19巻まですべて読みました。
まず最初に言っておきたいこととして「めちゃくちゃ面白かった」です。
明らかに感情のボラティリティが激しすぎるし
自分の考えてる受験の日常と違いすぎて途中からはむしろちょっと引いてましたが
それでもとにかく「受験」というものをきちんとエンタメの物語に昇華してくれている。
ドロドロした闇の要素だけでなく、光の要素もしっかりと描いてくれている。
私は中学受験はかなり頑張ってやった人間なので子どもたちが必死に努力し、それを親や教師が応援してくれるという受験勉強への思い入れは強い。
あの時は自分が物語の主人公であるかのような気持ちで戦えてたな、なんだかんだキラキラしてたなという気持ちを思い出す。同時に、そういう主人公感覚を味わえたのはすべて当時の塾の先生や親のおかげであり、特に親には感謝しなければならない、という気持ちを新たにした。
生徒と親の関係をしっかり描こうとしている点がとてもよかった
「32名の受験生を全員(第一志望でなくても良いから)合格させる」というのが目標となっている。
なので、一つ一つの家庭について丁寧に描いていてよかった。
個人的にやはりいちばん印象に残っているのは親の期待に答えようとして、カンニングをやってしまう今川さんの家庭。
この一家は本作品に登場する親子の中でももっともディスコミュニケーションが激しかった。
親は子供を信じようとするあまりに、子供が弱音をはくことを許さず
子供も親を失望させまいと、カンニングをしてでも高得点を維持する。
そのせいで、どちらも現実と向き合えないまま受験を迎えてしまう。
当然受験では全落ちの憂き目に合うのですが、
そんな母と娘の間でちゃんと意思疎通ができて、なんとか救いを掴んだ瞬間は
フィクションだとわかっててもちょっと泣きそうになりました。
どうでもいいけど、この家庭、一度も父親が出てこなかったの闇……。
一度読むのは脱落しましたが、この機会に追いつくことができたので20巻以降はちゃんと読もうと改めて思います。
以下は、本作が「エンタメ作品として優れている」ということを認めた上で、作品に感じている不満を述べたものです。