Twitterの大量リストラを批判してる人がまだいるみたいなのでTwitterの現状の整理をしておきます。
Twitterはポテンシャルは非常に高いが、現状では赤字企業である
マスク氏は今月、ツイッター買収によって「エブリシングアプリ『X』の開発が加速する」とツイート。スーパーアプリとも呼ばれるエブリシングアプリのアイデアは、中国の対話アプリ「微信(ウィーチャット)」のようにアジア発祥で、ユーザーはメッセージを送るだけでなく、支払いやオンラインショッピング、タクシーの呼び出しもできるオールインワンサービスだ。
2014年時点ですでに2.5億人くらいのユーザーがいたことを考えると、Twitterって伸び悩んでるんですよね。
日本ではすごく存在感があるんですが、世界で見るとYouTubeやインスタグラムの伸びと比べるとめちゃくちゃしょぼい。
今でも赤字が大きい状況です。
TwitterはLBOという手法で買収される
同氏が保有するX Holdingsの100%子会社であるX Holdings IIは、10月27日にTwitterと合併。Twitterの株式は1株54.20ドルの現金と交換され、Twitterは同証券取引所から上場廃止となる。
要するに「レバレッジドローン」という形でローン契約を結び、買収完了後には事業の収益からこのローンを返済していくことになります。
この際に1.8兆円の「デットファイナンス(銀行からの借り入れ)」が組まれている
今回の場合X社が利回り付きの社債を発行し、その社債をいったん銀行団が引き受ける。そのあと、銀行団は社債を投資家たちに転売するか、自分たちでその債権を持ち続けて利回りをもらい続けるかを選ぶ。額が巨大なため、本来であれば投資家たちは一部を除いて転売したいのだが……。
利回りが高水準にある中で銀行が債権を投資家に販売しようとすれば、無担保部分だけでも多額の損失を被る恐れがある。かなりのディスカウントでの売却を余儀なくされる
というわけで、現時点では売るに売れなくて抱えたままになってるそうです。
www.bloomberg.co.jp
Twitterはこれからちゃんと利益を上げて1.8兆円の借り入れを、せめて利子だけでも返済していかないといけない。現在はその見通しがない
今のやり方でギリギリ黒字化できればOKというような甘い状況ではなくなった。これからは、ユーザー数拡大よりもまず利益にコミットしてかなければいけなくなった。
目標そのものが大きく変わったのだから、これからは今までの広告主体だけのビジネスモデルでは話にならない。
また、広告主体にすることで「明確でないポリシーによって言論が制限される」であるとか欧州の規制に目配せして「リベラル系メディアを目立たせる」などの偏りが生じておりユーザー数拡大どころかむしろユーザー離れも起き、ますます成長が頭打ちになっていた。なので、イーロンマスクはかなり大ナタを振るって「利益に貢献しない人たち」を一気にカットする荒業に出たという形。
「半数も解雇するなんてひどい」って言ってる人がいるのだけれど、首きりをされたくないのであれば、旧経営陣はもっと低い金額での買収を受け入れるべきだったと思います。いろいろ問題がある状況で「この価格で買収しろしなければ訴える」といったのはTwitterの旧経営陣です。自分たちがいろいろ問題があるのに自分たちの企業の価値を高値で釣り上げた。たとえば54ドルではなく36ドルでの買収ということであればこの1.8兆円のローンはなかったわけで、ここまでの首切りにはならなかったかもしれませんし、少なくともイーロンの首切りの正当性は減ったと思います。
イーロン・マスクは短期的な借金返済をカバーするためにテスラ株を5000億円分以上を売却して資金を用意した
イーロン・マスクのすごいところは、乱暴にコストカットのためにリストラするだけではなく
本気でTwitterを生まれ変わらせるために努力しようとしているところ。
いろいろと自分が思った通りにチャレンジをするし従業員をそれに付き合わせる代わりに、
5000億まではリスクを引き受ける覚悟がある。
イーロン・マスクによる構想について
いろいろ面白い感じですが、やはり「利益を生み出す」ということと「スーパーアプリX構想」が主軸になってますね。これからTwitterがどのように変化していくのか興味深いです。正直、いろんなコンテンツが有料化していくと大変だなとおもいつつ、自分にも少しはチャンスが巡ってくるかもしれないので期待もしています。