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ハックルさん「もしドラは峯岸みなみという一人の少女のためだけに書いた」「彼女がこの本を読んだら喜ばざるを得ないと確信していた」

2014年に九州大学で行われた岩崎夏海さん講演の書き起こしです。


もしドラのターゲットは13歳以下の全人類

「なんでみんな全人類をターゲットにしないのかな?」
「セグメントってバカみたいじゃないですか。全人類に売れた方がいいじゃないですか」
「全人類に売れないと帳尻が合わなかった」
「全人類に売るためにどうしたらいいかを考えた」
→「すでに世の中には全人類に売れてるものがある」「不思議の国のアリスだ」
→じゃあそういう本を書こう
→ルイスキャロルがどういうアプローチをしたかを考えた


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※ダイヤモンドダイニング系の店舗。関西住んでる人は優待で行けるからおすすめ


たった一人の少女のために本を書こうと思った

「ルイスキャロルは5歳くらいの女の子たった一人を喜ばせるために本を書いた」
「宮崎駿も奥田プロデューサーの娘さんを喜ばせるために千と千尋の神隠しを作った」
「ハリーポッターもドリトル先生もそう」
「特定の誰かに向けてプレゼントする気持ちで書けば全人類に届くという方法が確立されている」
「じゃあ俺もたった一人に向けて書けばいいんだとわかった」
「自分にとってのたった一人は女の子がいいと思った」


AKB48のプロデューサーをしている時に出会った当時13歳の少女「峯岸みなみ」をターゲットに決めて、彼女が喜ばざるを得ない本を書くことにした

「僕はAKB48のプロデュースに関わっていたので若い女の子が良いと思った」
「峯岸みなみと出会ったときは13歳で、この子をターゲットに定めた」
「彼女はまだアイデンティティが確立しておらず願望はあるけど自分にブレーキをかけている子だった」

彼女の悩みは「自己実現がはかれない」という全人類に共通する悩みであった。
こういった子に、自己実現を達成できている像を提示してイマジネーションを刺激する。代弁してあげる。それがエンターテインメントであると僕は思った。
よって、もしドラは「自己実現をはかれていない峯岸みなみ」の悩みを代弁すると決めた。
「彼女の願う自己の在り方」を僕が描くことができれば、峯岸みなみはまちがいなく喜ばざるを得ないだろう、と確信をもって描いた。


ドラッカー学会会長の上田さんに見せたら涙が止まらなくなったと言われた。

「もしドラ」の4番目の読者は上田先生というドラッカー学会の会長だった。
上田先生は「本を読んで泣いたのはバルザックの本を読んで以来50年ぶりだった」と言ってくれた。
峯岸みなみと共通点がない上田先生にも刺さった。こうなることを僕はわかっていた。

もしドラは普遍的な論理によって紡がれた全人類に刺さる作品なのだが、間違ったマーケティング手法に毒されているとこれがわからない

「もしドラを読んだ人は、ほとんどの人がなぜこれが良いのかがわからない」
「これを読んで泣いたという人がいるが、なぜ泣くのかがわからない」
「別に隠してるつもりはないのに、ネタがバレてない」
「でも僕は人類のDNAに刺さるものを書いた」
「たった一人を徹底的に掘り下げたからこそそれができた」
「世間のマーケティングは100人をなぎ倒そうとするから一人一人に浅い傷しか追わせられない」
「たった一人を刺そうとするから、急所の奥にある核心に刺さる」「この深さが最も大事」


誰も僕を脅かす存在になれない。はやく人類は僕のレベルに到達してほしい


僕からすれば論理的で理にかなった話なんですけど、なかなか他の人とは共有されない。
本当はもっとみんなが優良な知識を身に着けて僕を脅かすような存在になってほしいのに誰も僕のレベルに到達してくれない。


僕の話を素直に受け止められない人間は自死願望がある

人間には破滅願望がある。どこかで負け場所を探している。みんな自ら死んでいく。
僕はみんなに勝ち方を示してあげているのに、僕の話を分かろうとせず、否定する人はだいたいみんな自死願望がある。
そういう人は死ぬことで社会の新陳代謝に貢献する。

一方で僕は自死願望が少ない人間だった。
だから僕に意地悪をしてくる人が多いのでその人たちに殺されないように勝たざるを得なくなってしまった。
僕ほど勝ちたいと思ってる人はいない。


おまけ:人類にはDNAレベルで喜びを感じるように設計されているものがたくさんある

「人間は境界線が定まってないものに夢中になる」
「ゲームってほぼすべてが陣取りゲーム。境界線を確定させる。カテゴライズ」
「人間は人殺しの顔が見たい」

こういう話を作品に盛り込んでいけばDNAレベルで全人類に興味を持たせられる


おまけ2:僕は世の中の原理をわかっているから勝ちすぎて困る

僕はこの「ざるを得ないだろう」という言葉が好きだ
「ざるを得ないという確信がある時は、一番ものごとが上手くいくときである」
「ものごとが上手くいくとき、頼まれてやってる時は、だいたい仕方なくやる時なんですよ」
「喜んでやる時はだいたいうまくいかない」
「状況に流されたほうが上手くいく」
「僕はこういう世の中の原理をわかっている。それが全く分かってない頭の悪い人たちと競争してるので人生が楽だなって勝ち過ぎちゃって困る」
「でも勝ちすぎではいけないので、僕は自分の持っている情報をすべて開示してみんなのレベルを引き上げないといけない」
「自分のやり方を隠す人はつぶれる。全部出していかないと先に進めない」
「そういうつもりで書いたら、僕が書いたものは人類のDNAに刺さるものになってましたね。」


オチ:ちなみに峯岸みなみ本人の反応は……

radsum.com

2022年3月8日配信開始のNetflix動画『トークサバイバー』にて





www.academyhills.com

加藤貞顕: アシスタントプロデューサーのような形で携わっていらっしゃったそうです。岩崎さんは「彼女たちの横にいつもいて仕事をしていたから、女の子がどういう言葉遣いをするのかとか、悲しんでいる友達をどうやって慰めるのかとか、そういうのが本当に勉強になった」とおっしゃっていました。
田中洋:  AKB48のメンバーの1人が、本のみなみちゃんのモデルだそうで。
加藤貞顕: そうなんです。峯岸みなみさんというメンバーをモデルにしたそうです。実は登場人物には、全員モデルがいるんですよ。全員がAKB48というわけじゃないんですけど。

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moviewalker.jp
npn.co.jp



もしかしてハックルさんは、勝ちすぎて負けを知らないことにいら立っていたのかもしれない。
だから、ドリアンみたいに敗北が知りたかったのかもしれないですね。