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「命令されなきゃ、憎むこともできないの?」(ブルーアーカイブ#3 エデン条約編3.私たちの物語)

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「望郷太郎」 なにこれべらぼうに面白いんだが…… なんで今までこれ読んでなかったんだ……

今まで読んでなかったんだけれど、discordで紹介してもらったので読み始めたらめちゃくちゃ面白かった。


今年読んだ中で今のところ一番面白いマンガ。紹介してくれた人ありがとう!


「度胸星」「へうげもの」の人が「なろう」的な作品を作るとこんなに面白くなるのチートすぎる……


物語の舞台は現代から500年後の世界。一度世界がほとんど滅びた後に、文明がリセットされた状態でなぜか人類が細々と生き残っているといるという「どうしてそうなった?」というツッコミどころ満載の設定だ。この辺りは異世界と割り切った方が良いと思う。

ともかく、その世界で元商社マンであった主人公だけが「通貨」の力を知っていてそれを使いこなして社会をひっかきまわすという展開になるわけだが……。

www.youtube.com

物語の世界はかなり過酷な世界だけれど主人公が優秀だし、なによりも「通貨」を切り口にしているのがべらぼうに面白い。「狼と香辛料」のアニメがリメイクされるタイミングということもあり、自分の中でいろいろ比較しながら読み進めている。



ちなみに、この動画でかたられているような「通貨」の話が出てくるのは2巻の後半から。それまでは主人公は知識こそあるけどただの弱者でしかない

それまでは「通貨」の概念そのものが登場しない。

話が進むにつれ登場する概念がすこしずつ「文明」的になっていく。

・「家族」が「村」になり
・「物々交換」が生まれ
・「時」や「数字」が使われるようになり
・そこから「奴隷」が生じ「戦争」、そして「国」が登場する。

実際の歴史と同じではないが、文明が発展すると概念がどんどん増えていくことがわかるようになっている。

なお、文明が発展するほど幸せになるかというとどうもそう単純ではないぞ、というのを随所でにおわせてくる。

文明が発展するにつれて、人は忙しくなり、自由でなくなっていく。


しかも最初に登場する通貨は予想してたのと全然違うのが面白い

主人公は、この「金」が出てくるまでは本当にただの弱者だった。
文明社会の住人だったことによる知識チートなんてほとんど機能しない。
ちょっとうまい料理が作れる程度しか機能していない。
原始的で暴力による支配が基本となっている世界ではほとんど役に立たない。



知識チートが役に立つのは最低でも商業組合が出来上がった「中世ナーロッパ」くらいからなのだろう。原始時代から勝負しようとすると、逆に「神と呼ばれたオタク」のような形でかなり進んだ文明が必要となるようだ。(紹介記事



ともあれ、主人公は最初は人扱いされず、生きていくためにまず人として認められるための努力をするところから始めた。
そしていざそこまで進んだと思ったら、また奴隷の地位に落とされる。
このあたりの紆余曲折ぶりはこの辺りの作品を思い出す。




そんなわけで苦難続きだし、このまま頑張っても無双する展開にはならなさそうだな

……と思っていたら

3巻の途中で「マー」というこの世界における「通貨」の存在を知ったことで主人公は一気にポテンシャルを発揮させる。



それまでは文明の発展をダイジェストとは言え段階的に描いてきて、
主人公自身はその中でずっと弱者のままだったから、
ここからの加速ぶりというか「飛躍」ぶりはさすがに驚かされる。

この作品が描こうとしてたのはここなんだねってのがようやくわかる。


「金」の力があまりにも強力すぎて一気にゲームをひっくり返してしまう

そして、主人公自身がそのあまりの破壊力にドン引きすることになることになるのだが

そこで終わりになるのではなく、500年前の世界では金の力に振り回されることしかできなかった主人公はこの世界ではなにかと悪さをしがちですぐ人を支配しようとしてしまう「金」の力を制御し、世の中をよくする方向に使おうと考える。



こうして、主人公の「リベンジ人生」が幕を開ける。

このあたり前世で新興宗教のせいでつらい思いをしてきた主人公が異世界で差別された人たちを守るために宗教国家を作ろうとする「神無き世界のカミサマ活動」とオーバーラップする。


類似作品はいろいろあるけれど、私には「望郷太郎」がめっちゃ刺さる

私は「狼と香辛料」をはじめとして
「[C] THE MONEY OF SOUL AND POSSIBILITY CONTROL」(ブログでは話題にしたことない)とか
「ワールドエンドエコノミカ」(紹介記事)とか
「ハイパーインフレーション」(紹介記事)とか
「片喰と黄金」(紹介記事)とか
「羽月莉音の帝国」(言及してる記事)とか
「トリリオンゲーム」(紹介記事)みたいに経済ラノベ的な作品が大好き人間なのですが

「望郷太郎」はこれらの作品とは違う面白さがあると思う。


例えばハイパーインフレーションは各キャラクターのドラマツルギーを描くエンタメを重視しつつ「偽札作り」を通して通貨の力を語っていた。

一方で望郷太郎は「金は人を幸せにするのか」というテーマをもって通貨を描いていこうとしていると思う。人によって好みの差はあると思うのだけれど、個人的には個別株投資やってて毎月日銀とかFOMCの中央銀行の動きをいちいち気にしてるような人間なのでちょっとロスチャイルド陰謀論みたいなのも取り入れつつも金の暴力性というか、金が社会を、人間を支配するという要素を描こうとしているのがすごい面白い。私の中では類似作品の中でも「望郷太郎」がめちゃくちゃ刺さりました。


上の動画では「金の力」の話だけが紹介されているが、中東から日本まで旅をする物語という点も面白い

旅のラゴスが好きな人にはたまらない作品だろう。

他にもへうげもの同様にド派手なバトルシーン(一部まぐわいあり)などがあったりとにかく見どころが多すぎる!

まぁとにかくべらぼうに面白い。動画の説明だけでもこの作品の一面しか語れていないし私の記事なんか本当にさわりの部分だけだ。できれば1巻ごとに詳細に感想を語っていきたいぐらいだ。




記事では語り切れないくらい面白い要素がたくさんあるので、絶対自分で読んでみたほうがいいと思う。
「コミックDAYS」でかなりの部分は無料で読めるので、読んでみて、気に入ったら買うのだ。

この作品は一回さっと読んで終わりにするのはもったいなくて、何度も読み返すことで味が出てくる作品だと思うので自分にあうなと思ったら途中からさっさと買ってしまった方がいいと思う。というか、この作品って1話ずつ読んでたら把握しきれなくないです?少なくとも私はこれは単行本で読まないと楽しみきれないなと思って早々に買いました。

単行本では、地図で主人公たちの行動経路を確認しやすくなっているし、「ポトラッチ」の文化背景の解説などが読めるのもすごく良い。 

我慢できなくなったら3巻以降についてはあらためてnoteの方で細かく感想語るかもしれない。




そういえば、創世のタイガは今どうなったんかな…… こっちは5巻まで読んだ感じでは相変わらずサバイバル重視な感じだったけど……




ブックマークコメント非公開にしてたら文句言われたから公開にしたら文句言われた……もうあかん


非公開にしたら文句をいい、公開したら文句をいい……。
やっぱりはてブ民のコメントは相手にしたら負けやな……。

何度でもこちらを失望させてくれる。さすがすぎる。