【悲報】フェミさん、エロ要素ゼロの広告に噛みつく「女性をキャッチーに使うだけの広告は女性性の搾取だ!!」 - Togetter
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極論を強弁しておけば、それより穏当な主張が通りやすくなる。実際、コメント欄にも「萌え表現はともかく……」的な意見が出てきている。 / この手の極論は、「モット・アンド・ベイリー論法」に転用されがち。
2020/12/29 21:32
togetterについては「フェミニスト云々」じゃなくて、ただのバカが一人で吠えてるだけなので晒上げよくない、で終わりなんですが
この手の極論は、「モット・アンド・ベイリー論法」的に転用されがち
という指摘はとても重要だなと思いますね。
モットアンドベイリー論法とは=「ドア・イン・ザ・フェイス」戦略の詭弁バージョン。いう方も言われる方も知らないと感染しやすいので非常にタチが悪い
くっっっそタチの悪い詭弁です。
「ドア・イン・ザ・フェイス」というのは聞いたことが有ると思います。
「最初にわざと無理めの要求をした後譲歩の姿勢を見せることで小さな要求が通りやすくなる」という営業テクニックのことですね。
これを、営業のテクニックとしてではなく、詭弁として悪用したものがモットアンドベイリー論法になります。
詭弁界の中でもエース級存在(たぶん現在ネットで使われてる詭弁の中でトップクラスに多い)です。
にも関わらず、知名度が低くたいていの場合、そもそもこの論法を使ってる本人が、自分がこの詭弁を使ってることを自覚できていません。
まして、適当に読んでいたら受け手はこれが詭弁だと気づかずに簡単に受け入れてしまいがちです。
つまり、使う方も受け手側も無防備なので感染力が非常に高い。そのあたりが本当にタチが悪いんですよ。
そういう意味でも「こういう論法にはちゃんと名前がついてて詭弁として認定されてる」ということは知られてほしい。
①自覚的に使われるモットアンドベイリー論法
常識的な主張と過激な主張を使い分け
過激な主張を批判されれば「私が本当に言いたいのは常識的なことだ」と弁解し、
常識的な主張の同意を得れば「過激な主張が立証された」と強弁する論法。
いますよねこういう人。例としてはこの記事でとりあげたユンダさんあたりが該当しますね。
こっちのタイプは邪悪すぎるのでみかけたら丁寧につぶしていきたいくらいに嫌いです。
②無自覚に用いられるモットアンドベイリー論法
www.anlyznews.com
その主張が過激でトンデモであると非難されると、もっと穏当なことを主張している、それが分からない人がおかしいと弁解をする
いわゆる後だしじゃんけんです。はてな専用用語で「真意システム」とか「動機システム」と呼ばれることもあります。
こちらはそれほど罪はないと思ってます。
うっかり言いすぎてしまった後で、自己弁護の気持ちが働くことは誰にでもあるはずなので。
ただし、いいね数が1000を越えてくるような世界では「無自覚だから」では済まされないんじゃないでしょうかね。
私はこのモットアンドベイリー論法がめちゃくちゃ嫌いです。理由は単純。「危険だから」です
3年以上前にもこの論法は非常に危ないという話をしてます。
最初から「言い過ぎ」がなければこういう不毛なことに成りません。最初から「正しいこともある」なんて言い分を認めず、間違った発言を取り除いて議論をやり直せばズレたところで争いは起きないわけです。部分的に正しいが「全体」が間違っている意見というのは、完全に間違ってる意見よりたちが悪い。
もちろん「部分的に正しいが全体として間違っている主張」をしてしまうことは誰にでもあります。それをしてしまうこと自体はそんなに問題じゃない。そういう主張をしていた時に、それを指摘されて意固地になるような人とか、そういう意見をベースとして議論を始める人がアカンという話です
以前「マルクス」という人がこの論法を濫用しまくっていましたね。*1
2018年ころのツイッターフェミニズムは今よりはるかにひどくて、この程度の詭弁をありがたがって担ぎ上げていたので唖然とさせられました。
私はそれまではフェミニズムについて応援したいという立場だったんですが、マルクスさんの詭弁に全く気付かずに賞賛されていたのが原因でそれ以降は「ツイッターにおけるフェミニズムは賛成する反対する以前問題。そもそもまともな主張として扱うに値しないカス」という認識に代わってしまいました。
そのくらい、この論法には十分気を付けるべきだと思っています。
いまはさすがにマルクスさんほどの害悪の強い言説を無邪気に拡散しようとする人はそんなに見かけなくなりましたね。
そういう意味で、私的にはツイッターフェミニズムは以前よりは改善されつつあると思ってますよ。
どちらかというと今はアンチフェミ側にそういう人が多い気がします。
この「モットアンドベイリー」論法をきちんと抑制できるかどうかが「ただのバカのたわごと」と「まずは主張として認める価値がある意見」の境界だとすら思う
繰り返しになりますが、この論法は害が大きいのでかなり気を付けた方が良いです。
この論法を使ってる時点で一度門前払いにして出直させるくらいの対処をとってもやりすぎだとは思いません。
- 作者:森山至貴
- 発売日: 2020/08/19
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
正確な定義は意外と難しいのですが「最初に過激なことを言って、ツッコまれると言い訳しながらちょっとずつトーンダウンしていく人」の発言はだいたいこれだと思っていれば間違いないです。
①「自分が話す内容についてよくわかってないorよく考えない人=つまりバカ」が
②注目を集めようとして大げさに語ったり語調を強めたりしながら
③知ったかぶりをして語ろうとする
という3つの条件を満たしていると、高確率で発生します。
普段誰からもツッコまれない人、逆に同質性が高い人が密集したエコーチェンバーの中で「どれだけ過激な表現ができるかというチキンレースをやってるような人たち」の間で多発します。「愛知県の知事へのリコール運動」とか「反安倍政権へのハッシュタグ拡散運動」とかやってる人たちとかが典型例ですね。
その場のノリとかイキオイに合わせることが大事で、そのために自分の頭で考えることをあえて放棄することが求められるような付き合いをしているとどんどんこの論法が増えてきます。「党派性が強いコミュニティ」で発言するときは、自分がこのトラップにハマってないか十分気を付けるべきだと思います。
そうしなければ、誰かの号令で加害の意識もなくわっと殴りかったあと、勢いが去った後で我に返ってツイ消しをするなんてことになりかねません。
今気付いたのだけど、自分への批判ツイート山ほどあったのに綺麗に無くなっててゾッとした pic.twitter.com/12hDxmmZ4Z
— CoCoLo (@ShounenNoCoCoLo) November 25, 2020
つまりこの論法が批判されずに当たり前のように受け入れられている場合、そこはもうそこのコミュニティの空気が腐りかかっているってことです。この論法についてちゃんと身内からツッコミが入るようなコミュニティは個々の独立性が保たれており、非常に健全だと言えます。
今後重要になるのは、その「みんなの意見」と専門家をどう使い分けるか、という話だろう。これは、まだ答えがない分野だ。
以下に並べる条件が、群衆の英知がよいものとなるために欠けない条件である。
①意見の多様性:個々の人間はある事実に対して、固有の情報を持っているべきである。たとえ突飛なものだとしても。
②独立性:個々の意見は周りに流されるものであってはいけない
③分散化:個々は専門によって固有の知識を伸ばせる
④集約:個々の意見を集団のものに統合するためのメカニズムがいくつかある
不健全なコミュニティでは①~③が完全に機能停止してる。そういうコミュニティにおける「みんなの意見」は害の方が大きい。そういう意味で、モットアンドベイリー論法的な発言を見かけたとき、その発言がどのように受け止められているかを見ることはコミュニティの健全度をはかる指標としてみることができるかもしれません。
「モットアンドベイリー論法」にちゃんと気をつけておかないと、あっさりと自分が「凡庸な悪」に陥りかねない
とにかくこれについては警戒してもしすぎるということはないはずです。
そういう意味でも、今回はまず言葉だけでも頭の片隅に入れておいてほしと思ってます。
*1:あと「くたびれはてこ」さんも一部記事がひどすぎたんですが、こちらは当時精神的に不安定だった時期ということで不問でいいと思います