で紹介したADHDコントロールガイドについてですが、内容について紹介しますって言っておきながら長いことほったらかしにしてましたすみません。昨日私のブログから買ったよ、と報告してくださった方がいて、私はすごく単純な性格なのでテンションが上がり、その勢いを借りてエイヤで始めたいと思います。*1
私はこういう本の内容をまとめるのが苦手なので、自分のための復習も兼ねて、少しずつ紹介していきます。
まず今回は導入です。
発達障害について考える際に、この考え方はぜひ皆さんにも知ってほしいと思った点が2つあるので紹介します。
その1 ADHDそのものの特性より、それによって生じる適応しづらさのほうが問題
特性に強く当てはまっても生活に支障がなければ治療の必要性は低いと考えられます。
たとえばADHDでもゆるされる環境であったり、
苦手な面を補佐してくれる人がいると、だいぶ適応しやすくなります。適応していた環境が変わることで挫折感を感じてしまうこともあります。
ADHDそのものの特性より、それによって生じる適応しづらさのほうが問題といえます。
その2 誰にでも少しくらいは当てはまるだけに、本人の困っていることが理解されづらい
ADHDの特性は誰にでも当てはまるようなことばかりです。
そして、誰にも少しくらいは当てはまるだけに、
本人の悩みや、困っていることが理解されづらいのです。誰でも持っているこうした特性は、ADHDではない人なら
気をつければ治せることもあるからです。がんばればできる→できなかった→努力が足りない となってしまうのです。
でも、ADHDの人には自力で改善することが難しいのです。
この2つがポイント。
特に一点目ですね。
発達障害者は
「社会人になるまでは、ちょっと変なヤツ扱いされる程度でそんなに困ってなかった」
「少しくらい困っていたけど何とかなっていた」
という人がかなり多いはずです。
しかし、社会に出ようとするタイミング(就職活動)や、就職して数年以内で
・めちゃくちゃ困っているのに
・誰にも理解してもらえない
・あげくにやる気がないとか怠けていると周囲から責められ続ける
・周囲から孤立してしまいまったく能力を発揮できない
こんな感じで一気に鬱になってしまう。そういう人が多いのではないか、というのがこの本のスタートです。
「普通の人」でも会社の職場環境に適応するのが難しくなってきている
「発達障害自体は生まれつき」でも
「発達障害で耐えられないほどの苦しみを味わったのは大人になってから」
「社会人になってから初めてこのままではいけない、何とかしないと思い始めた」人が多い。
これはどういうことかというと、それだけ
「会社の職場環境」に適応するのが誰にでもできるものではなくなってきている、ということでもあります。
昔の職場だったら、一生自分が発達障害であることを意識しなくても良かった人もたくさん居るでしょう。
そんだけコミュ力とか察しのよさとかいろんなものが求められるようになっているから、
発達障害でない人までもが自分は発達障害なんじゃないかとか悩むはめになっている。
「発達障害」という言葉だけが広がっているが、実際には「適応障害」が広範囲に起きているのだと思う
「新型うつ」って言葉がありますよね。あれって要するに社員が「職場に適応できてない」「職場だと自分の本領を発揮できず気がふさぐ」という話なので、会社側が危機感を感じるべき話だと思うんですよね。それを「最近の若い者は」という話にして問題を100%社員のせいにしてしまうような職場なのだとしたら、もうかなり危ない。
適応障害(ストレス因関連障害)人形町メンタルクリニック 中央区・日本橋 心療内科・精神科
A:適応障害になられて速やかに回復される方がいる一方で、慢性化されている方も多いのが実情だと思います。これらの方は、新型うつ病と名前を変えていることもあります。新型うつ病という診断名は、正式にはないのですが、世間的には適応障害よりも有名ではないでしょうか。
新型うつ病の特徴であり理解されがたい点は、ストレスがないときには比較的健康な状態でいられるところです。仕事が終わると飲み会に参加できたり、休職して海外旅行に行ったりがその例であり、職場に知られた場合は深刻な不信感が生まれることがあります。そのようなこともあり、最近では「新型うつ病は病気ではない」とメディアでも非難がましく語られることがあります。これらは、新型うつ病を従来のうつ病との比較することによって生じる誤解に基づくものと考えます。うつ病の一種と考えることが適切ではないのです。あるストレス状況(職場など)に直面した時に症状が現れる性質から考えて、新型うつ病は感情障害と捉えるよりも、ストレス関連障害(ストレス状況への恐怖症:例えば職場恐怖)である適応障害の慢性化と考えた方が適切だと思います。ストレス状況への恐怖症と考えることは、職場対応および治療の上でも有用であり、周囲の認識と本人の苦痛との間に生じるギャップについての理解も助けます。
まずは自分の生き辛さや困っていることについて「点」ではなく「線」で捉えられるようになろう
「新型うつ」って言葉は知ってるけど、それを適応障害と結びつけて考えてる人があまり少ない。また、「発達障害」って言葉は知ってるけど、自分が発達障害じゃないって知ったら自分がただの低スペックな怠け者だと思ってしまったりそういう言葉を使って自分や他人を追い詰めてしまう人がいる。
なぜこうなってしまうのか。
こうなってしまうのは、みんなが社会での生き辛さについて「言葉」という点だけで考えてて「線」のつながりや「面」が見えていないということではないでしょうか。まずはこの当たりについて広く浅くでいいからつながりを知ることによって、自分を追い詰めなくて済むようになると私は思います。
繰り返しますが、「発達障害」そのものが問題なのではない。障害者支援をやってるLITALICOの標語をぜひ知ってほしい。
(私はLITALICOにはいろいろ思う所ありますがこの標語は好きです)
障害は人にではなく、社会の側にある。社会の側にある障害をなくしていくことを通して多様な人が幸せになれる、「人」が中心の社会を作る
http://litalico.co.jp/
「自己責任」の考えが猛威をふるいすぎて、システムの古くて非合理なところがたくさん残ってます。
それらによって苦しんでいる側が、なんでも自分のせいって考える必要はありません。
現状を嘆いていても仕方がないから「自分の特性を理解して」「自分の無理のない範囲で」適応を考え始めよう
とはいえ、問題が有るのは社会だと言って、それが改善されるのを待ってるだけではなかなか進まない。
なので、「自分の特性を理解して」「自分の無理のない範囲で」まずちょっとずつでも適応していきたいところです。
とにかく大事なのは、キーワードは「適応」だということです。
発達障害だろうが、自分がまがりなりにもそこに適応できてれば何も問題はない。
逆に発達障害でなかろうが、高スペックだろうが、適応できて無ければしんどい。つらいと言って良い。
「自分が適応できているかどうか」を考える。
「適応が難しかったら場を変える」ことも含めて、自分なりの適応を考える。
これをスタートラインにしてみましょう。
マンガでわかる 大人のADHDコントロールガイド[Kindle版] | ||||
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というわけで、これからも1週間に1回くらいのペースで更新していきたいと思います。
本当にいい本なので、悩んでいる人は是非読んでみてほしい。後悔することはないと信じています。
発達障害ではないが生きづらい人にこそ読んでもらいたい
繰り返すが、この本は「問題は発達障害ではない。発達障害自体便宜上区切りがあるが、曖昧な概念だ。だからその区切りは、対外的には意味があっても、本人にとってはそれほど重要ではない。それより問題なのはあくまで生きづらさであり、今の環境への適応が難しいことだ。それについてどう考えていくべきか一緒に考えていこう」と語っている。
そういう意味では、発達障害者ではないが生きづらいと思ってる人にこそ読んでもらいたい。私はASD診断ではあるがADHDではない。そういう意味では部外者だが、この本はとても心に刺さった。
例えば、私が前に書いた記事について、言ってることはよくわかるが問題はそこじゃないんだという本音を語ってくれた方が複数いらっしゃった。私の記事が気に入らなかったという方もおられるだろうが私の記事が何かのきっかけになったのなら嬉しい。
http://halokun.hateblo.jp/entry/2018/06/07/低スペックはお互いさま(ごめんね)
http://ponnsuke.hatenablog.com/entry/2018/06/09/130000
https://tokunote.hatenablog.com/entry/2018/06/06/192417
そういう人たちにこそ、この本は役に立つと思うし、読んでみて感想を聞かせてほしいと思うのです。
と、そんなことを考えつつ今後もこの本については継続的に紹介し続けるつもりです。よろしくお願いします。