「表紙さえ エロくなければ 許される」といわんばかりに、表紙ではわからないようにしていますが完全にエロ漫画です。
「小説家になろう」を通り越して「ノクターンノベル」。
「ノクターンノベル」を通り越して「エロ漫画」。
「エロ漫画」を通り越して「エロ同人」。
「エロ同人」より過激にエロやってる作品が一周回って一般の青年誌で連載されているのどう考えてもバグってると思うんですが。
言われてみれば、ネットで暴れてるなんちゃってフェミニストの皆さん(中身はただの保守・純血主義)たちへの対策がバッチリすぎる。彼ら彼女らは本当は「私が気に入らないんだ」だけで怒っているのですが、それが素直に言えずに、さらに考えなしにフェミニズムの文脈から離れたTPOみたいな回りくどい理屈建てをしてしまった結果、自縄自縛になってしまっています。その結果、表紙だけエロくない感じにして少年ジャンプ以外で連載すれば口出ししにくい状態になっています。その穴を見事についたような作品になっています。デバッガーかな。
別に青年誌でエロ描写がある作品は珍しくなく「ふたりえっち」とか「すんどめ☆ミルキーウェイ」のような作品もあるし、触っただけで女の子がメロメロ(死語)になるというのも「甘い生活」という大御所作品がある。ただ、このあたりのさう品が一応一般誌であることに気を使っているのに対して、この作者さんは全く気を使ってないのがすごい。デビュー作から一貫して突き抜けた頭の悪さがあったが、この作品はさらにエロ方向でも完全に限界突破発揮しており、「なろう作家が本当にやりたかったこと」をプロ作家が商業誌で堂々とやってしまっている感がある。さすが岡本倫はんやでえ……って感じの作品。いつか怒られてエロ雑誌に移籍とかになったらさらに頭悪くて最高だと思う。
圧倒的に優位な立場で女に交尾を要求する男が主人公の話。はてな村限定で流行ってる「40代なのに同じ職場の20代の女性に恋愛感情を持つおっさん」が可愛く思えるレベルでひどい
この作品の主人公ヨータくんは、学校で普通に暮らしていたらいきなり謎の存在に襲われて校舎の3Fから引きずり落される。目が覚めたら異世界らしきところにいる。この異世界ではエロ同人でもそこまでやらんやろというくらい徹底的に都合の良い設定になっている。
①世界は女だらけで男は彼一人しかいない。しかも全員美女。
②しかも、この世界の女性は神に呪いをかけられており、男と交尾しないと20歳で死んでしまう。
③さらに、ヨータが触れるだけで発情して感度3000倍になり交尾がしたくてたまらなくなる。
(④ついでにこの世界の女にとって天敵である「カル」という生物を無条件で追い払える)
単に女の子が即堕ちニコマするだけならエロ同人の世界ではよくあることではある。
「催眠アプリ」とか「セックススマートフォン」とか「エロ同人 シール」とかあたりで検索したらいくらでも出てくる。
しかし、この作品はそれだけでは満足できないらしく
・命を救うためという大義名分でセックスできるし
・セックスしたら勝手に女の人が自分のことを好きになってくれるし
・惚れられても世界を救うためという大義名分で他の女とセックスしても咎められない。
という欲張りセット状態になっている。
ランス〇エスト……緑化病……うっ頭が!
という感じで「なぜ(一般誌で、エロ漫画の)ベストを尽くしたのか」と言いたくなるような設定。
ヨータは最初の方は調子に乗っていたけれど、やがて女を救うためにこの世界に呪いをかけた「嫉妬深い神」と戦う決意をする
ぶっちゃけ最初の頃はひどい。
ヨータはもともとこの世界に来るまでは童貞である。
そんな男が、力関係的には圧倒的に有利だし触るだけで女は向こうからねだってくるくらい都合が良い、やりたい放題の楽園に来たらそりゃ最初は調子に乗るよね。
実際に主人公の前にこの世界に来た男は、この世界の女に対して命を救ってやることと引き換えにやりたい放題の限りを尽くしたらしい。(10巻参照)
ただ、ヨータは最初はともかくとして、必要がない限り(女の同意がない限りは)自分から女に触れるようなことはしなくなる。また、頼まれたわけでもなく女を助けるためにこの世界の神と戦おうと決意する。
なんでかというと、運が良かったから。
たまたま最初に出会って能力を使ってセックスをした女の子が「自分の命が助かること」ことが目的ではなく本当にヨータのことを好きになってくれた。そのことでヨータにとって、目の前の女の子はただの女ではなく大事な人間になった。最初に出会った女の子が、ヨータのことをモノ扱いするような人だったら、ヨータも前の男と同じようになっていたかもしれない。
その後も、基本的にはヨータは女側から求められない限りは手を出さないようにかなり気を付けている。……
とはいえ、あまりに能力が強すぎるので圧倒的優位であることには変わりないし、なんだかんだいって必要な時は無理やりこの能力を使って女と交尾してるので全然だめなんだけどね!!
おれは わかんが いいんだ だから おまえから おねだり してくれ (11巻)
はあまりにも頭が悪すぎる。
当然相手が拒否している場合には途端に元の世界の自分みたいになるシーンもあってほんとにひどい。
なんかおれ、自分がモテてるつもりでいたけど。
男がオレしかいない世界で、触れればどんな女でも即発情する圧倒的に優位な立場でしか交尾をしたことがないんだぞ!元の世界じゃ童貞だろ!無理だ!女の子を口説いで交尾に持ち込めるわけがない! (「パラレルパラダイス」9巻)
脳が完全にピンク色の設定で物語がスタートしてるのになぜか「マブラヴオルタネイティヴ」みたいなシリアスなストーリー展開になる
というわけで、最初はお気楽に「ランスシリーズ」みたいな雰囲気で話が進むのだけれど、この作品の作者は「エルフェンリート」や「極黒のブリュンヒルデ」の岡本倫である。ただエッチ三昧のお気楽旅をやるわけではない。というか実際はかなり過酷な世界設定になっている。
いまさらこの話が通じる人いないと思って書くけどこの作品の世界設定は「マブラヴオルタネイティヴ」のラストシーンで明らかになる秘密と同じ世界構造になっているように見える。だいぶ残酷なことをしてるなーって思う。
この人の作品はいつも終盤が期待外れになってしまいがちなのだけれど、中盤の話が広がっていく段階までは本当に面白い。
今回の作品はめちゃくちゃ売れ行き好調で打ち切りということもなさそうなので、思う存分最後まで描き切ってほしいなと思う。
メインのヒロイン感想
正直、この作品の内容すぐに忘れそうだから忘れないようにメモ。
始まりの町ミース
◆ルーミ
- 作者:岡本倫
- 発売日: 2017/08/04
- メディア: Kindle版
主人公がこの世界にきて初めて出会った少女。「仁科」さえいなければ正ヒロインの位置に存在すると思われ、実際にずっと主人公の旅に同行する唯一の人物。 なんだけど正直印象がすごく薄い。ランスシリーズにおけるシィルのポジションとは程遠いと思う。 このキャラをメインにして仁科と対峙するのは弱すぎるので当て馬的ポジション?てっきり「蜘蛛ですが、何か?」のように「仁科」の一部分が彼女なのではないかと思ったけど、特にそういう設定はなさそう。
◆リリア
- 作者:岡本 倫
- 発売日: 2017/11/17
- メディア: コミック
◆ミサキ・モモ・ハル
- 作者:岡本倫
- 発売日: 2018/03/19
- メディア: Kindle版
使い捨てヒロインかと思いきや、ミサキの方は魔女「ガリア」との戦いでは結構活躍した。
ハルはこの作品で主人公の前で寿命で死んだ最初の人物。モモも魔女「ガリア」との戦いで再登場したのだけれど見せ場なくやられてしまいその後も出番なし……。
海辺の町リール
◆ティア
- 作者:岡本倫
- 発売日: 2018/07/06
- メディア: Kindle版
◆ハナハナ
- 作者:岡本倫
- 発売日: 2018/10/05
- メディア: Kindle版
◆ピナコ・カナコ
- 作者:岡本 倫
- 発売日: 2019/02/06
- メディア: コミック
◆ノア
リール編のメインヒロインなのだがなぜか表紙獲得できず……。この作品ガーディアン以外は表紙与えられない傾向にあるよね。
◆マカナ&リノ
操舵士&応援係。やたらとハイテンションで愉快なキャラクター。海で難破していた時の大乱〇シーンはドン引きだった……。この子達レジスタンスの拠点にいたけど……。
砂漠の町サンドリオ
◆バニーユ
- 作者:岡本倫
- 発売日: 2019/06/06
- メディア: Kindle版
◆カヅチ
- 作者:岡本倫
- 発売日: 2019/10/04
- メディア: Kindle版
見た目のまんま鍛冶スキル持ち。出番もすごく多い。ドM。
◆アマネ
- 作者:岡本倫
- 発売日: 2020/02/06
- メディア: Kindle版
◆エルザ
寿命で死んだ二人目のガーディアン。超ツンデレ。
「軌跡シリーズ」に出てくる殲滅天使レン・ブライトみたいな感じだった。
レジスタンスのメンバー
◆マヤ&メアリ
この作品のガーディアン優遇が露骨に出ており、やたらと哀れな末路を迎える。
特にメアリはあまりにかわいそうなので忘れないように画像を残しておきたい。
魔女「ガリア」との戦い編
◆ナゴミ
スス子すこ……。
◆キア
- 作者:岡本倫
- 発売日: 2020/05/07
- メディア: Kindle版
魔法少女用のぶかぶかの帽子をかぶって見た目ロリの子は丁寧語で口の形が◇になる決まりでもあるのかな。
◆魔女ガリア
人の自尊心を食べるのが何よりの好物という困ったちゃん。 見た目から性格までめちゃくちゃ好み。
他の読者の口コミ
パラレルパラダイスに、徐々にある種のクリムゾン的な様式美が生まれつつあります。
なんか楽しくなっちゃいますね。
コロナで気の晴れない今日この頃ですが、もっとみんなでこういう頭の悪い漫画を読むべきだと思います。
レッドゾーンを振り切った頭の悪さで終始一貫してます。
すでに10巻を超えたのにも関わらず連載エロ漫画も真っ青な頭の悪さが逆に潔い
中途半端にカッコつけてるなろう系はもっと改めるべきですね。
書こうとしてることは一緒なのにも関わらず、晴れきった蒼空のように清々しさすら覚える頭の悪さです。