最新話まで追い付きました。
サブイベントシナリオは全部見ているものの、
デカグラマトン編とか全くプレイしてないのでいまいちよくわかってないところもあります。
なので、シナリオ考察とかはできません。
でもそうじゃないんよ。
本作のすごさはシナリオの面白さとかそういうところじゃないと思う。
かつてエロゲーにはまった人間として、「ブルーアーカイブ」はすげえ面白かった!というのは自信をもって言える
いやもう、ブルーアーカイブ、ほんとに古き良きエロゲだなぁ。
めちゃくちゃ既視感強い。テーマや筋書きに新しい何かがあるとは感じない。
でもそれがオッサンにはたまらなく心地よい……
古き良きエロゲを超豪勢一枚絵演出と、超豪華なメンバー盛り盛りで、超でかいスケールでやってくれる。最高。
- 基本構造は「DESIRE」と同じだが、何重にも多層化されているという印象
- エロゲーマーからしたらストーリーの構造が目新しいということは全然ないんだけど、でも過去にない体験を得られた。なんか壁を越えた感じがある
- これを基本無料でプレイできる今の若い人たち、うらやましすぎる。
半導体が微細化・積層化・パッケージ技術の進化などでどんどん高度化していったように
エロゲーも基本構造は変わらなくても微細化・積層化によって進化したという感じ。
基本構造は「DESIRE」と同じだが、何重にも多層化されているという印象
①まず「救うべきヒロイン=解決すべき課題」が多層化されている
すごく古いエロゲでDESIREっていう作品があって*1この作品のメインヒロインであるマルチナ=ティーナ=ステラドヴィッチは今でもエロゲ史で語り継がれる伝説のヒロインだ。
ブルーアーカイブの場合、このマルチナが分割されていて、プレナパナスとクロコの二重構造になってるお陰で超パワーアップしてる。
②主人公サイドも何重にも多層化されている
そして、マルチナを救うための主人公の描き方がまた素晴らしい。
DESIREも当時としては珍しい「ダブル主人公制」であり、マルチサイトシステムなど当時超画期的なシステムだったけど、ブルーアーカイブは青春群像劇であり、めっちゃたくさんの生徒が協力し合って絶対不可能と思われる奇跡をいくつも重ねて、その奇跡を束にして打ち出すことで絶対不可能な壁を突破していくという感じだ。
こちら側の面白さは比較にならないくらいに重奏になっており、たまらねーってなる。
エンディングロールに登場するキャラクター数を見てビビるよ……。
しかも最終章でほぼすべてのキャラクターに見せ場がある。なんだこれすげえ……。
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③ただ古き良きエロゲにとどまらず最新のトレンドもしっかり取り込まれてる
また、主人公のヒロイン化という要素も大きくて
・グリザイアシリーズとか
・サクラノ詩、・刻とか
かつて自分が救ったヒロインが力を合わせて助けに来てくれる展開とかはホンマに10年代エロゲの要素もある。
④これらの要素を踏まえた上で演出がえぐい
基本は昔ながらのエロゲインターフェースだが、見せ場では超美麗なCGを0.5秒くらいの表示で「使い捨てる」くらいに怒涛の勢いで流し込んでくる
1つのシーンで平気で6~7枚のCGを投げ込んでくる。特定のシーンではわずか数分で1シーンで12枚あった。
エロゲは予算とか制作パワーの問題で、そんなもったいないこと絶対できない。
スクリプトの力で1枚のCGをぜいたくに使いまわす「魔法使いの夜」や「ヘンタイ・プリズン」という作品も素晴らしいのだけれど。
この作品はもっと原始的な力技。
「グラフィックのレベルを上げて、枚数も増やして、力技でぶん殴る」という方式。
金の力でぶん殴られてる感じすごい。これは勝てない
盛り上がりが半端ねえっす。
エロゲーマーからしたらストーリーの構造が目新しいということは全然ないんだけど、でも過去にない体験を得られた。なんか壁を越えた感じがある
助けたくなるヒロインの作り方、
それを助けるためのハードルの作り方
そのハードルを越えるための力の合わせ方
それらを盛り上げる大量のキャラクターの投入とその演出。
いろんなものが凄まじいレベル。
色んな意味で最先端エロゲという感じがする。本当に素晴らしかった。
ブルーアーカイブほんとにすごい。
かつてエロゲーを好きだった人は絶対にプレイしてほしい。というかプレイしなくていい、YouTubeでストーリーを見てほしい。ストーリーはサブイベントを含めてすべてYouTubeで見れる。
(バトル要素や3Dキャラも見どころなのでぜひやってほしいが、ぶっちゃけゲーム部分はかなり怠いのと、人によっては課金したくなってしまってお財布が危なくなるかもしれないのでお勧めしない。私はこのゲームはよく理解できないので全然課金する気にならないけど)
これを基本無料でプレイできる今の若い人たち、うらやましすぎる。
私はかつてエロゲが好きだった人間として、この作品がどれだけ贅沢な存在なのかはたぶん今の若い人よりもわかるつもりだ。
これは当然エロゲというパッケージではビジネス的にほぼ不可能な形態でありソシャゲという枠組だからこそ実現できたものだと思う。基本的にはソシャゲには一銭も払いたくないしそんな金あったらパッケージエロゲにお金払うわ人間だけど、このゲームは課金しちゃう人がいても納得できる。
蛇足 「ヘブンバーンズレッド」との比較
あくまで個人の好みなのだが、Wright Flyer Studios × Keyとソニーが全力で組んでやってる「ヘブンバーンズレッド」よりすごいと思う。
ヘブンバーンズレッドは既存のエロゲの延長線上にある作品だ。これはこれで古き良きエロゲを愛する人には懐かしくてうれしい作品だと思う。しかし、ブルアカとヘブンバーンズレッドではリソースのかけ方の発想がそもそも違う。ヘブンバーンズレッドは日の丸半導体で、ブルーアーカイブは韓国サムスンという感じだ。
「ヘブンバーンズレッド」は、細かい日常イベントや会話までフルボイスだし、全キャラ等身大の3Dキャラという狂気の沙汰で構成されている。楽曲の数も非常に多く、演出面では音楽にかなりいぞんしているといってよい。さらにプレイしていてバグも全くない。高品質・高信頼・高性能という感じだ。これはこれですごいことなんだけれど、それゆえに、イベントごとに動かせるキャラクターの数が少ないし、バトルは毎回似たような感じで単調であり盛り上がらないという難点もある。
一方のブルーアーカイブは序盤はしょぼくて古臭いゲームだと感じる。ぱっと見萌えを売りにしたよくあるゲームに見えるくらいだし序盤はたぶん意識してそうやってる。なんといっても今どきのゲームなのに普段のイベントでは声が全くない。最初はむしろ古いゲームだと思っていた。
しかし、そのあたりで省力しまくっているゆえにストーリー制作における制約が薄れて自由度が高くなっているし、バトル描写も毎回新鮮味がある。最終章で80名くらいいる全キャラクターが活躍するというとんでもないことになってしまった。
あとブルーアーカイブは二次創作を刺激するのがうますぎるでしょ……。正直自分もなんで二次創作で圧倒的な人気があるのか最初は全然わからんかったけどやってみればわかる。
運営も二次創作も含めて、全てがブルーアーカイブという世界を作ってる。本当にすごい。
*1:もちろん、DESIREでなくとも「11eyes」とか「ひぐらしのなく頃に」とかなんでもいいんだけども。