わ……わし、かわいい
なんか作者さんがやりたいことぜんぶ詰め込みましたという感じの作品。
ただ、いろいろやってるけどそこはどうでもよくて、
この作品は「うわようじょつよい」「かわいいは正義」に集約される。
とにかく本作品は
①表紙の幼女の中身は元じじいである
②「賢者の弟子を名乗る賢者」というタイトルは「老賢者」だった自分が実力はそのままに幼女の姿になってしまったので「賢者の弟子」を名乗ってるだけである。
③中身がジジイの幼女が主人公なので、何をやってもかわいいので許せる。主に幼女の着せ替えとどや顔を楽しむ作品である。グラブルのカリオストロが主人公になったようなもん
という作品だと言うことさえ理解していればOKです。
この時点で興味を持った人は自分で読んだ方がいいし、この時点でアカンとおもったらそっ閉じ。
本作品については本当に語ることこれだけです。
以下は、完全に自分の好きなこと語ってるだけの蛇足なので読みたい人だけ読んでください。
本作品は「賢者の孫」→「失格紋の最強賢者」「野生のラスボスがあらわれた」などの流れにある作品である
本作品は「最強の賢者が、あるとき急に時空事飛ばされて目が覚めたら自分以外に召喚術を使えない世界になっており、何をやっても俺TUEEEになる」って感じの作品である。
異世界転生ものにおける「チートによる主人公無双」系の作品は、「俺TUEEEE」の臭みをいかに抜くかで作者の力量がはかられるところがある。
俺TUEEEEかよ…って思った人はちょっと待ってほしい。俺TUEEEEであること自体は全く問題ない。問題はそこからどうドヤ臭をうまく抜くかだ。
これはアニメにおけるキャベツ検定のようなもので、作品の価値はそれだけで決まるものではないといくら言ったところで意味がない。俺TUEEEの臭みが一定値を超えた場合、それは「あけるりのキャベツ」と同じ扱いを受けてしまうのである。そうなったら、開き直って俺TUEEEE方向に突き進むしかない。そういう作品が悪いというわけではないが、しょっぱなで「B級」として評価がスタートすることになる。
- 作者:丸山 くがね
- 発売日: 2017/12/01
- メディア: Kindle版
- 作者:羽賀 ソウケン
- 発売日: 2018/03/31
- メディア: Kindle版
「賢者の孫」も、もともとは「俺TUEEEE」を脱臭しようという取り組みの一つだった。
①「賢者の孫」は「異世界スマホ」のサイコパス主人公と比べると、「俺TUEEE」を何とかしようという意志は強く感じる。
まず本作の主人公は(致命的な欠点を除いては)一途に一人の少女を思い、仲間想いのいい主人公ではある。しかし、よくなかったのは「異世界転生したからこの世界の常識は知らない」という設定を強調しようとしすぎたことだ。その結果「転生前の記憶があるのにあまりにも社会的常識がなさすぎる」「社会常識がなくても人間的常識がなさすぎるのはおかしい」とツッコミを受けることになった。敵キャラの描き方がチープすぎて全然話が盛り上がらないことも臭みを増す結果となってしまったが、途中からはかなりマシになっている。
②これに対し、「失格紋の最強賢者」は「元の世界から転生しようとしたら200年以上経ってて常識が変わってしまった」という感じで「賢者の孫」の「この世界の常識がわからないから俺TUEEEしちゃっても仕方がない」の部分を補強して臭みを乗り越えようとした。しかし結果としては「元賢者」という設定にもかかわらずあまりにも学習能力がなく、いつまでたっても懲りずに「俺またなんかやっちゃいましたか?」を繰り返すので、完全にコントになってしまいさらに臭みが増すという結果になってしまった。
yoshikimanga.hatenablog.com
③このあたりの問題に対して、「野生のラスボスがあらわれた」は、転生前の最強設定から大部分の力が失われていたり、世界改変によってきっちり主人公の思惑外の事態が起きていて、主人公より強いボスが存在したり、そのため仲間集めという行動に合理性があって非常に読みやすい作品になっている。この作品は普通に面白いです。(ただし、アース・スターなので一冊当たりのボリュームが少なく、単行本のコスパが悪いのが難点)
- 作者:炎頭
- 発売日: 2016/02/15
- メディア: Kindle版
④他にも「真の勇者ではないからパーティーを追放され」路線、「引退した老騎士」「膝に矢を受けてしまって」路線、「最弱スキルだと思っていたものが実は」路線、「外道魔術師」路線や「影の実力者」路線などいろんな路線が登場している。たぶん私の知らない取り組みがどんどん行われているだろうと思う。
このように、創作しない我々ただの消費者は「俺TUEEE」というだけで頭ごなしに低く見たり、「賢者の孫」をバカにして笑ってしまいがちだが一方でなろうでは後続の人たちがきっちりと「いかにすれば賢者の孫をまともな作品にできるのか」という試みに挑戦し続けている。
その流れの中で生まれたのがこの作品かなって思います。
本作品は「賢者の孫」をまともにするためにどのような改善案を試行したか
本作品は③の「野生のラスボス」に近い。
世界が改変され、NPCも自分の意志を持って行動するようになっていた。
しかも知らぬ間にゲーム内時間で30年が経過。
また「オーバーロード」や「野生のラスボス」と同じようにこの世界には9人の賢者がいたが、
主人公ともう一人を除いてはみな行方が分からなくなってしまっていた。
30年も経っているので世界の情勢も大きく変わって、人対魔物ではなく人対人の戦争が起こりそうな状況になっていた。
・・・という感じです。
主人公を取り巻く環境が大きく一変しており、科学技術が発展しています。マンガの見せ方もうまくて、主人公のとまどいの描写はちゃんと説得力があるし、また、主人公だけが強いのではないため、主人公の力がちゃんと「必要」になっているので力を見せつけることにちゃんと物語内でも意味があります。
ただ、もろもろそういった工夫は感じられるものの「幼女の姿の主人公が可愛いのでドヤっぷりが気にならない。というかもっとドヤ顔してほしい。」という要素が強すぎて他の部分割とどうでもよかったりします。*1
ただ、どうしてもこの系統の作品だと「幼女戦記」が強すぎるんだよね……
というわえでこの作品は本当に割と面白いと思うのですが……
やりたいこと詰め込みすぎてて拡散しちゃっててちょっと読むのダルイっていう難点があるのと
「これ読むんだったら幼女戦記の方がよくね?」というところが強すぎるんだよね……。
- 作者:東條 チカ
- 発売日: 2020/04/25
- メディア: Kindle版
私幼女戦記かなり好きなんですけれど、幼女戦記が面白すぎる&コミカライズがうますぎる&刊行スピードが速すぎるという完ぺきな展開をしてしまったせいで「幼女に転生」テーマの後続作品が軒並み「うーん……」となってしまっていまいち楽しめないのがちょっとつらい。「幼女戦記」との比較になると「吸血鬼さんはお昼寝がしたい」とかも、かわいさ以外何もほめるところがなくなっちゃうんですよ…
*1:もちろん主人公が可愛ければなんでもいい、にも限度はあって「FUNA作品」のように、主人公の中身があまりにもゲスとかクズだと読んでて不愉快になるのですが、この作品の主人公はそのあたりまったく問題なくて、嫌味がないのでとても素晴らしいと思います。