382ページかけて描かれたエロ同人誌が話題になっていたが、382ページという数字に騙されてはいけない。
あなたが382ページという数字から想像するよりこの作品はもっとボリュームが多い。
他のエロ同人誌換算でいうと2000ページ分くらいのボリュームがある作品だ。これが880円というのはバグりすぎている……。あまりの力作に対して価格が安すぎるため、この作者さんの過去作品はすべて90%offで売られているがこちらも全部買ってしまった。こちらも全部面白かった。
評判通り「すごい」作品だった。
プロジェクト・ヘイルメアリーすら途中で挫折したくらいなクソザコな私が、これは一気に最後まで読みきってしまった。エロの力すげー。
「宇宙とは… 命とは…」みたいな正統派SFだよ、竜宮島の島民やヘイルメアリーとかが好きな人は好きなやつだよ、でもまぎれもないエロ本だよ、どうすればいいんだこれ、オレの胸に深々と刺さってるよこれェ、どうしてくれるんだァ
— マンゴスチンマン(寝具) (@xing_pix) 2023年6月23日
『出会って4光年で合体』は救済の話なんだと思ったし
— 同僚 (@douryou_) 2023年6月22日
直接的に登場する『銀河鉄道の夜』は勿論『よだかの星』も関係しているのではないかと思う。
評判を聞いて読んだ出会って4光年で合体、凄かった…「わしの命はわしだけのポルノだ」ってカッコよすぎるだろ…現時点でこの作品を評する言葉はわたくし持っておりません!ただ凄かった
— Torisawar (@torisawar) 2023年6月21日
『出会って4光年で合体』、タオルケットの件でガチ泣きしてしまった。タオルがね…敷いてあったんよ……。伝えたい、愛に包まれて生まれてきたんだと
— マミヤトシロー🍎 (@romanticju) 2023年6月22日
ものすごくざっくりいうとこんな感じ。【以下ネタバレ注意!】
スタートは弘法大師伝説。
それが現代のボーイミーツガールを経て
(真ん中に伝記の要素がたくさん登場する。100ページくらいなんだか難しい話が展開されるが1周目はちょっと置いておこう)
出会って4光年で合体、P124とP125をしっかりと熟読したタイプの人類だけがげらげら笑えるP154みたいなことをやってくるのすげえやられたって気分になるんですよね。どの面下げて「ええ、もちろん!」って言ってんだクリ爆先生。(時系列的にはやっぱり耐えられなかったって話なんだけども)
— 佐藤ぶそあ (@busoa) 2023年6月21日
終盤は完全にSFの世界だ。新海誠の「ほしのこえ」をぶっちぎって
P110の長曽我部真男との別れの約束。タイトルが出会って4光年で合体なもんだから、あ、この約束絶対に後で使う奴じゃん。お前この約束を守ってくれるやつじゃんって、この顔のいい男、本当に憎らしい奴ですよ。
— 佐藤ぶそあ (@busoa) 2023年6月22日
最終的には宇宙空間で「セックスしないと出られない部屋」をやる話になる。
最後の一撃は、せつない。
何を言われてるのかわかんねーと思うが、私にもわからん。
この作品で書かれていることを理解するのはたぶん無理だ。
いやもう、正直私の理解の範疇を越えてる作品である。理解や解説についてはぜひSF界の強者に挑んでいただきたい。
私はただ「なんかよくわからん。だけどこれはめちゃくちゃすげー作品だ」と思う次第である。
理解するのではなくその雰囲気を味わいたいだけであれば私のような人間でも全然楽しめる。
雑とかいうレベルじゃないけど本作は
「ブ男というだけで世界のすべてから拒絶されていたように感じていた人間が、絶世の美女と結ばれ、幸せになりました。みんなもそれを祝福しましためでたしめでたし」というだけの話だ。
「愛は美醜や人種、時間や空間、生死などありとあらゆる壁を越える」という描かれてることはただそれだけだ。
ただ救われない魂が愛によって救済されるというありふれた話を描くために古典から民俗学、宇宙から神まですべてが引っ張り出されている。
「それだけのためにここまでやらなくてもいいじゃんw」って人はこの作品は必要ないだろう。
そのくらい作者の中に救いきれないものがあったのか、愛のすばらしさを描きたかったのかも私にはよくわからない。
ただ「ここまでして描きたいシーン」がこの作者さんにはあったのだなということだけはわかる。
そのエネルギーに圧倒されること間違いなしである。
人生に閉塞感を感じてて「どうせ私なんて・・・」って思ってる人はぜひ読んでみてほしい。