時は1802年。200トン以上の交易品を積んだ商船「オブラ・ディン号」が、ロンドンから東方に向けて出港した。その6か月後、同船は予定されていた喜望峰への到達を果たさず、消息不明扱いとなった。そして今日、1807年10月14日早朝のこと。オブラ・ディン号は突然、ファルマス港に姿を現す。帆は損傷し、船員の姿も見えない。これを受け、東インド会社ロンドン本社所属の保険調査官が、ただちにファルマス港に派遣された。同船内を直接調べ、損害査定書を作成するために――。
4年前に行方不明になり、脱出した数人を除き全員が死体となって戻ってきたオブラディン号。
いったいこの船に何が起きたのか。
死体の残留思念をたどれるアイテムを使い、60人近い死体から少しずつ情報を集め、一人一人の死因を探っていく。
という作品。
めちゃくちゃ面白かったです。
どういうゲーム化は百聞は一見に如かずなので、プレイ実況動画を見てほしい。
既プレイ者の方向けに感想をつぶやいておきます。
ゲームとしての完成度がヤバイ
レトルトさんのYouTube配信を見て、自分でやってみたいと思って買ってみたのだけれど、面白い云々の前にクッソ難しかった。
ただし、このゲームは難しいかわりにゲームデザインがよくできてて根気さえあればだれでもクリアできるようにはなっている。
①クリアできるように、シーンごとの登場人物を絞ってくれてる。情報量を上手にコントロールしている。
②途中で心が折れないように、興味を引き付ける順番でちょっとずつ謎を小出しにしてくれている。量だけでなく順番も完璧。
③都度都度都度答え合わせもしてくれ、ちゃんと答え合わせが終わってから次のシーンに進む仕組みになっている。アメとムチの報酬系が完璧。
推理シーンについても、各シーンのグラフィックがとてもよくできており
良質の推理小説を、ゲームとして楽しませてくれる仕組みになっていると思う。
これが2250円……ウマ娘の10連ガチャより安いって……明らかに何かが間違っている。
絶賛しまくってるけど途中で挫折したマン
でもごめん、私は根気がなかったので途中で挫折しましたん。「破滅」のところむーりー。
でもね。言い訳になるけどこのゲーム別に無理に自力でクリアしなくてもいいと思うねん。
YouTubeの実況プレイ動画とかで全部答え見てからやる、で全然いい。
もちろん自分で一から推理するのも面白いと思うが、一人でやるにはかなり厳しい。
むしろ、この作品の面白いのは答えを知ってからそれぞれのキャラクターの人間関係を理解していく2周目のプレイ部分だと思う
本作品は、オブラディン号に乗っていた60名以上ののキャラクターの顛末が描かれるのだが、各シーンの描写のこだわりが凄い。
60名ものキャラクターがいるのに一人一人のキャラクターや人間関係までが細かく細かく設定されており、無駄なキャラクターがほとんどいない。
終盤で死ぬキャラも、そのシーンだけでなく、4~5シーン登場している。
この静止画のシーンだけでも、その人物がどういう経歴のどういう性格の人間で、どういう人間と仲が良いか、仲が悪いかがわかるようになっている。
これがこの作品の本当にすごいところだなと思うし、そうやってそれぞれのキャラクターの人間関係を理解するところが面白いと思う。
同じ船を舞台とした作品ということもあり、hunter×hunterの王位継承戦編の中に入り込んでいるような感覚を味わえる。

HUNTER×HUNTER モノクロ版 36 (ジャンプコミックスDIGITAL)
- 作者:冨樫義博
- 発売日: 2018/10/04
- メディア: Kindle版
競馬の面白さが、レースの勝敗結果だけで決まらないように、レースの結果が分かってから逆算的に、その結果に至るまでの過程やドラマを楽しむというのでもいいのではないか。(言い訳)
本作も、推理部分まではYouTubeで見て、そこからの部分を楽しむだっていいじゃないか!(言い訳)
普段推理小説読んでるときだって、自分で推理している人達ばかりじゃないじゃないですかああ!(言い訳)
3Dグラフィックを使って、「1つの静止した空間」にとんでもない量の情報量をぶち込んでくる作者様が凄かった
このゲームで一番感動したのは、1つのタイミングで同時並行的にいくつものイベントが起きており、
それをプレイヤーが動き回ってチェックできるってこと。
この船は大まかに4階層に分かれているのだけれど、シーンによっては甲板の上だけでなく、船倉内でもイベント起きている時がある。
しかも、甲板の上の情報だけでもクリアができてしまうのに、わざわざ他のエリアのシーンも丁寧に描写されているのだ。
プレイ動画を見るまで「え、そのシーン、下のフロアでもイベントあったの!?」って気づかないところがあったりした。
とにかく、この「豪華なグラフィックで描かれた情報量たっぷりのシーンの中をプレイヤーとして自由に動き回れる」部分こそが本作の一番面白いところだったと思う。
何気に音楽もめっちゃよかったし本当にすごいゲームだった。
15時間くらいでクリアできるし、プレイ動画見てから楽しむ分にはもっとお気軽に始められるゲームなので、これは他の人にもお勧めしたい。