私としては女性表象の問題はフェミニズムという思想にとっての”鶏肋”であると常々思っている。
鶏肋とは三国志で有名なエピソードが由来の言葉で、意味は「大して役に立たないが捨てるには惜しいもの」である。
この説明はやや誤解を招くので「鶏肋」のエピソードについて補足しておく。
実際よく知らない人がフェミってその程度の認識でオタクを殴ってたのかなどとアクロバティックな解釈をして怒ってるコメントもあった。
三国志の中で、劉備と曹操が「蜀にとっては生命線、魏にとってはそれほどではない土地」を巡った争いの中でのエピソード
図のように漢中というのは蜀にとってはとても重要な場所であり、一方で、魏にとってははみ出した位置にある土地である。
蜀としてはなんとしても獲りたい、守りたい。ここがないと戦えない、という場所である。一方で魏にとっては致命的というほどではない。
なので、「オタクにとっての生命線、フェミニズムにとって取られると痛いが最重要ではない」というテーマというところでなかなか面白い例えだと思う。
そういう土地の争いの話である。
ついでに敬意も説明しておく。
漢中争奪戦において魏は全体的に負け戦が続いていた
・瓦口関
・葭萌関
・天蕩山
を瞬く間に失い、
その後曹操自身が40万の大軍を率いて戦いに挑むも、蜀軍10万相手に大苦戦。
さらに
・定軍山(夏侯淵が打ち取られる)
・南鄭城
・陽平関
まで失ってしまう。
斜谷でなんとか押し返していたが、大軍で攻め込んだゆえに食料事情も苦しく、じり貧の状態になっていた
そんな不利な戦況を憂いていた状況で発されたのが「鶏肋」という言葉であった。
ちなみに、横山三国志だと蜀軍が圧勝という風に描かれているが
実際は劉備軍はなんども攻めに失敗しており、実際は曹操が撤退を容易に判断できる状況ではなかった。
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楊修さんは33巻(張松と会話)と40巻で登場する人物
楊脩は”鶏肋”との言葉を聞いて「鶏のあばら骨は捨てるには惜しいが、食べても腹の足しになるほどの肉はついていない。この戦もそれと同じだ」と解釈して軍を撤退させた結果、曹操に首を切られた。
私は自分を楊脩になぞらえるような真似をしたい訳ではないが、上記の自分の意見もフェミニズムを支持する人から批判されるだろうと思うし、それは甘んじて受けるつもりだ。
ちなみに、楊修さんは別にこの鶏肋の時だけが問題だったわけじゃなくて、
他にもいろいろと曹操さんから嫌われるようなことをやってたので、
「あんまり調子に乗ってるとつまらないところで揚げ足をとられて殺されるよ」というお話ですね。
楊修という人物、すぐれた才能を持ち
曹操もその才能には一目を置いていた。
だがその才能を少々鼻にかけるところもあり
曹操はあまり好意を持っていなかった。
一番ダメだったのが、曹操の息子に入れ知恵をしていたのが政敵にばれてしまったこと。
「これはいかん。
父子世継ぎの問題にまで才気を差しはさむのは才ありといえども行き過ぎじゃ。
これはお家騒動の元になる。
何か落ち度があった時、殺さねばならんのう……」こうした今までの積み重ねが、ついに曹操の心を爆発させた。
楊修は軍規を乱したとして首をはねられ、その首は陣地にさらされた。
才は才に亡ぶ。楊脩の死は、まさにそれであった。
どちらかというと「国語力増田」さんみたいなキャラじゃないかと思います。
その後のオチ。曹操軍ぼろ負けで、やっぱり楊修の話聞いてればよかったーっていう展開になります。
この時の曹操さんの無様ぶりは全編を通しても序盤以外で見られない貴重なものであり、必見です。
この話が出た時にパッと思い出すくらいにはインパクト強かった。
それにしても、鶏肋って言葉をサラッと出しても
「鶏肋ってなんだよ」ってコメントが出てこないあたり、
はてなブックマークなんだかんだみんな横山三国志読んでるのかな?
はてなブックマーク民の横山三国志は読書率のアンケート取ってみたい。