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今回の吉本興業という一企業の対応は、日本企業のガバナンスのダメなところを完全に凝縮していてまったく笑えなかった

最近この手の茶番というか、企業のガバナンスやべえなって思う事例が立て続けに起きてて、主語大きいけど日本大丈夫かという気持ちになってくる。

www.huffingtonpost.jp
吉本社長の会見に行って現地で見たことを書く


それにしても、吉本の芸人を応援することと吉本興行を擁護するのは完全に分けたほうがいいと思う。替えがきくのは芸人さんのほうではなく吉本興業のほうだ。そこを間違えてはいけない。少なくとも吉本興業は、芸人さんにとってベストな会社とは言いにくくなったのではないか。

大切なのは芸人さんであって、吉本興業ではない。

たとえ松本人志さんなど吉本とべったりの人が吉本を擁護したとして。自分が応援してる芸人さんが吉本を擁護したとして、ここで「吉本を守らないと自分の応援してる芸人までダメになる」と思う必要はもうあんまりなくなってきてるんじゃないかなと。昔はともかく今は応援するならほかの形もあるんじゃないの?


もうこれはきっちり分けてもいいんじゃないかなと、思ったりします。

「吉本がダメなままなら、ちゃんと批判したり別の場所に飛び出すまで応援しない」ってのがファンの姿なんじゃないの?反社との付き合いあったりとか、今の吉本となあなあで済ませる芸人を応援するの?ファンってそういうもんなの?自分の応援してる人がダサい姿をみせてもそれ受け入れちゃうってのはだめでしょ…。

もっというと、今回の件ではっきりしたのは吉本がこんな状況であるのを放っておくと、自分が応援している芸人が反社とのつながりが原因で突然永久に活動できなくなるリスクが高いってことだよね。自分が応援してる人がそんなリスクの高い状況での綱渡りを強いられる状況を求めるの?それでファンとか言えるの?


そもそも今まで我々視聴者が芸能人と反社のつながりに寛容すぎて、個別の芸人にリスクを負わせすぎていたことは反省すべきかもしれない

私は宮迫も田村もどちらのファンでもない。そもそも関西人だけどお笑いをみない。京アニと比べたら、吉本興業自体がつぶれても全然困らない。芸人にも思い入れは特にない。明石家さんまさんとサンドウィッチマンくらいしか好きな人いない。

そういう人間からしたら、いくら謝罪しようが今回の宮迫と田村は完全にアウトなんです。今後も芸能活動を続けていくとか論外です。そのくらい、芸能人と反社との付き合いが表に出るということは本来やばいはずなんですよ。なんかAV女優の人が与沢翼と仲良くやら仮想通貨界隈のあれな人と付き合いあったりとか、だんだん芸能界と反社との関係がゆるゆるになってきてますけどとんでもないなと思います。「やり直しを認めない社会」とかそういう甘い話じゃなくて、一度関係ができた後で簡単に清算なんかできるわけないから反社って怖いって話なんじゃないの?GACKTがどうなったかもご存知でしょ。復帰させたいなら相当な対応が必要になる。そのくらい厳しくあるべきだと思う。


でも、そこはファンのみなさんというか世間的にもOKみたいだから私はとやかく言わない。みんなが許したいなら許したらいいと思う。どっちでもいい。


でもさすがに「次」はないよね。宮迫と田村が許されたとして、「次」の芸人は絶対に許されない。さすがにそこまで許されるならもう吉本の芸人がでる番組一切見たくなくなる。でも、吉本が今回の件で、反社とのつながりについてうやむやにしたまま幕引きを図ろうとするなら、絶対に「次」は出てくるし、それは自分が応援してる芸人かもしれないわけじゃないですか。それでいいの?このままうやむやにしていいの?

ちゃんと問題解決するまで、特に「応援しなくてもしばらくは食っていける」大物芸人については応援しないくらいのことはやってもいいんじゃないの?それが長期的に見たら芸人さんのためになるんじゃないの?


最低でもきちんと今回の件総括終わるまで、吉本興業には教育業界にはかかわらないでほしい

普通の会社と違うのはわかってるから仕組みの違いについてはとやかく言うつもりはないけど。

さすがに不祥事が起きたときに「家族のようなノリ」っていう社長はやばすぎて笑えない。トップがそんな認識の会社に教育コンテンツとか作られたくない。

ここら辺の人たちは今回の件にちゃんとコメントを出してほしい。

・慶應義塾大学大学院教授の中村伊知哉氏
・クールジャパン機構 代表取締役社長 CEOの北川直樹氏
・NTT 代表取締役社長の澤田純氏
・スチールヘッド 代表取締役の小松純也氏
・コンテンツ制作に協力するCANVAS 代表取締役社長の石戸奈々子氏
・ラフ&ピース マザー 代表取締役社長の生沼教行氏

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https://businessnetwork.jp/Detail/tabid/65/artid/6676/Default.aspx

ぶっちゃけ今回の件はNGT48よりひどいので、大株主である各テレビ局や、教育事業に出資している国も責任を問われることになる。ここをなあなあと済ませることは許されない。


日本企業のガバナンスのダメすぎるところを今回の吉本興業は嫌というほど見せてくれている

そもそも日本の経営は、経営者の裁量が大きすぎるくせに何かあれば現場の責任になるのがクソすぎる
https://www.sankei.com/column/news/171212/clm1712120005-n2.html

別にアメリカ様全肯定したいわけではないが、日本の経営の不透明さは異常である。

アメリカで日本の社外取締役より独立性の要件が厳しい独立取締役が取締役会の8~9割を占める

アメリカではここまでやって経営者のワンマンを防ぐしくみがありつつ何か問題があったら経営者が表立って責任者として矢面に立つことになっている。

日本でも社外取締役制度はあるが有名無実化している。なぜかというと、そもそも利害関係者が社外取締役になれるからだし、その人数が少なすぎるせいでもある。


吉本にも社外取締役はいるがバリバリの利害関係者が多い。こんなことばかりしてたら当然結局取締役会は経営者のイエスマンばかりになる。

日経新聞に情報をリークしまくる会社が全然処罰されないとかガバナンスもひどい。


アメリカでは経営者が会社を私物化しようとしたりすればまず会社から訴えられる。やるべき対策をやってなくて法に違反した場合国からの制裁金も大きくなる。社員からの訴訟リスクもある。

インサイダー取引防止のための情報の隔壁であるチャイニーズウオール、業際の利益相反防止のためのファイアウオールなどが法的要請とされるのも、これをやっておかないと、厳しい責任追及が待っているからだ。

経営の危機時の対応や、リスクの高い経営判断をする際(つまりは法的な話になる蓋然性の高い状況を想定すると)、ワンマン社長が全部仕切って決定しているようでは、社長が全責任を負うのは当然としても、会社自身の訴訟リスクに耐えられない。

ガバナンス・コードが英国に倣(なら)って取締役にトレーニング義務を課しているのも、この側面の重要性を強調するためである。「経営学」のトレーニングをせよと言っているわけではない。「経営学」でしか社外取締役の意義を理解できない、しかし自信に満ちた経営者の存在こそ、大きな経営リスクそのものである。それを認識することがガバナンス論議の第一歩なのである

ところが日本だと、企業で不祥事が起きた場合、つい最近までは、それを実行した現場の責任だけが問題になっていた。いわゆるトカゲの尻尾切りである。今回の件もそうだ。社長はまず問題を隠そうとした。謝罪会見もしないで済まそうとした。するとしても宮迫や田村にやらせようとしていた。ひどすぎると思う。

日本は経営者がやらかしても制裁や罰則が軽すぎるので、いつまでたってもパワハラ対策が進まない。経営者を外部から監視できる存在や仕組みが機能してないからガバナンスも無茶苦茶。今回は、そんなゆるゆるぶりのせいで反社とのつながりすらなあなあで済ませようとしている。こんな茶番で許されると思っているならそれはさすがに完全にわれわれは舐められているといってよい。

みんな「オフィス北極星」読んで、日本以外の視点を体験してみよう

繰り返しになるが、必ずしも海外が正解とは言わない。だが、今回の件は明らかに異常であるし、日本では割とこのレベルのガバガバガバナンスが当たり前になっていて、我々日本人もなんとなくあきらめてるところがあるんじゃないだろうか。

日本人の経営者やサラリーマンが、自分たちの感覚が当たり前だと思って海外でトラブルを起こすという物語として、「オフィス北極星」という超傑作がある。勇午の作者さんの作品だ。ぜひ読んでみてほしい。

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