頭の上にミカンをのせる

「命令されなきゃ、憎むこともできないの?」(ブルーアーカイブ#3 エデン条約編3.私たちの物語)

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「抜きゲーみたいな島に住んでる貧乳はどうすりゃいいですか?2」完了

「ぬきたし」に引き続き「ぬきたし2」をプレイしていましたがついに最終ED「黄金の秋」シナリオまで読了。


これにていったんこのゲームは終了となります。


2も1に引き続いてめちゃくちゃ面白かったです。

プレイ時間は1&2トータルでちょうど50時間くらい。


かなりの分量ですが、「やっと終わった」というよりはもっともっと遊びたかった、という気持ちの方が強いです。ちょっとした「ぬきたし」ロス的な状態になるくらいにはハマった感じです。(ランスシリーズはこの100倍くらいロスが大きくて2018年2月にプレイして4月くらいまでは心がしんどくて使い物にならなくなりました。当時のブログ記事とか毎日女々しいこと書いてたね……)

残念ながら続編とまではいかないものの、今後作中の人気サブキャラ(スス子)の追加シナリオなどが投入される予定ということなのでとても楽しみです。



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※以下少しネタバレがあるので作品プレイ中の人は終わってから読んでネ!


かつてエロゲを愛してた頃に自分を惹きつけていたものが一作品にギュッと詰まってる感じ

エロゲ文化というものに対し、終始メタな視点立ち位置から愛を叫び続けてるこの作品。

荒唐無稽な設定や頭のおかしい会話など、ガワだけ見ればまさに邪道・外道です。

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なんですが、ふたを開けてみればストーリーはものすごくまっとうな、エロゲの王道ど真ん中のストーリーです。


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①1の個別ルートでは「トラウマや憎しみにとらわれて身動きが取れなくなっていた主人公が、女の子の導きに救われて過去の縛りから脱出するストーリー(アリアドネ・プロトコル)」。
②それが1のグランドルートでは「好きになった女の子の願いをかなえるために自分をおさえて憎んでいた相手とも手を取り合う」までに成長する。(タクティクス・オウガのデニムをほうふつとさせる)

タクティクスオウガ 運命の輪 Art Works (画集)

タクティクスオウガ 運命の輪 Art Works (画集)

  • 発売日: 2011/05/19
  • メディア: 大型本

③2になると「女の子に救われた主人公は、ザ・エロゲ主人公として、仲間の助けを借りながら今度は自分が「かつての自分」「ありえたかもしれない自分」的なポジションにいる人間を助ける」までに至る。

幾重にも辛酸を舐め、七難八苦を超え、艱難辛苦の果て、満願成就に至る

このあたりの展開、本当にエロゲ主人公の王道オブ王道なのですが「一番ひどい状態」から「一番格好いい」ところまで一つの作品で全部やってくれてるんですよね。
この作品単体でも無茶苦茶面白いのに、プレイしながらいろんなエロゲの思い出がよみがえってもう胸が詰まる思いでした。



エロゲが衰退したといわれる理由を全部ぶち込んで、それでもなおヒットさせてみせる、その強引な力業に深い愛を感じる

エロゲそのものが

・ボリュームが増大しすぎたとか
・日常シーンが冗長すぎるとか、
・フルボイス化が衰退の原因だとか
・昔はエロゲだからこそできることがあったが今はそんなものないとか
・煌めく才能を持つライターはみんな去っていったとか
・お手軽な消費が好まれる時代の流れに取り残されたとか

いろいろな形でエロゲ業界(フルプライスのノベル形式ゲーム)の衰退が言われる中、明らかに王道から外れた立ち位置にいるメーカーが昔ながらのあほみたいなボリュームで、かつてエロゲがプレイヤーたちを魅了した要素を全てやりつくそうとした。エロゲってこんなに素晴らしいんだぜっていうのを見せようとした。


私は昔エロゲたくさんやってたから、なんかそういうメタ的な部分でもこのゲームにはすごいぐっと来てしまいます。



意味不明なたとえをすると、エロゲというのを一つの国に例えるなら、「自分はエロゲ国のメインストリートを歩むような存在ではない」として都から離れながらも、辺境の地から誰よりもエロゲのことを思い支えようとする真の愛エロゲ者みたいなもの。 ヴィンランドサガのトルフィンか、またはユーベルブラットのアシェリートか。

いずれにせよこのゲームの製作会社さんのこの立ち位置はとても切なくて、それでいて誇りを感じる。


そんなところが好き!抱いて!(=次回作出たら絶対やると思う)





なんかね、このゲームはほんとに昔エロゲ好きだった人に絶対にやってもらいたいです。自分が昔エロゲを好きだったことへのご褒美みたいな作品だと勝手に思って

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※以下の部分は独り言です。自己満足の一人語りであり他人が読むことを想定してません。読んでも意味不明だと思います。ぬきたしシリーズのあらすじとか感想自体はまた別にかければ書きたいなと思います。



とにかくこのゲームのキモはストーリーではなくキャラクター。

エロゲというのはシナリオだけでなく、そこにグラフィック・音楽・声といった演出が合わさったものなのですがこれだけならもう他のゲームの方が優れたものが出てきています。(最近やった「ラストオブアス」や「キムタクが如く」など)

そんな中で、高価格でしかも長時間プレイが必要な「フルパッケージエロゲ」というのはそれだけ特別な価値が求められる商品であると思っています。


じゃあその特別なものって何だといわれたら個人的には「キャラクター」以外にはありえないかなと。


シナリオ読んでるうちに人間のことが好きになれない私のような人間でもゲームのキャラクターのことが好きで好きでしかたないくらいにさせてくれるのがエロゲだろうと。エロゲにしかできないようなキャラの作り方・描き方があるだろう、と思ってます。



そう考えると、「キャラクターの多面的な描写によるキャラへの強い愛着の醸成」と「振れ幅の大きさ」こそが、長時間プレイが必要なフルパッケージエロゲの強みである(弱みでもある)のかなと。




「ぬきたし」シリーズはそういう意味で、まさにエロゲとしての武器を最大限活用している作品だったと思います。




①キャラクターの多面的な描写によるキャラへの愛着の醸成
「ぬきたし」のキャラクターはどの人物も他のゲームにはないほどのピーキーな個性を持っています。そんなキャラクターたちが織り成す〇ンポの良い掛け合いがとても楽しかった。声優さんたちの熱演もあり、飽きずにプレイすることができました。長時間かけてこの小気味良い〇ンポのやりとりを聞いているうちにいやでもキャラクターに愛着がわいてきます。


攻略ルートが決まっても他のキャラクターは仲間として最後まで主人公と共に戦いますし決して主人公とヒロインだけの物語になっていないのも好みです。このため、複数シナリオでヒロインたちのいろんな側面を見るうちにさらにキャラのことを好きになってきます。 特にミサキチは自分のシナリオよりほかのキャラのシナリオに出てる時の方が輝いてるよねw



②シナリオやキャラクターの「振れ幅の大きさ」
本作品のシナリオはコナンのアレじゃないですが「設定は下ネタ会話満載、かつIQが解け切った完全にバカ方向に振り切った最低な世界観」「シナリオはマイノリティ故のコンプレックスや悲劇から救われたり人を救ったりするシリアス展開」という形で強烈な落差があり、「ボラティリティ(振れ幅)」がすさまじかった。


この「振れ幅」を作り出すことにおいて本作品は徹底しており、2ではなんと主人公たちが「並行世界」に飛んでいくというトンデモ展開が起き、そこでは「自分と正反対の生き方を選択した自分」が築き上げた人間関係や「自分と逆の境遇で生きてきた存在」と対峙したりします。

「キャラクターを際立たせるためにここまでやるのか」というくらいやってくれてるのがすごい。


キャラクターを輝かせるためなら荒唐無稽な設定でもなんでもやってやるぜという狂ったサービス精神。


良い意味で頭が悪すぎて、いろんな意味でエロゲにしかできないことをやってくれたなと思うのです。




本作がここまで極端なことができたのも、最初から「リアリティ」度外視してキャラを作ってくれてるからだと思う

この作品は「非実在少女はどうすりゃいいですか?」というOP曲で始まり
非実在系女子達はどうすりゃいいですか?とは (ヒジツザイケイジョシタチハドウスリャイイデスカとは) [単語記事] - ニコニコ大百科

「非実在系のわたし達」というED曲で終わる。
非実在系のわたし達 / 綾瀬理恵 の歌詞 (2822689) - プチリリ


最初から最後まで、このゲームのキャラクターはリアリティなど度外視したおかしな生き物です。主人公を含めてありえない能力やありえない性質をもった宇宙人みたいな存在。次元そのものが違うのだから宇宙よりも遠いヒロインといえる。

でも、そんなリアリティを度外視したキャラクターたちだからこそできる話もあるよねと。エロゲのキャラなんてもともとがメルヒェンやファンタジーなのだからそれでいいじゃあないですか。われわれの世界における、人間的ないろんな制約を取り払ったうえで、真ん中には人間的なテーマを載せているからこそこの作品はとても面白いものになったんだろうなと思います。



本作は、シナリオライターの感性重視というよりも、会社で一丸となってきわめてシステマティックに設計されたエンタメ製品という感じがします。なので、きっと次の作品も面白いという信頼があります。

次回作が楽しみで仕方ないです。