ADHDというのは多層的な問題になっていることが多く、それぞれに適切な対処が求められる
①ADHD自体はあくまでも脳の特性です。
しかし、自分がいる環境からの「他の人と同じように行動せよ」というプレッシャーが強すぎると
②ADHDの特性をうまく制御できないせいで環境に適応できずに適応障害を起こしてしまい
③さらにそこからうつやその他パーソナリティ障害などの二次障害につながってしまう
ということが多い。
当事者以外の人どころか、当事者の人でさえいろんな問題や現象について「ADHD」だけで理解しようとしてしまいがちなのですが、実際のADHDというのはこういう多層的な現象になっています。
例えば③については認知行動療法の方が適している場合もあります。
②についてはどちらかというと就労支援などの社会的・制度的な支援が必要となる場合があるでしょう。
大元の①については薬物による特性の制御が求められるケースも多いです。
この辺りは、人ごとに違うので、さすがに企業が事前にすべての対応を準備することはできません。
何よりも当事者が自分の状態をよく把握し、正確に相手に伝える必要があります。
国でもかなり丁寧に支援していこうという流れになっています(まぁ、対応はほぼ民間に任せられてますけどね)(※)
www.mhlw.go.jp
で、日本の場合は特別な例を除いて処方されるのは以下の3種類となります。
これまた厄介なのですが、この3種類の薬が作用機序がほぼ正反対になってるんですね。
コンサータ(またはリタリン)を処方するのが適切な場合にストラテラを処方するとガチでうつ病になります。
ストラテラやインチュニブを処方するのが適切な場合にコンサータを処方すると、躁状態になりやすい。
だから、これらの薬は医師との診断を経たうえで処方される必要があったんですね。
特に厄介なのが躁うつ病(双極性障害)を併発している場合
上の記事でまとめているように
・コンサータはリタリンと同じ向精神薬・中枢刺激剤
・ストラテラは「交感神経が過敏な状態を抑える」という効果がメイン
・インチュニブは、「頭がすっきりする効果がある」のと、「キレやすい人をおちつかせる」効果がある
です。
同じ人間の中で、服用する薬を変えていかないといけない場合がありえます。
つまり、自分の状態をきちんと把握しておかなければならない。
まぁここで説明しているほど単純な話ではないので、
この記事を読んでわかったつもりにならずに、最低限の知識を持ったうえで医師とちゃんと相談しないといけません。
医師としても、相談者がきちんと知識を持った状態で自分の状態を伝えてくれないと、正しい処方ができないのです。
そのくらいADHDというのは面倒なんですよ。
ADHD当事者でありながら、本人がADHDについて雑な理解しかできてない人がめちゃくちゃ多いと思います
その結果①~③をすべて「あれもADHD、これもADHD」とひとくくりにして理解しているせいで全く改善ができなかったり、薬についても「一時期これがすごくきいたから私にはこれがあっているんだ」といって、状況が変わってるのにその薬に固執してどん底に落ちるケースがあります。
増田でよく見かけますが「自分の生きづらさに悩んでいたけど、自分がADHDだと診断されて答えを得た」みたいに言う人いるじゃないですか。
ADHDの診断はゴールじゃなくて、ADHDという概念をきっかけとして自分と向き合うためのスタートです。
もっとちゃんとADHDについて理解して、改善できるところとできないところを分けて考えないといけません。
ADHDは特性なので治りませんが、コントロールはできるものです。ADHDを万能言い訳ツールやゴミ捨て場みたいに使うのをやめよう
基本的に、ADHDの説明をするときに冒頭の①~③の区分けをしないような人は信用してはいけないし薬について注意をしてくれないような人も信用するべきではないと私は思ってます。「自分の人生の生きづらさをなんでもADHDのせいにしてしまう」のは自分の人生を余計に苦しくするだけです。①の部分は治らないからくよくよしない ②の部分は支援してもらえれば何とかなる。③の部分は治せるものもあるから治していった方が良い(治せないものもあります)
そこをごまかして「なんでもADHDのせい」だと思い込んでる人は、めちゃくちゃ自分を粗末にしている状態にしています。
具体的に「こういうことを言ってる人に騙されちゃダメ」という事例をいくつか書いておきます。