していくだけでは、世の中はともかく個々人の生活はそこまでよくならないでしょう。



本作品は徹頭徹尾個人の問題なので、「筋トレ」がすべてを解決してしまったけれど、
社会レベルで考えた時に、ここでいう「筋トレ」にあたるものは何だろうかね。



とか考えてみると面白いし、そういう作品を見てみたいなと思う。



過程はともかくとして、そういうものを求めている人が多いのは「異世界転生」系のなろう作品とか見ててもなんとなく感じる。
あとは「チート」を使わないで「転スラ」的なストーリーを展開できる作品があるといいのだけれど……なかなか難しいよねー。