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『ミサイルとプランクトン』 停滞がテーマのSF作品。コロナで停滞してる今こそ読み返したい

数年前の作品だけど、なんとなく今が読むのに最適な時期だと思ったのでお勧めしておきます。

プランクという学者の名からとられた物理学用語がある。
物理現象の最小時間単位「プランク時間」。
あの日「停止」したこの世界を、私たちはそう呼んでいる

私たちのような数少ない〇〇〇だけが、
「プランク時間の物体=plank tone=プランクトン」として
この世界の中でトーンを失わずに存在することができる

原作田中ロミオ×「僕勉」の筒井大志作画というすごいコンビによるSF作品

はい。この時点で興味持った人は、以下の内容を読まずにそのまま作品を読むことをお勧め!

この作品は、ネタバレなしで読んだ方が面白いです。

ミサイルとプランクトン1 (電撃コミックスNEXT)

ミサイルとプランクトン1 (電撃コミックスNEXT)











ぶっちゃけ1話からネタバレができない作品なので読んでみてくださいとしか言えない

しょうがないなぁ……もうちょっとだけ説明します。

作品そのものの描写については語っちゃうと読むときにもったいないので、間接的な話をします。

田中ロミオの描いた作品に「CROSS†CHANNEL」と「最果てのイマ」という作品があります。

本作品は、この両作品を思い出させるような絶妙な設定の作品になっています。

上で説明した「プランクトン」はまさに「クロスチャンネル」と重るる設定だというのはプレイしたことがある人ならわかると思います。

そして、もう一つの「ミサイル」については「最果てのイマ」でとほぼ重なります。

田中ロミオ作品のエッセンスが両方楽しめる一粒で二度おいしい作品! ファンなら涙を流して喜ぶような作品と言えるでしょう。

もちろん、その二つの要素を合わせるために、上手に設定が組まれており、これらの作品を知らない人でも楽しめる作品となっています。とっても贅沢!

ただ、詳しく説明すると面白くなくなってしまいます。

1話目のラストからして「!!!」ってなるように組まれているので、ここで興味持った人は続きを読むのをやめてここで作品を読みましょう。

ミサイルとプランクトン2 (電撃コミックスNEXT)

ミサイルとプランクトン2 (電撃コミックスNEXT)











テーマは「停滞」

まだ記事読んでる人がいるとは思えないのでここからはネタバレ気味に書きます。

この作品のテーマはずばり停滞ですね。停滞といえば「おねがい★ティーチャー」が一番印象に残ってます。

実際、本作に登場するとあるカップルとかだと、停滞に対する向き合い方なんかはそのまんまおねティかな?って感じします。

私もずっと止まっていたよ、翔太。
世界が止まる、そのずっと前から。

でも、翔太と出会えたから、私は。
私の時間は動き出すことができたんだ。

救いたいだなんて、おこがましいかもだけれど。
動かしてあげたい。翔太の時間を前に

でも、そこは田中ロミオらしいというか。
別にそういう選択もいいけど、それはあくまで答えの一つであって、
別に「こうしなければならない」というものはない、というスタンスなんですよね。

そもそも、この「プランク世界」に適合できてしまうような人間は元の世界に適応できなかったものたちばかり。
なんかね、この作品見てると「ミスミソウ」を思い出すくらいにみんな痛々しい。

ミスミソウ 完全版 : 1 (アクションコミックス)

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  • 作者:押切蓮介
  • 発売日: 2017/12/23
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だから、元の世界に帰るのは全然最適解ではない。
そんな中で現状を変えようとするのは相応の理由と相当な勇気が必要になる。
それが得られた人とそうでない人の両方を描くことで、「停滞」について考えさせるようなつくりになっている。


そのために、ある人間が意図的に「停滞」状況を維持し続けてるんですよね。

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停滞したものを動かそうとするときの軋轢の描写がとても見事。

ただし、「停滞」は長くは続かない。望むと望まざるにかかわらず「動かざるを得ない」時が来る。

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停滞に耐え続けるには限界がある。コロナ経験した今だとここの重みはすごくよくわかる

でも、いざその時が来ても、停滞から解放されることを望んでない人間の方が強かったら?

何を言ってるんですか? ここにいる全員が、未来を拒んで停止を望んだのに?私は皆さんの望みを束ねて形にしただけ。なのになぜ、今更それを拒むんですか?

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完全に最果てのイマ


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結局、自分たち自身が自分たち自身の敵になってしまっている。

一度でも停滞を選んでしまったものがその決断を覆し再び動き出すのはとてもとても困難。
だからこそ、停滞をする言い訳として、動き出そうとする人間をバッシングして叩き潰す。

そのあたりの描写がとても見事に描写されています。


これって、今のコロナをめぐる状況とよく似てると思うんですよね

コロナでも、もうそろそろ動き出さないと全滅とまではいかなくても厳しいのはみんなわかってると思います。


でも、「緊急事態宣言」を解除することに抵抗する側のほうが強かったら?動き出すことによるリスクが怖くて前に進めなくなってしまったら?


みんながみんな自縄自縛になって動き出せなくなってしまった状態だと強い存在が、弱った人間を犠牲にして自分たちだけが存続しようとする。



まだ余裕がある人間は、自分たちより弱い立場の人間がちょっとずつつぶれていくのを見て見ぬふりをしたり冷淡な目で眺めているだけ。
自分たちは大丈夫だから、動くのはやめようってそのことばかり考えてしまう。
そうこうしているうちに、現状を維持している「リソース」そのものがどんどん枯渇していく……。




これって、今のコロナの状況をほうふつとさせるんですよね。




じゃあどうしたらいいんだろう?どうすれば一度停滞してしまった人たちがまた再び動き出せる?




みたいなことを考えながら読むと面白いんじゃないかなと思います。



正直ゼロ年代やまどマギあたりの空気を引きずってる作品で少し古い空気も感じますが、3巻完結でサクッと読み終われる上、先ほども述べたように田中ロミオのエッセンスが詰まっていてファンにはたまらない作品だし、そうでない人も、今の時期なら読んでいろいろ思うところもあるんじゃないかと思います。

ミサイルとプランクトン (3) (電撃コミックスNEXT)

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  • 作者:筒井大志
  • 発売日: 2016/06/24
  • メディア: コミック

というわけで、読むならまさに今。

停滞した状況で鬱屈している今こそ読んでほしい作品です。

たぶんこの時期以外に読んでも面白さは半減します。





ついでに、田中ロミオ作品触れるのが初めてで、もしこの作品よんで気に入った人は田中ロミオの「1巻完結モノ」のラノベはだいたいkindle unlimited で0円になってるのでそちらもチェックしてみるといいですよ。

犬と魔法のファンタジー (ガガガ文庫)

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これもkindle unlimited 読み放題対象です。



余談。
私が筒井先生で一番好きなのは「エスプリト」っていう作品です

エスプリト 1巻 (コミックブレイド)

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  • 作者:筒井大志
  • 発売日: 2018/11/05
  • メディア: Kindle版
この作品黒歴史扱いになってるっぽいけど私は好きです(半ギレ)