今週号の東洋経済は「データ階層社会」といって、最近話題になった「ホモ・デウス」と「信用スコア社会」に関する特集が組まれている。
主旨としてはAIが「信用スコア」によって人を徹底格付けする社会、というものが想定されている。これはアメリカや中国ではすでにかなりの程度進行しており、大半の人間は「無用者階級」に落とされるというかなり煽り気味のことが書かれている。
最低は350点、最高は950点で、主に5つの観点で個人の信用度が評価される。
1)身分特質:社会的ステイタスや高級品の消費など
2)履約能力:支払い履行能力
3)信用歴史:クレジット履歴
4)人脈関係:交友関係の社会信用スコア
5)行為偏好:消費行動の偏り
700点以上で良好、750点以上でとても良好と考えられ、一定得点以上になると、ビザ取得が簡単になる、ホテルなどのデポジットが不要になるなど、さまざまな特典が与えられる。
先行事例としてシンガポールや中国における個人データ管理がかなり進んでいることの説明のほか、日本においても「ジェイスコア」構想が検討されていることが紹介されている。
最近はてなでは移民関係が騒がれているが、大枠としてはこの「信用スコア」問題を気にしなければいけないであろう。もはや「言語の壁」や「日本国民であること」で最低限の保証がされる時代ではなくなってきているということだ。
もちろん一方では、アメリカでは国家がこれに対抗する動きも出てきている。こうしてみると、トランプ政権やEUがFacebookやAmazonに厳しめの姿勢を示したり、GDPR制裁金を課すなどしている動きについてちょっと見方も変わってくるというものだ。
ほとんどのページにおいて、こうしたIT技術においては、日本は圧倒的にアメリカや中国に遅れていると感じざるを得ないが、果たしてこうした「信用スコア事業」方向の技術が進んでいることが果たして幸せかというとそうでもないような気がしてくる。本当に銀河英雄伝説で描かれたような「帝国による無用者の粛清」が行われたら怖いよね。
就職・医療・教育・保険などが最も影響を受けるが、フィットネス業界にも大きな影響が出ているらしい
んで、その「信用スコア」の一環として、健康問題も取り上げられている、今後は健康のために努力してない人間は信用スコアが下がってしまうかもしれないということだ。
そのため、今までは好きな人間だけが好みでやっていたり、会社の福利厚生として割引前提の価格で運営していたフィットネス業界だけれど「市民、健康は義務です」となりそうな兆候を受けて、今のビジネスモデルがすでに成り立たなくなりつつあるらしいです。不動産価格の上昇もフィットネス業界には逆風になっている、と。
その結果、「エニタイムフィットネス」の躍進に象徴されるように、価格帯が一段階下で、かつコストをかけないモデルのスポーツジムが勢いを増してきているそうです。大手ジムも最近は低価格帯の別ブランドを作り、そちらを出店しているとか。
さらに、みんな大好きRIZAPも、高額の個人コーチは頭打ち感があるとして、最近は集団エクササイズの「EXPA」などのブランドを展開し始めているのだとか。
こういう業界の変化の動きって面白いと思いません?
こういうのって一つ一つバラバラに見ていったら「ふーん」で終わっちゃう話ですが、
AIやらビッグデータやらの話から、個人の所得やら不動産価格やらが全部つながっていると考えるとめっちゃ面白いと思いませんか?もちろん、まだまだ因果関係とは言いにくい話とかもありますし、お前そりゃ妄想だろって話もありますがが、世の中のいろんな動きがつながってできてるんだなーって考えるの私はすごく楽しいと思います。
とにかく会社の中に閉じこもって社内のことだけ考えてればいい時代ではないことだけは確かなんじゃないかなぁ。そんなわけで、ぶっちゃけ今やってる仕事の役には全然役に立たないけど、新聞とか経済紙とかを読むのは結構好きです。みなさんも今週号は結構面白かったので、社内とか書店でみかけたら手に取ってみてはいかがでしょうか。
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