「教育虐待」って、まぁ受験勉強悪玉論の人には何ともお手軽な攻撃用ワードが用意されたなって思う。
受験勉強悪玉論者さんからしたら、今後は全部このワード持ち出せば子供の味方っぽくふるまえるしとてもありがたいんだろうなと思う。
けど個人的にはちょっと複雑な気持ち。
もちろんこれは問題なのでもっと認知されてほしいんだけれど、一方で、現状についてあまり情報なしに一語で安易に理解した気になられてほしくないなという気持ちもあり。うーん。
とりあえず思いついた話をダラダラと情報発信していこうかなと
①まずは昔から変わらない要素について。
②中高一貫校と、公立の進学校の比較について
③そのあと最近の中学受験やカリキュラムの多様化とか
④高大接続に関する混乱とか
5 逆に中学受験しない保護者の人が知っておきたい情報あれこれとか
そういう話を書いていけばいいのかな。
みなさんがどの程度ご存知かわからないですが、個別の学校については真剣に受験を考えてる保護者の方のほうが私よりよほど詳しいと思うので間違いとか訂正箇所があれば遠慮なく突っ込んでくださいませ。
中学受験は向いてない子にあまり上を狙わせるとエグいことになるよね
残酷だけど、中学受験については努力が確実に報われるとは言えない世界だと思ってます。
実際、中学受験で偏差値60以上の受験を目指した人はわかると思うけど、中学受験って難関校になればなるほど「短時間に大量の問題を解く能力(瞬発力)(パターン認識力)」が問われることが多いです。
これはある一定レベルを超えると向き不向きが露骨に出るんですよ。頑張ればだれでもできる、みたいな話とちょっと違う。 発達の差や助走距離の問題もあり個人差がかなり大きい。さらに、言うまでもないですが国語力が低いとそれだけで学習スピードに差が出ます。ここは家庭における教育環境がもろに影響します。
「向いてる子」の中でスピード勝負をするので、向いている子であってもめちゃくちゃ演習が必要になります。まして向いてない(じっくり考えるタイプの)子がいくら頑張っても、問題傾向が合ってないと中学受験に関しては厳しいと思う。
また、早くから始めてるかどうかも露骨に差が出ます。大学受験と違い小6から始めてジャイアントキリングを達成するのはかなり困難です。小学校で習ってないことが非常に多く、
①知らないことを大量にインプットして②繰り返し練習して身に着け③それを高速で処理する
という段階までこなすのを1年でこなすのは至難の業です。基本的に社会・理科以外は小4で小学校範囲を一通り履修し、小5・小6では小学校以外の内容の習得及び、既習内容の定着・演習に費やせるくらい余裕を持つことが望ましい。 理科などは塾に入ってゼロから学びなおし、となる場合もありますしね。
まとめると
一定レベル以上の中学校を受験する場合
①遅くとも小4あたりからは受験勉強を始める必要がある
②発達の程度や家庭環境などの要因で、小4時点でまだ準備ができてることとできてない子がいる
③さらに問題傾向の偏りのせいで向き不向きが大きく影響する(今はこれがだいぶ緩和されてきています)
さらに向いてる子でもギリギリまで頑張っているため、向き不向きを努力の量で埋めることはかなり難しい
ということになります。
大学と比べて受験倍率は高くないように見えますが、これは上で述べたようにまぐれを期待しにくい上、受験機会が限られるので一定水準以下の生徒はあきらめざるを得ないからです。
なので、向いてない子供には絶対に無理をさせてはいけない。
そういう子には大学受験に狙いを再設定して中→高の流れを考えたほうがいい。
のだだけど、それを親が判断できるかどうかというとすごく難しいと思います。ある程度のレベルまで真剣にやらないと向いてる向いてないのは判断ができないし、子供がどの程度真剣にやったかはテストの結果だけからでは判断ができない。
そうやって判断が難しい仲、「向いてない子の親」でかつ「子供の向き不向きがわからない」ほど親が子供の限界を超えて頑張ってしまう傾向があり、塾は商売なのでスポンサーである親を後押しするようなことしか言いませんからその無茶が加速します。 さらに、小6では年100万以上の負担になることもあるため、親としても妥協が難しくなってきます。
そういったことの積み重ねから悲惨なことが起きるわけですね。
それにしても東京は異常だわ……
都心では四割、杉並の某小学校では六割を超える中学受験。自身も難関校受験歴のある父親は軽い気持ちで子供に中学受験を勧めるも徐々にヒートアップして子供に無理矢理勉強を強いるようになり結果的に不登校に。皆子供が望んでるからというけど実際は親が望んでるから子供は従ってるだけという教育虐待 pic.twitter.com/XUPMATG9Qb
— 次郎丸🦍哲戸 (@_Jiro70) June 24, 2019
親も自覚なくエスカレートしてしまい、子供を精神的に追い詰め混乱させ、勉強の目的を見失わせる「教育虐待」レポート。例えば都心の強い私立中学志向が原因の1つ。小学校低学年のうちから心療内科にかかる子も。子供たちを追い詰めてしまうのはロスジェネ世代の親たちだと聞いてゾッとした。 pic.twitter.com/RRhMtacJSj
— 鈴木祐介 (@7_color_world) June 24, 2019
関西は中学受験率は10%弱です。
しかも、トップレベルの進学校への受験者層が限られ、全体的に合格倍率が低いため数字以上に平和な雰囲気です。関関同立の附属校やマンモス校の人気は非常に高いですが、最近の傾向として「受験機会が複数回ある」や「入り口の多様化・特定科目の優遇」などの仕組みがあるためそこまで切迫感は強くない印象です。
※その代わり、トップ層の生徒の目指す先が灘・甲陽・洛南・東大寺・西大和・白陵などといった少数の学校に絞られるためトップ層だけでみたら関東に劣らぬくらい競争は厳しいです。大阪は特に公立校進学志向が強くなっており、名門である大阪星光や清風南海も受験一辺倒ではなく英語推しなどに舵を切っている印象があります。
学校間での競争は激しいのですが、取り組み面などは東京の後追いになっておりレベルの高い生徒は昔からやることがそんなに変わらないのでその点も東京よりはありがたいですね。
東京は学校におけるキャリアパスの多様化だのe-portfolioがどうだのといろいろと面倒くさくて情報を調べる保護者の方の負担が関東とは比較にならないと思ってます。まして合格倍率も関西より高いのでそりゃしんどかろうなあ……
学校目線で受験を描いたマンガ……は難しいよね
最近はマンガでも中学受験を丁寧に扱うマンガが出てきました。
「二月の勝者」って塾業界のホンネで語られた中学受験ものとして、特に難しい「中堅レベル層~トップ未満層」の指導の話や「金銭面」の話メインで語られているのでとても面白いと思っています(労働環境的にはもっとえぐいけどね)。これはドラゴン桜が全力でトンズラこいた部分でもあるので、ドラゴン桜のせいで歪んだ受験勉強観を持っちゃった人へのアンチドーテとしてもおすすめです。
ただ、二月の勝者もそうですが、こうしたマス媒体で出てくる情報はだいたい関東がメインなんですよね……。あと「学校」目線じゃない。今それぞれの学校は「大学受験改革」を中心に国の方針変更に振り回されつつ、子供たちのために何ができるかを模索しています。この部分こそちゃんと描いてほしいなといつも思います。
中学受験をしようかなと思ったら読むマンガ 新装版 (日経DUALの本)
- 作者: 日経DUAL,漫画:高瀬志帆(原作:小林延江)
- 出版社/メーカー: 日経BP
- 発売日: 2019/02/07
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
中学受験 まんがで学ぶ! 国語がニガテな子のための読解力が身につく7つのコツ―――説明文編
- 作者: 長尾誠夫
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2017/04/27
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログを見る