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「命令されなきゃ、憎むこともできないの?」(ブルーアーカイブ#3 エデン条約編3.私たちの物語)

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「スクールバック」という作品は「悩みというのは話しただけで9割は解決したようなものだ」ということも腑に落としてくれるすごい漫画。夫婦や友達とのやり取りがうまく行かない人は絶対に読んだほうが良い!

msknmr.hatenablog.com
この記事読んで、なんかすごく紹介文が良いと思ったので読んでみた。

家庭と学校にしか居場所がない思春期特有の閉塞感が良く描けている作品である。
学生生活の悩みを聞くカウンセリング系漫画作品は世に数多い。しかし、その中でも本作の特徴は、学生の相談に乗る大人が担任や保健室の先生ではなくて用務員という点にある。高校の用務員である伏見さんは、学校の中にいる大人ではあっても教員ではないため、学生を指導して”答え”を指し示すことはしない。あくまで、話を聞いてそばに居るだけなのだ。だからこそ、伏見さんは素晴らしい。悩む学生が求めているのは”答え”ではないのだから。
連載デビュー前の短編「レンコンになりたい」にも同様のテーマはすでに見られるし、こちらは爽やかなシスターフッドものになっている。

紹介文も良かったし、「レンコンになりたい」が好きだったので、迷わず購入。

この漫画は共有する人が増えれば増えるほど世の中良くなると思ってるので、ちょっとリキいれて紹介したいと思います! 


ちなみにこの作品は「サンデーうぇぶり」で全話読めますので、気軽に数話読んでみてほしい。 私は読んだ上で、時々読み返したいなと思ったので単行本購入しましたよ。


どの話も良いんだけれど、私としては6話と9話がかなり好き

この記事では6話を紹介したい。


1:学生たちの悩みを「絵」として表現するのが描くのが上手い。

「致命的ではない」「なにかイベントが起きるわけでもない」「でも重くのしかかってもやもやする」
という感覚を上手に絵で表現している。

ボカロ動画とかでもこういうのちょいちょい見るけれど、
文章じゃなくて「マンガ」としてこういうテーマを扱うことを良く理解されているなと思う。

阿部共実とか好きな人にはこういう描写はグッと来るのではないか。


2:悩みを絵で印象付けたあと、それを主人公がスカッと解決するみたいな展開にはしない。

主人公はただ学生たちから聞くだけだ。


このコマもすごく好き。

相談ごとって何が大事なのかを絵で上手に表現してくれていると思う。

学生はたしかに悩んでいるが「なにか明確な問題のコアがあって、それを解決すればOK」という悩みではないのだ


だから、このコマで話ししている内容の殆どは無意味だ。
しかし、内容自体は無意味だけれど、話すこと自体はとても価値がある。そういう相談というのがあるのだ。
というより、ほとんどの相談というのはそういうものだ。

会話の殆どは無意味なものだが、それほど重要でないものを重要でないと認識し本当に重要なものは何かを確認する。
そのプロセスが人にとってとても重要なことがあるのだ。






この場合、悩みの内容が問題なんじゃない。

この場合、大事なのは「今まで優先順位1位だったものが揺らいでしまって、価値観が混乱してる」ことだ。

今まで一番大事にしていたバスケが続けられなくなってバスケを軸として「理路整然としてシンプルだった自分の中の世界」がごちゃごちゃしてしまったから学生さんとしては一つ一つ点検して、再び整理したいのだ。

でも、それが自分ひとりではつらくてできないからただ壁打ちの相手として付き合ってくれる人を必要としているのだ。



主人公はそれをわかってかわからずしてか、相手の最も必要としている存在として振る舞うことができている。




3:「私は答えを出さないよ。答えを決めて、それに取り組むのはあなたなのだから」という「化物語」の忍野メメスタイル。

結果としては、主人公は話を聞いているだけなのに、相談していた生徒がほぼ勝手に答えを出す。

主人公は答えを出さない。というか、答えは学生さん本人が持ってる。

何をどうしたいかはその人に任せて自分はそれを確認する以外は何もしない。

話は聞くけれど、自分はその横で勝手に自分の好きことをやっておくだけ、というスタイル。

悪く言えば放置プレイだが、よくいえば学生さんを信頼しているということになる。

何かというと説教やマウントにあふれているインターネットに馴染んでいる私としては、とても癒やされる。




私が人生で読んだマンガオールタイム・ベスト3位に位置づけている「いいひと。」とか、個人的に大好きなのにマイナーで悲しいと思っている「やさしいセカイのつくりかた」つ似たような感じある。

もちろん現時点では思い出補正が強すぎて「いいひと。」の方が好きではあるのだが、社会人をターゲットとしている「いいひと。」と違ってターゲットを「学生」に絞っていることで違った感覚で読めてとても楽しい。




この漫画を読むと、「悩みというのは話しただけで9割は解決したようなものだ」ということが自然と腑に落ちると思う

良く「解決策を出さないで!話を聞いてくれるだけでいい」っていうネタがネットで話題になることがありますよね。

たとえばこういうの。

togetter.com
もちろん「ただ励ましがほしいだけ」っていうならこれで良いんだけれどもうちょっと踏み込んで「壁打ちに付き合ってほしい」「でもアドバイスは要らない」っていう時あるよね。


そういう時に「自分が理想としているのはこういうことなんだよ」という理想のイメージを共有できてないと相談を受ける相手としても「どういう感じで受け答えすれば良いのかわからない」ってなりませんか?



今度からは、そういう時に、このマンガを共有しておくと良いと思うのです。

「私が望んでいるのは、このマンガの主人公みたいなやり取りなんだよ」って。

その通りやってくれるかどうかはともかく、イメージは共有できてるから、それをもとにして調整できるよね?

私はこういう「イメージの共有のためのベースとなる作品」ってめちゃくちゃ重要だと思っていて、そういう意味でこの作品はすごく価値があると思っています。



というわけで、自分で読んで楽しむだけじゃなくて、人と共有したくなる作品としてすごくオススメ。

まずはサンデーうぇぶりで読んでみて、その上で気に入ったらぜひ買って近くの人と共有してみてほしい!




9話ではプロのカウンセラーさんも出てくる。主人公と、プロのカウンセラーの比較でより描写に厚みが出てきそうでとても楽しみ!



この作者さん気に入ったから「まなめ観察日記」も読んでみたいと思います。



他の人もいろいろ2023年度読んで良かったマンガを紹介してくれている! ひまがあればぜひ読んでみたいぞ…

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