10月からの放映アニメに「レヱル・ロマネスク」という作品があります。
railromanesque.jp
これ私が好きな声優の洲崎綾さんが参加されているので見るつもりなのですが、
元々は「まいてつ」というゲームの設定をもとに、その後日譚を描いたものです。
ゲームの「まいてつ」とはまったく内容が重複しないのですが
結構世界観が独特なので、どういう経緯で物語がスタートしているのかを描いている「まいてつ」のことを知ってると
より楽しめるだろうと思います。
というわけで、簡単にあらすじを紹介しておきます。
原作の「まいてつ」は町おこしがテーマの作品
一言でいうと「廃線間際の鉄道を救い、SLで町おこししていくお話」です。熊本県の人吉市をモデルとしたオヒトヨ市(お人好し)という架空の町で、廃線間際の鉄道を守るために工場誘致派をけん制しつつ、壊れたSLを復旧させてそれを観光資源として活用することで町おこしをしていきます。
ラブライブ!とか好きな人に刺さりそうな青春群像劇です。
そのうえで、「ライブで優勝して一発逆転!」みたいな展開ではなく、一つ一つ丁寧に話を積み上げていく展開のがとても印象的です。
「まいてつ」のあらすじ
プレイ時間としてはだいたい共通ルートが6時間くらい。3人の個別ルートがあって、それぞれ6~7時間になっています。
序盤の設定を箇条書きにしますとだいたいこんな感じです。
・舞台となるオヒトヨ市は、昔は蒸気機関車と酒蔵で栄えた町だったが今はすたれ気味。列車を廃線にし別の産業を招き入れようとしていた
・市長は鉄道好きということもあり「個人所有」の形で蒸気機関車1両を保有し、観光列車として列車運行することで現状を維持したいとしていたが、議会では工場誘致派の声が強くなっていた。
・観光名所である球磨川も人が減って、ほとんど産業としては成り立たない状態に
・酒蔵だけは未だに保っていたがこのままではどうなるかわからない
・地場の銀行は、地元お越しのため積極的に外部から「エアクラ」工場を誘致しようとしており、そのために採算が取れない列車は廃線にしようとしていた。
ここから物語が始まります。
主人公は両親を事故で亡くした後、「祖父」と呼べる人物に引き取られ幼少時代をこの町で過ごした人物。水がきれいで蒸気機関車の走るオヒトヨ市を愛していたので、工場誘致に反対して今の町を守るために大学を休学して帰郷する。
とはいっても、ただ工場誘致に反対すればよいというものではない。それは独りよがりであって、将来を不安な市民たちのことを考えていないし、賛同してもらえない。自然を守っても町の産業が成り立たなくなれば結局愛した町は滅びてしまう。 なので、何とかして「エアクラ工場誘致」以外でこの街を盛り上げることができないかと考えていた。
ハチロクという「レヱルロオド」(ボディが2つある)と、本体である列車は別という点だけ理解しておこう
ここで、悩みながら「祖父」的存在であった人の遺品を整理していると「ハチロク」という名前の「レイルロォド」に出会う。
このこがハチロク。 国産量産蒸気機関車第一号8620型に付随する「レヱルロオド」という存在。 列車に宿る精霊さんみたいなもんです。
んで、ハチロクは祖父がこの町のために主人公に託した存在だった。
とはいえ、レイルロオドのハチロクは生きていたが、本体である「8620列車」は大破していた。十数年前に事故でこうなったらしい。運行させて町おこしに使うどころか、この8620列車を修復するだけで1億円以上の資金が必要。部品もすでに現存しないものがあり、完全に修復できるかどうかは不明な状況に。 ただでさえ産業が衰退して経営が苦しい市がそんなに金を出せるわけもない。 普通に考えれば絶望的な状況だった。
しかし、ハチロクも主人公もあきらめない。なんとしてもハチロクをもう一度走らせたいと決意し、改めて主従契約を確かなものにするのだった。
部活ではなくて、きちんと産業として金集めを行うところが面白いです。発売当時よりもCFが盛んになった今の方がしっくりくると思う。
このあたりからがぐんとおもしろくなってきます。
きれいごと抜きで、ハチロク修復にも町おこしにも人でも金も要ります。 なにより、儲かる産業がないところに人は戻ってきません。 なので、オヒトヨ市にあるいろんな人たちと出会ってその魅力を確認し、それらを「経営資源」としてハチロク修復の資金を集めようと奔走することになります。「町おこしの経営資源」という観点でいろんな人たちと交友を深めながら一つの目的を達成していく様子が青春物語としてとても熱い!
ここからイベントをこなしながらいろんな協力者の力を得て、1億くらいなら何とかなりそうだと思ったところに次の課題が降りかかります。
1億というのはあくまで車両の修理にかかる費用だけ。保線費用のことを考えていなかった。
資金難で長い間放置されていた路線周辺は整備が全くされておらず、そのせいで事故が起こりそうになる。 急いで対応する必要が起きてしまい、車両の修理だけではなく「保線」や「路線増設」の費用でさらに4億円必要になってくる。 ここまでくると、個人的な支援だけでは絶対に賄えない。
なので、いよいよ銀行からの借り入れが必要になってくる。
では何を担保として差し出すか…という問題になるのだが…・最初は主人公が保有する資産(エアクラのナビという高価な機械を相続していた)を担保に入れようとした。 しかしこれだけでは2億円しか借り入れができない。 そこで銀行側は「主人公自身を担保とする」ことによって必要な融資を行うと言ってきた。
普通銀行は個人にそこまでの担保価値をつけたりはしない。主人公にそこまでの値段をつけたのには理由があり、主人公は一度鉄道事故の際に心が完全に死んでしまったのにも関わらず立ち直ったという心の強さを気に入ったのだという。
ここで主人公の過去が明かされます。
そう、主人公は10年前、鉄道事故で愛する家族をみんな失い、その後心がが死んでいたのだった。その後、右田家に引き取られて、長い年月をかけて心を復活させていたんですね。これは、ハチロクが主人公と同様に一度鉄道事故の後心が死んでいたのに主人公の求めに応じて目を覚まし、悲惨な現実を知りながらもまた立ち上がったこととシンクロします。
かけがえのない人を失ってしまった苦しみと罪悪感を抱えて生きている主人公と、同じように自らのマスターを自らの無力さで失ってしまったことを気に病んで心を凍らせていたハチロクの関係は共感で強く結ばれていきます。
結局、主人公に手を差し伸べてくれたのは、今まで事態を知りつつも静観していた右田家の当主であるマクラさんでした。
とりあえず試験走行のシーンはぜひ見てほしい
マクラさんから援助を受けて資金のめどがついたことで8620復旧計画も無事難所を乗り越え、しばらくしてようやく1kmだけの走行テストにこぎつけるます。
初めて火室にて着火するシーンは、事実を淡々と描いているだけなのに演出とセットでとても気分が盛り上がりました。
ここで共通ルート終わりです。ここから3つのルートに分岐します。
①ハチロクとともに機関士としてつとめるルート
②市長のポーレットとともに市政を中心に街の復興を目指すルート
③妹であるヒビキとともに、街の現場から鉄道を応援していくルート
この記事はいったんここまでとして、後半で「①ハチロクルート」の紹介をします。
おまけ 元ネタの熊本鉄道は、今熊本の豪雨の損害からの復旧のためにクラウドファンディングを実施しています
おまけというかこちらの方が本題かもしれませんが。
九州豪雨により大きな被害を受けた熊本や人吉市の復興については、クラウドファンディングがかなり機能していたりします。
興味がある人はチェックしてみてください。
*1:※このあたりの「人集め」のシーンでは名作「Maple Colors」を思い出します。Maple Colorsは個性的な人間たちを集めて「演劇勝負」に挑む話でした。 当時ノベルゲームばかりだったのに、このゲームは画面中を歩き回ってイベントをこなしながら人を集めるという形式であり、ものすごく新鮮な気持ちで楽しめました。 他にもリトルバスターズのTrue Endルートとかね。 またこういうゲームプレイしたいなあ……って思ってたので 似たようなことをこのゲームがやってくれててすごくうれしい気持ちになりました。