「普通のつまらない人間が、女の子に恋をすることで成長し、他の人のために生きる選択をできるようになるまでの物語」が描きたかったんだと思うけど、いろいろと詰め込みすぎた結果大事な部分がすべてダイジェストになってしまいあまり説得力のある物語にならなかった。
それが私の「Charlotte」という作品に対する印象。
アニメの印象はドストエフスキーの「罪と罰」のなりそこないみたいな作品だったなあと
「終わりよければすべてよし、終わりが悪ければ作品評価は半減」のルールに従えば「Charlotte」「神様になった日」はクソアニメだったといって差し支えないと思っています。自分の音楽を披露するために尺を使いすぎて全体台無しにしたということもあってほんとどうしようもなかったなと。
というか、AngelBeats!はどういう話だったか今でも覚えてますけどCharlotteはもう序盤の主人公の中二病ぶりと、最後の展開以外はほとんど忘れてました。私の中で相当に「どうでもよい作品」になってしまっていたということだと思います。
マンガ版を読むと、かなり後半が丁寧に描かれており、アニメの後のエピソードが補完されてちゃんとハッピーエンドになっている
最近こういうツイートをみかけたので5巻と6巻だけ読んでみました。
実はCharlotte最終回の続きが漫画版で見れることを知っている人あまりいない説 pic.twitter.com/f0YxT7KN78
— とあるん (@toarutoa) 2023年2月7日
友利さんはアニメの方が可愛いと思いますが、それを除いては漫画版は全面的に改善されててよい感じでした。飛び飛びだったアニメと違って後半がじっくり描かれており、ちゃんとエピローグの補完もあってアニメよりもだいぶ良い印象になったと思います。
ざっくりあらすじ振り返り
そういえばこの作品、基本的に10話までは「お兄さん」が主役であって、主人公である有宇くんはただの狂言の猿回しでしたね。
(物語開始前の前提)
・シャーロット彗星の影響で世界に能力者があふれる。
・能力者たちは大人たちに管理され、奴隷のように扱われていた。
・タイプリープの能力を持つ兄シュンスケは、多くの仲間の犠牲のもと何とか現代に戻ることに成功し
大人たちに支配されないように超能力者の集団をつくり始めた。それが星ノ海学園。
・主人公と妹の歩未は、危険から遠ざけられるために記憶を消されていて兄の存在を忘れた
(物語開始)
・主人公も能力者だった。最初は乗り移りだと思ってたが
物語を通して主人公はハンターハンターのクロロのように「略奪」の能力を持っていることが判明した
・能力を把握した後の主人公はその強い能力に溺れて調子に乗っていたが「能力者狩り」に目をつけられてしまう。
・妹の歩未も能力者であり、能力者狩に襲われた際に「崩壊」の能力を発動させて死んでしまう。
・絶望した主人公のもとに「兄」からの使いがやってくる
・兄は、主人公に対して、自分の能力を奪って歩未を救うように求める
・兄の言う通り能力を手に入れたがその結果「都合よく情報が洩れて都合よくマフィアに襲われ都合よくタイプリープ能力を失う」
(物語の後始末部分:ここからようやく有宇くんが主人公)
・今まですごい狭い世界の話をしてたのに
「ダンガンロンパの人類史上最大最悪の絶望的事件」のようにいきなり世界レベルで
能力者たちがテロを起こそうとする。
・有宇くんは世界平和のため、全ての能力者たちの能力を略奪する旅に出る。
すべては友利奈緒という、自分が好きになった女のため。
そういえば本作品は主人公がテイルズオブジアビスのルークくんなみに幼稚だったことを思い出した
僕はズルしていい点を取っていただけのただのカンニング魔だ!
みんなからいい目で見られたかっただけのただの賤しい人間だ!
自分のことしか考えてこなかった嫌な奴だ!
有宇くんは全く感情移入ができない人物造形をしてた。
しかもルーク君と違って同情できる要素が少ないんですよね。
母親に見捨てられてグレていたという非常にシンプルな事情なんですが
母親も「兄がいるから大丈夫」と思ってたのに兄が記憶ごと存在消失してしまったという特殊事情だからなあ。
家庭事情で許されるレベルをはるかに超える犯罪をやってるので
別に夜神月くんみたいに普通の家庭だったけど能力をてにいいれて暴走した、だけで良かったんじゃないかな。
また、そのあとの「贖罪」はダイジェストだったこともあり、作品で稼いだヘイトを清算するには至らなかった。
この辺り、田中ロミヲの「家族計画」や「Cross Channel」と比べると構成技術の差が天地の差ほどあるなと思うんです。
メインヒロインであったはずの友利さんは「兄」の信奉者であり、主人公にとっては「保護者」だったというのがつらい
本作品は、主人公が友利さんに恋をして彼女のために人類すべてを救うために戦うセカイ系物語である。ところが、びっくりするくらい「恋」の説得力が低い。もちろん母に捨てられてひねくれてたネクラ少年が最初に出会った「オタクに優しいギャル」なので、好きになること自体は正義なのだが、こういう物語にするならもっと激しく恋愛してもよかったと思う。
そもそもがカタルシスなかったよね。幼稚で横暴な主人公に付き添ってくれるヒロインということでどういう謎があるのかなと思ってたけど全然納得できる理由じゃなかったのもほんとうに白けた。
ただ、有宇くんが好きになったのはタイムリープ前の友利さんであり友利さんと有宇くんの間に溝があるという設定だけはすごい私のツボでした。この溝を埋めるために、自分の恋を伝えるために命を懸けるっていうのは、うまく描かれてたら一生記憶に残るような作品になってたかもしれない。
改めてちゃんと読むと、「神様になった日」と比べれば面白いと思える要素はかなり多くあったので、すごく惜しいなと思った。
それはそれとしてマンガ版だけで描かれているエピローグについて
・償いの旅に出て、大切な人との記憶も失い、片目は見えなくなり、車いすが必要な身体になった主人公。
とはいっても「智代アフタ」の岡崎くんよりは全然ましで、学園の時の友人たちに囲まれ、楽しそうに暮らしていた。
ある時、音楽の力によって奇跡が起こり、有宇くんは記憶を取り戻す。
晴れて恋人となる二人。
これからは楽しいことだらけの人生にしていきましょう!
うん。
ご都合主義かもしれないけど、だいぶ良い感じになったんじゃないかなーって思います。
作品のことすっかり忘れてたーって人や、まったく見たことない人も、コミック版は結構おすすめ。
www.tyoshiki.com
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*1:というか、「AngelBeats」でも「神様になった日」でもそうだけど、麻枝さんは家族愛や友情を描くことは得意でも恋愛を描くのがへたくそすぎるんだよね……。なので「Heave Burns Red」で全員女の子にしたのは本当に英断だと思う。