人はなぜ堕ちるのか?そこから這い上がるためだ
二回中断してようやく見終わった……。ダークナイトが2時間半全くダレずに見れたのとは対照的でかなりつらい。
後半部分、やりたいこと多すぎてすごいごちゃごちゃしてませんか?
後半どうしてこうなった……。
前半はものすごくやりたいことが明確でシンプルで、ダークナイトからの続きも感じられてよかったんだけど、後半はいろんなものがごちゃついてて、全然物語に乗れなかった……。
ベインが競技場爆破したところが個人的クライマックスで、そのあとはgdgd感すごかった。
とりあえず「バットマン」の中身であるウェインを徹底的に痛めつけてそのあとから這い上がるという展開をやりたかったのはわかる。
しかし、ベインおよびその黒幕があまりにも魅力がなさすぎる。単体で見ればそうでもなかったのかもしれないけど、もうビギンズでもダークナイトでも同じことやったやん……。というか、記事でも書いた通り「バットマン・ビギンズ」の時点ですでにうんざりしてたのにまだラーズの話引きずるんですか……まじですか……ってなった。ラーズの家族の設定ってそんなにひきずってまでやるべきものだったのか?
バットマンとジョーカーが非常に美しいコントラストを描いてると感じられたのに対して「ウェイン」と「穴の底の少年」はともかく、「バットマン」と「影の同盟」はただの力勝負だ。
ラーズはまだ自前で装備を用意してきたから殴り合いの構図でもいいんですが。今回の影の同盟は「ウェインの財産を盗んで、それを使って市民を脅す」というやり方だった。
それならそれで、その汚いやり方にふさわしい感じで、もっとバットマンを悪者として仕立て上げるどす黒い展開にしたらよかったんじゃないんですかね。「バットマンからいろんなものを奪い取って叩き落す」というやり口が重要だったはずなのに、あっさりとベインが「バットマンは悪者じゃなかった」ってばらして、市民のバットマンに対する悪感情を払しょくしてしまうのは何なの。
おかげで、すべてを失って世間からも憎まれて「穴の底」に落ちたウェイン君が穴から這い上がって、再びバットマンとして活躍するという、一番大事なはずのシーンがすごいあっさり終わってて、全然盛り上がらなかった気がするんですが。
精神的にいろんなものを乗り越えたウェイン君と、ゴッサムの人たちのバットマンに対する感情の裏返りみたいなのをシンクロさせるような脚本ではなぜいかんかったのか……。
「ベインと黒幕を分けてびっくりさせる」とかさ。
「ラーズの家族の秘密が明らかに」とかさ。
そういうの、私からしたらどーーーーーーーでもよかったんですが、これどうしてもやらないといけないやつだった?ベインさんを影の同盟と全く関係のないにして、まじりっけなしの悪にするわけにはいかんかったん? わざわざこれをやるために、メインテーマの部分の演出を削る必要ってあった?黒幕さんの話やりたかったんだったら、なんでウェイン少年と父親の話をもっとちゃんとやっておかなかったん? とか「???」がすごい。
キャットウーマンのやり取りもなんだか煮え切らない感じで悲しい。作戦上必要だったのはわかるけどなんかすごい中途半端だった気がする。 亡きレイチェルさんとミランダさんとキャットウーマンと3人も出されても困るし、キャットウーマンおるせいでミランダさんとの情事シーンが完全に浮いてるしおかげでウェイン君がただの恋多き男みたいになってるやん。
結局、この作品の監督は、市民というものをどういうものとして認識してるん?ただの便利な舞台装置?
3作品とも「ゴッサム」という街そのものを巻き込む物語なのに、市民というものをどういう風に描きたいのかが私にはよくわかりませんでした。
ゴッサムの人たち、こんな犯罪だらけの街に住んでる割にやたらと善良な人になったりやたらと凶悪になったりと精神が不安定すぎて、監督は「市民」というものをどういう存在として描きたいのかわからんです。
尺の都合上市民にあっさりと手の平クルーさせる必要があったのかもしれないけど、あなたたち8年間もバットマンを「正義の味方ハーヴィー・デントを殺したひでーやつ」って認識で憎んでたんじゃん。んで、ベインが真実を公開したら、あっさりと受け入れちゃうん?
挙句、死のプレッシャーがすごい強かったのかもしれないけど、自分たちが支持してきた現在の秩序全否定して、富裕層を無差別に襲ったり人民裁判とかやっちゃうん?(普通の市民は全員引きこもってただけで、「デント法で収容されてた囚人たち」や「貧困に苦しんでた住人達」だけが暴れまわってたという解釈も可能……なのかな?)
んで、最後にバットマンの銅像立てちゃうシーンとかもさ……。なんというかこう。
変わり身が早すぎて私の「ゴッサム市民」に対する感覚が変化についていかない……
あまりにも市民の情緒が不安定すぎるというか戯画的すぎて、見てられんかった。
「ジョーカー」の時にも思ったけど、あまりにも街として脆すぎる。
こんな単純な人たちなんだったら、二つのフェリーの時に爆破ボタン即押しでしょ。
それとも、あのフェリーに入った人たちは特に善良な人々であって、街を代表してないってこと? わからん……
とにかくおらこんな街嫌だ……。住人たちが何考えてるのかわからなさすぎて怖い……。自分が仮に富裕層だったとしたらこんな街絶対に住みたくない…。
でも「ゴードン×バットマン(ウェイン少年)」の描写とか、「ロビン(ブレイク刑事)」とかところどころにすごく好きな描写もあるから嫌いになれない
「正体は気にしなかった」
「それでいい」
「だが市民は知りたいはずだ」
「ヒーローは――どこにでもいる。
少年の方に上着をかけ、世界の終わりではないと励ますような男だ」「――ブルース・ウェイン?」
ここすき。ブレイク刑事とのやりとりも見てて好きだった。
こういうすごい好きなところと、「いやそれ要らんだろ…」とか「なんでやねん」って思うところが混在しててなんともいいがたい作品。
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見る価値は十分あると思いますが、「ダークナイト」レベルを期待するとつらいかも。
「ダークナイト」の続編で完結作だったのにそれほど盛り上がらなかったのはこういうことだったのかと7年後に今頃納得。
さて、次は何を見ようかな
何かおススメの作品があればぜひぜひ教えてください。
映画を見る経験値が足りなさすぎるので、いろいろ見ていきたいです。
特におすすめなければひとまず「バンド・オブ・ブラザーズ」を見る予定です。
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