頭の上にミカンをのせる

「命令されなきゃ、憎むこともできないの?」(ブルーアーカイブ#3 エデン条約編3.私たちの物語)

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「金田一少年の事件簿」全話まとめて振り返り シーズン2前半(EP20-24)

「金田一少年の事件簿」全話まとめて振り返り シーズン1後半(EP15~EP19) - 頭の上にミカンをのせるの続き。シーズン1が読み終わったので次はシーズン2です。

あと、エピソード評価について一応。金田一少年の事件簿は週刊連載のマンガであり、リアルタイムで「犯人当てクイズ」を楽しみながら読めるのがウリの作品した。シーズン2に入ってからはこの「推理クイズ」の要素が更に強くなっており、わざと「ヒント」になる行動や犯人の粗がわかりやすく描かれるようになっています。なので本当はその「クイズ」としての要素を加味して評価すべきなんでしょう。でも私の記事ではめんどくさいので特に考慮してません。違和感のある行動してたら「うーん。。。」って評価をしています。まぁ、そもそもこの評価は「話が私の好みかどうか」の話でしかない、客観評価とは程遠いものですので、あまりに気にしないでください(笑)

犯人および動機

現時点では外伝に出ているメンバーはいないので、代わりに「予定外の殺人をしたか否か」を項目に追加します。

殺人事件名 コミックス 犯人 動機 生死 予定外の殺人
EP20魔犬の森 1巻 千家貴司(17) 恋人の復讐 生存
EP21銀幕の殺人 2巻 遊佐チエミ(16) 兄の復讐 生存
EP22天草財宝伝説 3巻~4巻 和田守男(35) 遺産目当て 生存
EP23雪影村 5巻 島津匠 恋人の復讐 生存
EP24露西亜人形 6-7巻 桐江想子(18)、山ノ内恒聖(60) 遺産目的、愉快犯 生存

EP20 エピソード評価★★

「魔犬の森」は新シリーズになってからの一番手ということもあり基本に忠実というか意図的に「EP1オペラ座館」と「EP14墓場村」を重ねた展開にしているように思います。

金田一少年の事件簿に出演する犯人は、物語のフォーマットとして
1 殺人の舞台を用意する
2 犯行をなすりつける他者を用意する
3 「見立て殺人」のネタを用意する

ことが求められますが、金田一少年はこれを裏返して舞台の意図を知り「舞台をセッティングした人間は誰か」「見立てのための小道具を用意したのは誰か」を考えることで犯人を暴き出すケースが多いです。(今回はダイイングメッセージを利用していますが)。

今回の事件は「犯人たちの事件簿」にすごく向いていると思います。犯人はEP1同様めちゃくちゃ時間をかけて頑張って殺人の準備していました。にもかかわらず「途中で犬笛を落とす」というミスで台無しにしており、第三の殺人では計画が崩れているのに焦って殺害を強行したことでボロが出てしまった。この犯人は金田一の知り合いであり、プレッシャーがすごかったんでしょうね……。というか、いくら入念に準備したからとはいえ、金田一が紛れ込んだ時点で計画は中止すべきだったし、せっかく金田一という知り合いがいたんだから、被害者たちの罪を暴くのは警察に任せようよ……。

EP21 エピソード評価★★

この事件の見せ場は何と言っても「二重密室」トリックです。これ発想としては本当にすごいなと思うのですが、それゆえに引っかかる。

犯人はわざわざ二重密室トリックでローソクを使用するためだけに「見立て殺人」を行っています。ということで、ローソクの位置づけはとても大きいと思うのですが「これローソク倒れないの?」ってのが気になってしょうがないですのですが。「カギが廊下のカドにひっかかって進まないからろうそくを滑車代わりにする」はいいのですが、「そのローソクどうやって倒れないように固定してるの!?」が気になってしょうがないのですが。

また、イレギュラーで警察が来てしまったことにより対応を失敗した、ということになっていますが、もし部屋の外にほかの警察いたらどうするつもりだったんだよ……とツッコミたくなります。この事件も犯人が16歳ということで「思い切りの良さ」がポイントなのかもしれません。

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©さとうふみや・金成陽三郎「金田一少年の事件簿Case2」
あと本当に何度も同じこと繰り返して申し訳ないんですが、この事件、金田一が警察の前で罪を暴いたことにより、蔵沢さんたちは普通に逮捕されてたと思います。警察に任せていればよかったのではないでしょうか。。。*1 それでもなお、わざわざ自分の手で殺さなければ気が済まないというあたりに、この世界における警察不信が感じずにはいられません

EP22 エピソード評価★★

「天草財宝伝説」は財産探しと事件の犯人当ての両方が楽しめるシナリオ。
財宝探しの暗号解読はひねりがないどストレートなものなので、作品中のミスリードをあえて読まないようにするのも一つの手だと思います。
殺人事件に関して。犯人は、最初から財産を探すつもりは全くなく、ライバルを皆殺しにして蔵元家の遺産を受け取ることしか考えていなかった。一人目の被害者がちゃんと正解にたどり着いてそこを掘っていたぽいのに、さっくり殺してその後一度もその場所に近づいていない。その後も第三、第四の殺人では単に犯人が一人になったところをおいかけて殺しているだけ。かなり雑。ぶっちゃけ第三、第四の殺人でツアー参加者のアリバイが全く問われる描写がないのは意味がわからない。最上葉月に疑いがかかっている状態で一気に決着を付けたという形だろうか。
そんなわけでトリックを考えているのは第二の殺人だけなのだが、この第二の殺人のトリックはかなり気合が入っている。シーズン1の「秘宝島殺人事件」と似たような発想を用いている。自分から殺しに行くのではなく相手を殺害現場に誘導するという発想で、被害者にだけ「空間補完効果」を使った偽情報を流す。さらに、時計操作という二重の操作を行っており、ここまできっちり突き止めるのは難易度が高い。そういう意味でとても面白い。
*2*3

ああ、それにしても「最上葉月」さんは私が大好きなメガネ美人だったので、あっさり死んでしまってとっても悲しかったです。

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本当に美人で好き
あとは「美浦エミリ」ちゃん。意味深な登場シーンの割にほとんど活躍してませんでした。この後まだ登場の余地有るよね?頑張れ!
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けものフレンズ難民救済


EP23 エピソード評価(なし)

頼むから、こういうのやめてくれよ……。
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お前ら、友達だろ?自殺する前に確認しようよ。悩みごとがあるなら友達に相談しようよ。もっと人の過ちに寛容であろうよ。ボコボコに殴ってもいいから殺す前に謝るチャンスくらいあげようよ……。
フィクションとはいえ、これはちょっと嫌だわ。


EP24 エピソード評価 ★★★★

①見どころについて
高遠遙一が三回目の登場。ここから二人は光の存在と闇の存在として「対立」だけでなく時には「共闘」を行うようになり、腐女子の方々歓喜の展開が次々と生み出されることになります。今で言うなら「とある魔術の禁書目録」の上条当麻と一方通行みたいな関係ですね。また、「じっちゃんの名にかけて」ではなく「俺自身の誇りにかけて」という表現を使った回でもあります。今まで巻き込まれた事件に事後的に対応していただけの金田一も、高遠だけは個人的なライバルと認識しだします。

正義漢きどりの君に、誰でも持っている心の闇の部分を少しは分かってもらいたくてね。」
「ふざけるな!俺は認めないぞ、あんたのような人間は!」
「認めていただかなくて結構!しょせん私と君は決して交わることのない平行線。だが、平行線は交わりこそしないがいつも隣りにある。まるで双子の兄弟のようにね!」
「何が…何が双子だ!そうやってお前が鼻高々に「芸術犯罪」とやらを俺に振りかざしてくる気なら、俺は「推理」でそいつを叩き切ってやる!俺自身の……誇りにかけて!」

この事件により、金田一少年ワールドにおいて「恋人や家族の復讐など同情すべき理由がある人」「やむを得ない事情がある人」ばっかりでマンネリ化しつつあった犯人像の枠が一気にバージョンアップされていくのではないでしょうか


②事件について。こちらも、とにかく山ノ内の悪意が素晴らしい。この事件の実行犯の動機は「EP22天草財宝伝説」における遺産争いと対比的ですが、実行犯はそれと知らず完全に山ノ内にコントロールされている。

EP22:「たったいまお前にいきなり10億の遺産が転がり込んだとして……。もっと欲しいとかって思うか?金なんてのはもともとあると思うからもっと欲しくなるんだ。」
 ↓
EP24:「要するに、なにもかもあたしのものになるはずだったのよ!この館も!何十億っていう財産も!それを生んだ作品も名誉も幸福もすべて、何もかもね!」「とうの昔に落としてしまった、大金の詰まったサイフを、思いもよらない場所で偶然見つけたとしたら、あなたならどうする?拾うでしょ?当然!他に手を伸ばそうとしてる連中を押し退けてでも……ね!」

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騎士として恥ずかしくないのか

人を思うとおりに操って殺人に誘導するという手口はお見事でした。見立て殺人にしても、そのトリックにしても、大枠としてはすべて山ノ内が実行犯にそれとは知らず「教育」したものであり、無事に成功していてもそれを小説でバラして台無しにするつもりだったのかと思うと本当に性格が悪い。最初は人のアイデアを盗んだところからスタートしたかもしれないし、ミステリー作家としては二流だったかもしれなくても、恐ろしく優秀だと思います。もう途中からは自分で作品生み出してたんじゃないのかな。


ちょうどいい転換点なのでここで一区切りして、次の記事からは後半部分について見ていきます。

*1:あ、でも、もう蔵沢さんコップに口をつけたから手遅れだったかな

*2:ただ、上で述べたように「犯人当てクイズ」の傾向が強まっていたシーズン2では「秘宝島殺人事件」の時と違い犯人が読者である私達の前で明らかに「白髪鬼」の見立てと関係のない不自然な行動を取っており(脈略無くカバンを燃やすなど)、トリックはわからなくても明らかに怪しいよね。あとこの犯人、なにげに最上葉月に犯人役を押し付けようとするのはアカンでしょ。

*3:というか、EP20の感想で<「舞台をセッティングした人間は誰か」「見立てのための小道具を用意したのは誰か」を考えることで犯人を暴き出すケースが多い>と書いたばかりですが、この作品もズバリその方向性ですね。金田一少年シリーズにおける殺人は念入りな準備が必要なため、どうしてもこのパターンが圧倒的に多くなるのは仕方ないでしょう