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「命令されなきゃ、憎むこともできないの?」(ブルーアーカイブ#3 エデン条約編3.私たちの物語)

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強制性交等罪の構成要件を「同意がなかったこと」にすると、逆に犯罪の立証は難しくなる可能性はあるよという話

痛いニュースがきっかけになって話題になってましたが、

元のNHKの記事は、きちんと

①法制度の改革の歴史から
②無罪判決があいつぐなど非常に被害者に不利な法運用が行われていること、
③フラワーデモの話

などなどが網羅されていて良い内容だと思いました。

www3.nhk.or.jp

現在の法律では性行為を犯罪として処罰するには「相手が同意していないこと」だけでなく、「暴行や脅迫を用いた」または「抵抗できない状態につけ込んだ」ことの証明が必要だからです。これらの要件について、明らかな暴行や脅迫がなくても恐怖のあまり体が硬直してしまうといった性被害の実態に合わないとして、前回の法改正に向けた議論でも緩和や撤廃を求める意見が出ました。

この問題、ちゃんと経緯踏まえずに自分の頭の中だけで考えて意見いう人がめちゃくちゃ多いので、少なくともNHKの記事に書かれてる内容くらいはちゃんと読んで理解しておきたいですね。


さらに余裕があるのであれば

www.nhk.or.jp

www.nhk.or.jp

この記事も読んでおくことをおすすめ。 残念ながら包括的な書籍がない気がする。




この議論はずっと前から続けられている話なのではてなブックマークの人たちがが考えるようなレベルの全て出尽くしてます

なんか痛いニュースのはてブコメント欄、

「それもうずっと前に議論済みだから」
「それNHKの記事でもちゃんと説明されてるから」
「自分に都合の良い想定だけで喋らんといて。これ法律の話やぞ」

みたいなコメントが多くて読んでてしんどい。

これとかアホの意見にアホが反論する典型例みたいになってて地獄ですよね。

anond.hatelabo.jp

「信頼関係を築けばいい」とかいうバカは頭お花畑の論外として、
そのそのバカの極論にまた極論で反論するという形で完全に空中戦になってしまってる。
ちゃんと最低限理解しておくべきところを理解してないからこうなる……。

やはりはてなブックマークは悪い文明。

少なくともはてブ民よりは国会議員の方が真剣に議論してるので自分の意見いう暇があったら過去の経緯のまとめとかを読んだ方がいいと思う。



現状は被害者が圧倒的に不利な点は否定しようがない(冤罪問題を考慮してもなおバランスが悪すぎる)というところをスタート地点にすべき

mainichi.jp

強制性交等罪が成立するためには「同意がなかった」というだけではなく「被害者の反抗を著しく困難にさせる程度の暴行・脅迫」(暴行・脅迫要件)があったことが必要とされています

付け足すと、準強制性交等罪もあります。

女性の心神喪失や抵抗ができないことに乗じて、または暴行・脅迫によらずこれらの状態にして姦淫する罪。平成29年(2017)の法改正により、準強制性交等罪に改められた。

日本でも強姦(ごうかん)罪を強制性交等罪に変えた17年の刑法改正でこの点が議論になりました。

加害者と被害者の関係性によって暴行・脅迫を必要としない性犯罪の枠組みの一つとして「監護者性交等罪」も新設されましたが、強制性交等罪には暴行・脅迫要件は残りました。
理由の一つは同意の有無の立証が難しいと考えられているためです。冤罪(えんざい)を生む懸念もあります。

一方で、被害者が抵抗できないほどの暴行や脅迫を受けなければ犯罪にならないという要件は他の犯罪と比べても厳しすぎるという指摘があります。
厳しい要件と司法関係者の偏見が重なると被害者に不利な結果につながりかねないという懸念があります。

2017年に刑法が改正されて数年様子見ということになったけれど、それでもなお、法運用において被害者不利が顕著だったからこそ今改めて問題になってるわけで。



現状はとにかく
「前後の状況から考えて同意があったとは合理的に判断しにくい」場合であっても強要さえなければ無罪になってしまうわけです。

これに対して
「社会通念上、同意があったとは考えにくい」場合に、さらに被害を訴えた場合は、強要が立証できなくても有罪になりうる。

くらいのバランスにもっていきたいというのがフラワーデモなどで主張されている内容ですね。






しかし、強制性交等罪の構成要件を「同意がなかったこと」だけにすると、おそらく逆に犯罪の立証は難しくなると思うよ

私は交通機関における痴漢に関しては、現状の運用があまりに悪意の存在に対して脆弱すぎると思ってます。

訴える側の告発が力を持ちすぎており、ほぼ無条件で通ってしまうため疑いを向けられた時点でそれを防ぐ方法がほとんどないのは論外です。
こちらについてはきちんと物的証拠を必要としたうえで、カメラなどの設置や専門の捜査官を持つフランス型の対応を期待しています。
ただし、そうした対応を求めるのであれば、交通機関の運賃値上げや消費税を1%上げることへの同意は必要だと思いますが。



一方で強制性交罪において「同意がない性交」を構成要件にしたとき、
被告人は、仮に「悪意」を持ってでっちあげる女性がいたとしてそれに抵抗する手段がないのでしょうか?
十分な抗弁の手段や機会が与えられるのであれば、それほど問題にならないのではないでしょうか?


現状でも「疑わしきは被告人の利益に」の原則が守られるのであれば
原告側が「同意がなかったこと」を立証できなければ無罪になります。

当たり前ですが、立証において原告が「同意がなかった」と原告が主張するだけでは不十分です。
原告は何らかの力関係や強要に近い関係を推測させるものがあったということを立証する必要があります。

さらにいえば、
「前後の状況から考えて同意があってもおかしくない」と思われる場合は原則として原告の主張を認めず
「前後の状況から考えて同意があったとは合理的に判断しにくい」などの状況があることが要件になってくるでしょう。



「今までまったく関係がなかった人から当然襲われた」みたいなタイプについては被害者が有利になると思いますが
ある程度関係性がある相手から無理やり襲われた場合でも、立証はかなり難しくなると思います。

次に犯罪の立証がかえって難しくなるおそれがあることです。
現行法では,「暴行又は脅迫」「抗拒不能」といった要件があるため、これを立証すれば同意がなかったことを立証できることいった比較的わかりやすい構造になっています。
しかし、「同意がなかったこと」だけが要件になると、「暴行又は脅迫」「抗拒不能」といった要件に代わって、今度は誰から見ても同意がなかったと評価できる事情が必要となります。
これによりかえって立証が困難になるおそれがあります。

だからといって、そのような客観的事情がなくとも
検察側の「被害者の同意なく性交した」という主張と「被害者の合意がなかったという供述」だけで立証十分ということになると
実質的には被告人・弁護人に立証責任が転換されることを意味し,憲法上の問題が生じ得ます。

なので、例えばそのときは仲が良かったし何度も同意で性交する関係だったけれど
ある時だけは同意してないのに無理やり……みたいな主張をされても「それは夫婦間の問題なので裁判所では判断できません」となりそう。



まぁ、このあたりで裁判官の裁量が大きくなりすぎる点が最大の問題ですね。
スウェーデンなどでは被害者側に寄りすぎた判決が下されるそうなので、そこまで行ってしまうと夫婦間でもほんとに毎回性交同意を記録するアプリが必要になりますわね。

それなんてソードアートオンライン?って感じですけど。

ただこのアプリ運用については、それはそれで逆に「無理やりとか騙したりとかでアプリに同意させたら同意とみなされる」状況が出て来そうなのでやはりこれも万能ではない。

……というあたりまではすでに議論されてるわけで、それ以前の話をやられても「また初めから議論ですか?半年ROMれ」って話だと思います。

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問題は悪意を持った「でっち上げ」犯よりも、裁判への信頼のなさかもしれない

とはいえ、日本の場合、裁判によって公正が担保されることとか、裁判官への信頼感が薄いんですよね。

全然三権分立が成立してないのを何度も見せつけられてる状況だとどうしようもない。


だから、法律を変えることを要求する側は「ぐうの音も出ないくらい被害者に有利にしろ」というし
今の法律を維持したい側は「ちょっとでも冤罪の可能性があれば許容できない」とならざるを得ない。

そのくらいしてもらわないとどっちも安心できない。

法律はその中間点に落ち着けなきゃいけないのに、それがどちらも満足しない着地点になってしまうね。落としどころ本当に難しそう。