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「命令されなきゃ、憎むこともできないの?」(ブルーアーカイブ#3 エデン条約編3.私たちの物語)

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父親が元◆◆◆電機社員だったので、新入社員が自殺したというニュースみてめちゃくちゃモヤモヤしてる

自分でも何言ってんのかわからない話ですが、◆◆◆電機の新入社員が自殺したというニュースについてモヤモヤするところがあったのでそのモヤモヤについて少しだけ吐き出しておきます。



www.nikkei.com

◆◆◆電機の技術職や研究職では2014~17年、長時間労働などが原因で自殺者2人を含む5人が労災認定された。うち、元研究職の30代男性はうつ病を発症したという。
取材に「(◆◆◆電機は)極限まで追い込んで成果を出させる体質だった」と振り返った。
研修時から怒鳴られ、配属後の職場は上司の「死ぬ気でやれ」といった怒声が延々と響き、社員の1割以上が精神疾患で休職した

もともとそういう「人を過剰に追い込む傾向が強い」会社だという認識です

事実はどうか知らない。偏見かもしれない。

でも私は父親を通して、以前から◆◆◆電機というのはそういう組織風度が強い会社であったと認識している。

学歴は高いが田舎出身の社員が多く、年功序列意識が半端なく強くきわめて上下関係に厳しいという話を田舎出身の父自身が何度も私に語っていた。私が親に口答えした時はいつも「◆◆◆電機だったらお前は***な目にあってるぞ。甘えるな」と家庭の問題なのに会社の話を持ち出されて抑圧を繰り返し受けていたのでよく覚えている。

父親はいわゆる団塊ピークのほんの少し下の世代であるが精神的には団塊の世代と同化しているため会社に対する批判を一切許さない。今回の件も「この程度のしごきで命を絶つとは情けない」「私の世代だったら笑いものになっていた」などというのであろう。今回の件とは違うが、別の時に過労死の話になったらそういうことを言ってた。まして自分がつとめていた会社の話になったら余計に若者のほうを否定しにかかるだろう。


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アメリカン・ビューティーのフランク・フィッツ(リッキーの父親。元軍人の父親)をイメージしてもらうとわかりやすい


*1

「仲間」でいるためのコストが異常に高い会社

一方で、◆◆◆電機は「仲間」は非常にする文化があるらしい。(それゆえに仲間でない人間に対してめちゃくちゃあたりがきつい)父は◆◆◆の風土に適合し、定年までずっと務めきり、退職した今でも手厚い福利厚生を受けている。そのため、繰り返しになるが父は会社のことが今でも大好きであり、家族であっても会社に対して批判を述べることを許さない。

非常に内輪向けな企業体質であり、強く会社と同化できないとこの会社で生きていくにはしんどいということなのかもしれない。「新入社員しごきのひどさ」はこの「仲間入りするためのコスト」が非常に高すぎることの裏返しであると思う

www.tyoshiki.com
だから、サバイバーは父のように選民意識を持ち、高圧的になるのかもしれない。なおのちに繰り返すが、父は全く自分が高圧的であるという自覚はない。

「そういう会社」に適合してしまった父親を持った子供として思うこと

なお、◆◆◆電機に適合した父親は、本人には自覚がないが、家族に対してめちゃくちゃパワハラ気質が強い。自分の言ってることに家族が従っている間はめちゃくちゃ機嫌が良いし気前も良いがちょっとでも自分の言い分が通らないとめちゃくちゃ怒り、すぐに「誰が食わせてやっていると思ってるんだ」を本当に口にする人間だった。それにも関わらず、自分は冷静に人の話をよく聞く人間で、部下からも家族からも慕われているという認識を今でも持っている。

彼は私と違って仕事は本当に優秀な人間だった。30台の頃は毎日終電まで働き、海外留学にも出て、高給を家に持ち帰ってきた。本人は美術館巡りとクラシックコンサートくらいしか趣味がなく、あとはひたすら仕事仕事であった。仕事の良しあしこそが全てという価値観であり、家族に関するトラブルもすべて「自分ならこうする」を押し付けるタイプであった。おそらく父より高給取りになるか、父が完全に衰えきるまでこの人の態度は絶対に改まらないだろうと思う。


もともとこういう人間だったのかどうかは知らない。母が言うには最初は人の話をよく聞く優しい人だったというが私はその時期を知らない。少なくとも会社に適合していく過程において、融通がまったく利かない、人と対話できずにブルドーザーのように力業で押進める人間になってしまったようで、私にとっては物心ついた時から、自分の意見をわずかなりとも曲げられない極めてナイーブで暴力的な人だった。それが◆◆◆電機で生きるということだったのかもしれない。


現在は、小説でよく戯画的に描かれるような典型的「退職した後妻から愛想をつかされる夫」状態である。「これだけ家族に尽くしてきたのに家族からは何の見返りもない」と嘆く父親の気持ちは想像できなくもないが、自分がどれだけ家族に「服従」を強いてきたのかを自覚してもらうまではおそらく関係が改善することもないだろう。 とにかく自分の気持ちばかりいっていて、私はともかく母親や姉がどう感じていたかのかを想像してみる、というアクションができるようになる日が来ることを願っている。


どうしても父親が元社員だと、この件に関して冷静に語ることは難しい

※そう考えると、東電にいくら恨みがあるからといって、その子供たちに石を投げた大人たちは本当にえぐいなと思う。



物事は、どういう立場から見るかで評価が大きく変わってくると思う。


本来であればいつもみたいに投資家目線で知ったようなことを語るべきなのかもしれない。
ほかの会社だったらたぶんそうしてたというかもともと最初はそうしようと思ってたんだけど書けなかった。
どうしてもこの会社については冷静に思考ができない。ついつい恨み節や否定的な感情がわいてくる。



恨み節の方としては、
父を通して接するこの◆◆◆電機という会社(範囲を絞って父親の勤めていた部署)は
一つの社員の家族にとっては「父親を奪って徹底的に変えてしまう」会社だった。
一方でそんな職場を父親は心の底から崇拝して一切の批判すら許さぬ感じだった。
父自身も会社について愚痴や弱音を吐いたことは見たことがない。
形だけ見れば「ソードアートオンラインアリシゼーション編」の整合騎士みたいに
「記憶を奪って忠実なしもべと変える洗脳」システムのようなものであり、とても恐ろしかった。



しかし、実際にはそんな完璧な洗脳システムなどこの世には存在しない。
どこかで無理は来ていただろうなと思う。
それでも結局、今の今まで、父親が会社について否定的なことをいうのを聞いたことがない。
弱音を吐いたりする人間は人間扱いされない会社だったのかもしれない。つらい。



◆◆◆電機でサバイブできるくらい強い父親と、そうなれなかったよわよわ息子

私は父親が本当に苦手だったしおかしいと思っていたけれど、
自分が就職して独り立ちするまではこの状況にNOと言えなかった。
なんでこんなことになってしまうんだろうってずっと悩んでた。
なにより、父ほど優秀でも我慢強くもない自分を知っていたからどっかで壊れると思ってた。
就職する前から会社員という働き方に恐怖をずっと感じていた。


大学入試までは頑張ってけど、途中で力尽きて大学の時にすでに心を病んでしまった。
そこからは、今に至るまで全く父の期待に応えるような生き方はできていないし
今でも会うたびに父親からは屑のような扱いを受けている。
30過ぎる位までは自尊感情が常に0を下回っており生きているだけでしんどかった。



今となっては、父親に認めてもらうことはもう諦めているし、
父親ではなくて別の人たちに認めてもらえるように生きていければ自分を許せるようになったけど
今でもあの頃のしんどかった時期は思い返すだけでダルいなーってなる。



人のせいにすんなって言われそうだけど。
私が今まで味わってきた人生のしんどさの大きな原因として◆◆◆電機という存在があるのは
少なくとも私の感情としては否定できない。
もし◆◆◆電機全体が父親のような思想を持つ人たちばかりだったら、
毎日否定ばっかりされてしんどいだろうなぁと想像はできる。



でも一方で、私は父が必死に◆◆◆電機に奉仕することでもらったお給金で育ったのだ。
きっと父以外にも、同じようにこの会社のために死に物狂いで働いてきた人たちがたくさんいるのだ。
その人たちを安易に否定することもできないし、でも会社にはすごい強い恨みがある。とても複雑な気持ちである。



うーん。やっぱり何が言いたいか自分でもよくわからないですね。チャンチャン。

実をいうと、他の電機メーカーが撤退してる中では今でも家電とか頑張ってるよね。まあ〇〇〇〇〇とか〇〇〇〇〇〇〇で儲けてるからこそできることではあるけど。本当はこっちの事業構造の話したかったけどやっぱ無理ー。





<おまけ>ちょっと違うけど「差別コスト」の話

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  • 発売日: 2003/04/10
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武士の家計簿では、幕末には武士という身分を維持するコストが高くなりすぎて多くの武士は借金漬けであり、
徳政令とセットであれば維新を歓迎する武士階級の人間は非常に多かったのではないか、と書かれてましたね。
「三菱電機」もこういう「武士」階級なのかもしれません。

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ろくでもないことがかかれてそうで怖い……。

*1:※これは余談だが、母親から聞いた「結婚直後の会社行事」の数々を聞く限りでは父が30台の頃のこの会社は今では考えられないほど非常に男尊女卑傾向が強かったと思う。「男らしさ」「女らしさ」みたいなものの押し付けがひどく、「社員の妻はかくあるべし」と社員でもないのにいろんな押しつけが多々あった。母は、この時期に会社の都合に振り回されてかなり苦労させられたことをあきれ口調で語っている。例えば①新婚夫婦の家には部署の人間みんなで押しかけるのがルールになっており、妻はその部署の人間をもてなせなければ三菱社員の妻失格といわれるというプレッシャーを受けていた、とか②よりによって新婚旅行の途中で上司の家族にあいさつに行かなければいけなかった、といったエピソードがあり、特に②については当時相当恨んだそうだ(数年後にやり直しを要求していた)