この夜が明けるまであと百万の祈り

発達障害者としての生き方によく悩んでます。いろいろあって今現在は教育系の出版社でつとめてます。普段は自分が好きなマンガの話してます

「バイトのシフト代替要員」問題について話をするときは、大前提として「アルバイトの有給休暇」(労働基準法39条)について知っておきたい

このツイートがバズってますね。


この手の話はたくさんあって、それこそググればやまほど事例が出てきます。マクドナルドだけでなくセブンイレブンもこんな事例がありますね。
www.j-cast.com

ブラックバイトという言葉が出てきてからもう結構時間経ってるのに、、、

でも、これについて、ネットの反応が全く数年前から進歩してないのが気になる。この本が出たの2014年ですよ?集合知とはいったい……ウゴゴゴ。

マンガ ほんとに怖いブラックバイト ~大学に通うためにバイトしてるのに、バイトのせいで大学に通えない件

マンガ ほんとに怖いブラックバイト ~大学に通うためにバイトしてるのに、バイトのせいで大学に通えない件

  • 作者: あさいもとゆき,かみやナエこ,斉藤ふみ,たみ,長月まお,やまもとしゅうじ,山本幸男,ブラックバイトユニオン
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2014/12/05
  • メディア: 単行本
  • この商品を含むブログを見る

「どこそこがブラックだ」より「どうやったらブラックに遭遇しても対応できるか」って考えたいところかな、と。

上記のツイートのリプをざっと見てみましたが、感情的な人ばかりで「労働基準法39条」の話をしている人が全くいなかった。「マクドナルドけしからん」「セブンイレブンひどい」というのはめちゃくちゃ簡単です。でも、外からけしからんって言ってスッキリしても何にも解決しないと思う。愚痴を言って共感だけ求めてる人はそれでもいいんでしょうが、これだけいろんな人が問題だと感じてるなら、解決したほうがいいと思うんですよ



実際これはどのように解決すればよいのでしょうか?



個人的な意見=「有給休暇所得のルール(労働基準法39条)について雇用主側からアルバイトに伝えるよう義務付けるべき」

私の意見は2つです。

個人レベルでは「労働基準法39条だけは絶対に覚えておけ」。これ知らないとバイトは全く太刀打ちできない。「サンキュー労働基準法39条!」みたいな語呂合わせで覚えておくのお勧め。
②政策レベルでは「雇用主側とアルバイトが雇用時に、有給休暇が取得できることをアルバイトに説明することを義務付ける」の一行追加してほしい。
(近い制度があるようなので次の記事で書きます)


つまり「雇用主とアルバイトがどちらも有給休暇の存在を知っている」状態を確定させないといけないと思う。

だいたいの場合、実際に職場の長や雇用主側は本当に知らないか、知らんぷりをしてます。一方アルバイト側も大体このことを知りませんし、知っていたとしても申請のルールがわからないとしり込みしています。ルールがしっかり決まっていない状況で、自分で調べて申請したり権利を主張するのは、義務にしたがうことばかり教えられて、権利を主張する訓練を全く受けていない日本人にはかなりハードルが高いです。 

でも、雇用主側が最初に説明したなら知らんぷりはできない。こうなったときにはじめて、いざというとき有給取得を拒否できないとわかっていれば、現実も「代替人員を確保するのはマネージャーの責任」という原則に立ち返ってきます。 

今は単純にマネージャーもアルバイトも両方労働基準法を全く意識してないか適当に理解していてなあなあになっているので、その結果「力関係の差」によって、バイトが代わりの人員探しを強要されたときに断れないわけです


労働基準法39条 「半年間の間に、規定日数の8割以上出勤した場合は、アルバイトでも絶対に有給が発生するよ」「サンキューロウキ」

労働基準法っていうと面倒くさいと思うかもしれませんが、アルバイトが絶対に知っておくべき最有力はこの39条。


elaws.e-gov.go.jp

f:id:tyoshiki:20190407223425j:plain

ぶっちゃけ「労働基準法39条を知っている」ということさえアピールできればOKです。中身としては「半年以上まじめに働いてたら最低でも1日は絶対に有給休暇の権利がある」ということだけ知っておきましょう。特に週30時間以上バイトしている人は正社員と同じく10日間の有給が絶対にゲットできます。雇い主側が就業規則で「そんなものはない」って書いてても無駄です。絶対にあります。


有給休暇の申請について雇用主側は「時季変更権」で対抗できますが「慢性的な人手不足が原因」で有給の希望を拒否することは許されていない

会社の時季変更権の濫用に対抗するための「これだけ!」知識
西日本ジェイアールバス事件と「事業の正常な運営を妨げる場合」: 知ってると役立つ労働基準法は重要判例から学んだ

・裁判において時季変更権が有効無効と判断される際には、平素からの代替要員の育成等の努力をしていることが考慮されます。
・慢性的な人員不足から、代替要員を確保することが常に困難であることを理由に幾度となく為された時季変更を違法と判断した

正確ではないですがざっくりいうと「人手が足りないんだからみんなが困るでしょ」で有給を拒否するのは限界があるってことです。

法律も、代替者を日頃から用意しておくのは会社やマネージャ側の問題だと認めた判例があるわけですね。




ということを踏まえたうえで、現状について考えてみます。


「そもそも、労働基準法39条があるのに、なぜいつまでたってもバイトのシフト問題が解決されないのか」というのが大事だと思います。ここ解決しないと感情論でいくら議論しても意味がない。




現状は弁護士ですら「アルバイトにほかの人を探す義務はない」としか言えない=会社が従業員に「探して」とお願いすることは禁止できない

「休むなら代わりの人を見つけてよ」 バイト先のこんな命令に従う必要はあるの? | ニコニコニュース

従業員は、会社との雇用契約に基づき、労務提供義務を負いますが、これを超えて他の従業員を手配する義務までは負担していないからです。よって、他の従業員を手配することを会社が業務命令として出すことは許されず、業務命令権の濫用となり無効となります

「欠勤により債務不履行責任を負う場合でも、アルバイト従業員が他の従業員を手配する義務まで負うわけではありません。従業員を手配する責任を持つのは、あくまで会社側(使用者側)です。アルバイト従業員が、代わりの人を探してほしいという会社の命令に従う必要はありません」

それでも「有給休暇」が使えないと「ただの欠勤」になってしまいます。「欠勤」だと立場が弱いです。

従業員は、会社との雇用契約に基づき、労務提供義務を負うことになります。したがって、欠勤した場合、つまり労務を提供しなかった場合には、法律上は債務不履行責任を負うことになります。また、従業員の欠勤により会社に損害が発生したような場合には損害賠償義務を負担し、金銭を会社に支払わなければならないケースもあり得ます。

もちろんシフト制である以上どんな理由であっても休むのがOKとはならない。悪質なバックレなど債務不履行については雇用主側だって損害賠償する権利はあるべきです。

しかしアルバイト側に法あるいは就業規則で保護された権利として「休む権利」が確保されていない場合、そもそも欠勤で「債務不履行責任を負う」の部分が否定できない。そうなると会社から「不履行責任を問わない代わりに手配しろ」と言われると拒否するのは難しくなる。

まして、意識的な問題として本当は有給休暇があるのに「ない」と思いこまされてたら、これはもう抵抗するの無理ですよね。



lmedia.jp
もちろん、よほど悪質でない場合、そのままバックレれてし待った時に会社が損害賠償を請求することはできないようですが、バックレる勇気がない場合、結局「職場の上司やほかの人との人間関係」を盾に取られてバイトの代わりを探す羽目になってる人多いですよね、




いい加減、経営者に最低限でもいいから「労働基準法」の知識があることを義務付けるようにしてほしい

サービス業に関する原価厨はあまり聞いたことありませんが。
日本の大体のサービス業は、過当競争の状態になっており、「悪い意味での」効率化=コスト削減をやりすぎてて、ほとんどの飲食店ではアルバイトのバッファなんて絶対に用意してません。 店側が完全に原価厨の発想になってるわけですね。万が一のためのバッファ確保のためにコストを払うなんてしない。それどころか正当な権利である有給休暇を求めたら「さぼり」と考えてる経営者がたぶん7割くらいいると思うし、従業員もだいたいそう思ってると思います。

つーか、有給休暇がちゃんと取れるところでも、経営者が労働基準法について無知であるか(社労士と顧問契約を結んでない社長はまず知らない可能性が高いです)、知っているけれど黙殺することに成功する状況が続いていると「そういう空気」を作ったほうがとくだから、正社員相手でも「有給を取るのは悪だ」という教育をします。「代わりのバイトを探させる」というのはその手段として最も手っ取り早いです。本来経営者やマネージャーの仕事であるはずのそれを、バイトや正社員にやらせることで「私が休んだかのだから仕方ない」→「仕事を休むというのは悪いことなんだ・面倒なことなんだ」と意識づけを刷り込む。和〇山で教育塾のフランチャイズをやってる某グループの経営者は完全にそんな感じでした。


ブラックバイト 増補版:体育会経済が日本を滅ぼす (POSSE叢書 Vol.2)

ブラックバイト 増補版:体育会経済が日本を滅ぼす (POSSE叢書 Vol.2)

すっかり刷り込み完了してる人もこのようにたくさんいます。経営者じゃないのに雇う側の思考になってしまっています。まぁ私もそうなんですが、経営者じゃなくても、人を雇う判断をする立場になるとどうしてもこういう発想になっちゃうよね……。この人たちはとてもまじめなのだと思いますが、そのまじめさを自分のためじゃなく「経営者のために休みたい人を抑圧する」という形で利用されてしまってるのが悲しい。

今の法律の運用状況だと、絶対にこうなってしまうんです。 労働基準法のことを知らない人のほうがほとんどなんだから。

まとめ

ブラックバイトの問題は現状はお互いの認識に守るべきルールが存在しない半ば無法地帯の状態なっているためだと思います。このせいで経営者と従業員が敵対しあう不幸な関係になっています。でも、最低限のルールさえキチンと決まっていればお互いは信用する関係にもなれるはずなんですよね。

だからバイトの人も39条だけは知っておきたいし、経営者側も雇用の際に必ず「労働基準法39条」等に関して雇用者に説明する義務を負わせるべきだと私は思っています。お互いに「それが当たり前」な状態を作っていきたい。


「これは従業員が当然のように持っている権利なんだ」と雇用主自身から説明するぐらいのことを義務付けないとだめです。経営者というのは、従業員の権利を奪うことに強いインセンティブを持っているのだから。 さすがに今みたいに人手不足になったら多少従業員に媚びる経営者も出てくるかもしれませんが、経営者は「ほかにも変わりがいる」状況では従業員から搾取することに強いインセンティブがあります。特に「買い手市場」になったらもうえげつないです。


だからやばいと思ったらネットで愚痴るのじゃなくて対策してほしいし、そういう対策の部分の知識こそ広まってほしい。いや、そういうツイートもたくさん見かけるけど、冒頭のツイートのリプ欄を見ていたら、なんかミスマッチが起きているような気がする。「すでに知ってる人」がそういう対策のツイートを何度もRTしてて、「知らない人」はいつまでたっても上のようなツイートをRTしてるって状況が続いてる気がする。


みんなで幸せになろうよ・・・