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「命令されなきゃ、憎むこともできないの?」(ブルーアーカイブ#3 エデン条約編3.私たちの物語)

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「理論が薄弱な割に主張が強硬な人」は、実は自分の利害にもとづいて発言しているだけだと思って警戒したい

ルワンダ銀行中央総裁日記 増補版」をちまちまと読み返しているのですがやはり面白いです。
tyoshiki.hatenadiary.com


作品の序盤で、援助のための融資を行う代わりに実施を要求している「平価切下げ&二重為替相場の是正」に関して、
現地の経済状況を確認するためにIMFの調査団がやってくる。

この時、服部さんはIMFが求めている「平価切下げ」に関していろんな立場の人間から意見を聞く。

IMFの調査団長ワイツネガ氏   →賛成
・大統領顧問のフライ氏(スイスから派遣) →賛成
・大蔵大臣            →反対
ルワンダの大臣・官僚(公定相場側)→反対
・外国人職員(公定相場側)    →反対
・鉱山会社(輸出側・公定相場側) →賛成
・白人商社(輸入側・公定相場側) →反対
・インド商人(輸入側・自由相場側) →賛成
・商業銀行の支配人(二重相場で利益)→反対


・大統領  ・・・・・・・・・ ???

各々自分たちの主張をするのは良いが、インド人商人以外はみんな「社会の為」「弱者のため」と、まるで自分の為ではなく社会の為だとでも言いたげなお題目を唱える。


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インド人だけ正直すぎワロタ


しかし服部さんは彼らは全員理解不足であるだけでなく単に自分の立場に有利な方を主張しているだけで、結局みんなインド人商人と同じだと見抜く。それを馬鹿正直に表に出すかそうでないかが違うだけなのだ。服部さんはその中でも特に、最も影響力が大きい商業銀行の支配人が単に自分の利害だけを考えて周りを煽っていることにいらだちを示している。

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ネットでも、きれいごとを言ってフォロワー増やしてるけど行動伴わない人いるよね

こういった厄介な連中と戦ったり時に懐柔したりしながら、中央銀行総裁として「国家」を変えていく物語、本当に面白いです。

*1



理論の強さと主張の強さは同じくらいにしよう=正直になろう

この本にもあるように「理論が薄弱なのに主張が強硬な人間」というのは警戒したほうが良い。

「あくまで利害関係でものを申しているだけだ。その際に唱えるお題目は、我欲をごまかすための嘘か、無知ゆえの思い込みであって容易にひっくり返るものに過ぎない」と考えておいた方が良い。

面倒であっても、大事なことについては「主張に対して、論拠の理論がしっかりしているか」を確かめる必要がある。

行動経済学などによって、人間というのは(当然私も含む)救い難い生き物であり、利害関係が絡むことほどおかしな判断をしてしまうことはよく知られるようになってきている。例えばプロスペクト理論=<利益を得る場面では「利益を確実に手に入れることを優先」し、反対に損失を被る場面では「損失を最大限に回避することを優先」する傾向がある>などはご存知だろう。

人間は簡単に間違った方を選ぶ。

間違ったら直せばいいだけだ。

でも、「理論が薄弱なのに主張が強硬な人」はそれがとても苦手なのだ。それどころか間違いを指摘されたら逆切れしたり、他人に自分の意見を押し付け、従わなければ否定しようとする。最近のネットではそんな人がたくさんいる。そういう人に付き合うと「間違ったから直せばいい」だけでは済まないことになりうる。自分自身がそういう人間になってしまう危険性もある。

こうならないために気を付けたい2点

①理論の強さと主張の強さは同じくらいにするようにしよう。強気で主張するとそれだけ撤回しにくくなる。普段から強気キャラを装ったり断言口調が多い人間は基本的にバカ状態だと思って問題ない

あることを腰を据えてじっくり学び始めると、しっかりした知識を獲得し、余程の自信を得られるまでは、自分の意見を発表しようとは思いません。そのテーマについて、先人たちがどのように思考してきたのか、よく咀嚼したうえで、自分の立ち位置を見つけなければならないのです。「専門家」とは、入力と出力のあいだに時間差を保てる人のことを言います。この時間差の広がりを「体系」というのです。逆に、その時間差がない人のことを、世間では「バカ」と読んでいます。
ネットにおいては、その人がバカかどうかというよりは、「バカ状態」というものがあって、その頻度が高いかどうかとか、その状態でのアウトプットを控えられるかどうかが境目に成るのかなと思います。

http://tyoshiki.hatenadiary.com/entry/2015/12/20/121131

②他人に指摘される前に、自分はどういう立場から発言しているのか自覚しておく。「他者を批判するとき」にこれを忘れる人が非常に多い。特にはてなブックマーカー。「自分は他人の間違いを指摘してるだけだ」と思ってる人は要注意。普段は控えめだけど他者を批判するときだけノーガードで自分をさらけ出してしまう人がものすごく多いです。

批判自体は簡単です。ただし、自身の品位や人間性を損なわずに批判するというのは、これは極めて高度な技術に加えて、強い精神力も求められるのです。

http://tyoshiki.hatenadiary.com/entry/2014/06/25/082438

学生たちは、私達から「なるべく批判的に読みなさい」とか「批判的なコメントをつけなさい」と言われると、どうも相手の欠点や欠陥を探すことを「批判」だと思いがちです。そのような態度で本や報告書に接する場合、ちょっとした欠点を見つけると、「しめしめ、ここを指摘してやろう」と、自分のことを棚上げして、その発見に喜んでしまったりします。そして、「あいまいだ」とか「こじつけだ」といった辛辣な批判をして満足するのです。




よく勉強して自信があることは多少強く主張してもいい。逆にネットで得た思いつきなんかは強く主張すべきじゃない。わからないことを分かったふりをしない。自分がどこまでわかってるのか把握して発言する。「なんだかわからないけど利害的に嫌だから反対」とかそのくらいの気持ちなら、その旨を正直に主張すればいい。

「正義」とか「道徳」の話になると、よくわかってないのにやたらどぎつい言葉でしゃべる人いるけど、私には「よくわかってないくせに大声で喚くバカです」って自己紹介してるようにしか見えないからやめたほうがいいと思う。


なんだか難しそうな話をしているように思うかもしれないけれど、ネットだからと言って過剰に自分や自分の主張を盛ったり飾り付けたりするんじゃなくて、正直に等身大の感覚を表現しましょうっていう話だと思ってます。

*1:ところで、服部さんは、これをルワンダ人の教養の低さやルワンダ人の性質であるとして日本ではそうではない、とでも思っている口ぶりなのであるが、残念なことに今のネットを見ていたら、日本人も全く同じだということは明らかですよね……