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「命令されなきゃ、憎むこともできないの?」(ブルーアーカイブ#3 エデン条約編3.私たちの物語)

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発達障害

「なおりはしないが、ましになる」 発達障害者はストレスに弱い傾向にあり、目の前のストレスを避けようとして常人では理解し難い行動を起こすことがある

www.tyoshiki.com
に関連して改めて思い出した話があったので紹介しておく。


ストレスに弱いせいで「直近では過度に悲観的なくせに、長期的には過度に楽観的」になりがちな発達障害者たち

以前に借金玉さんのブログか著書のどちらかでこういう話を読んだことがある気がする。

発達障害者、特にADHD特性の人間の中に「異常にストレスに弱い」個体がいる。
そして、その人達は「短期的には過度に悲観的に考えるが、その反動で長期的には過度に楽観的に考える」
これが周りとの齟齬を引き起こす原因になっている

この話、私の脳にこびりついているのだが、ブログで検索しても見つからなかったので覚えている人がいたらぜひ教えてほしい。
kindleで借金玉さんの本を持ってる人がいたら「過度」「楽観」などでぜひ検索してみてもらいたい。



これ、私にはよくわかる感覚なのだが、普通の人にはちょっとわかりにくいかもしれない。


ただ、発達障害者と接する際に、自閉的とか落ち着きがないとかいうわかりやすい特性より、
この目に見えない上に、知識として知っておかないと絶対に理解できない部分を理解しておくのが一番大事だと思う。



というわけで、「発達障害」をテーマにした作品の中でもいま私の中で最もおすすめの作品「なおりはしないが、ましになる」の39話のエピソードを紹介したい
www.tyoshiki.com



何度も何度も念押ししたのに、なぜか言ったことをやってくれず、問題が起きた後に確認したら「忘れてました」と答える部下

以下の会話の登場人物は3名。作者であるカレー沢さんと、編集者、それから作者の夫だ。それぞれ「カレー」「編」「夫」と表記する。



「取引先に今まで何度も 揉めている 厄介な人がいるんだがその人に伝えなければいけないことがあったから厄介な人を直接担当してる部下に「絶対に伝えるように」と何度も念をおして頼んだんだ。でも、結局担当者は厄介な人にそれを伝えてくれなくて上司である俺が超怒られた」「その後で担当者に確認したら、担当者は普通に忘れてたっていうんだ。 厄介な人からはずっと「何でこうなったんだ!」って 怒られたんだけどさ…こっちが聞きたいよ。 あれだけいったのになんで 忘れられるんだ」 「しかもさ、それについてせめてマズイことをしたと認識してくれているなら今度から気をつけてくれ、とか対応のしようもあるんだけど。この担当者、私に謝っても来ないし、その後も同じようなことを何度も繰り返すんだ」「それでなにか問題がないかと面談しても特に問題はありませんって言うんだ…… もうどうしようもないよ


カレー
「私も会社員時代 似たようなことやった……。だから私にはよくわかるんだがこの人の行動は正直言って 普通の人には理解不能だと思われる。普通の人にはこの担当者とか私の行動は理解ができないからとりあえず無能とか自己中ということになっていき、最終的には関わらない方がいい変なやつとして 孤立していくんだ……」「その人が発達障害とは限らないが、私に似ている気がするのでなぜこうなるのか考えてみよう…」


「本当に忘れていた」は考えうる限り一番マシなケース。発達障害者はもっと変なことを考えて行動している


「その人は指示を受けた後別の指示を受けたせいで、すっかり忘れちゃったのでは?トコロテンみたいになにかインプットしたら過去のが漏れてしまうというか」


カレー
「お前は何年この漫画の担当しているんだ……私俺たちのことを何もわかっちゃいない。確かに 単に忘れていた可能性もある。しかしそれは一番マシな理由だ 」「いいか? それだけ 念をおされていたのであれば、むしろ 忘れるどころかむしろ 頭にこびりついている。そして、頭の中では何度も伝える シミュレーションした可能性が高い。忘れていたわけではないんだ、多分」



忘れてないなら、なんで伝えなかったんですか?



カレー
「この担当者の人が何を考えたかを推測してみるとだな……『上司も手を焼く 厄介な人なんだから伝言を伝えるだけで怒られる』 という想像をしてしまったのではないか?」



「それで?」


怒られるかもしれないという目前のストレスを避けるために、後でもっと怒られかねないことを平気でしてしまう

カレー
「そして怒られるっていうのはストレス じゃん。そのストレスを回避するためには伝えに行かないのが一番だよね



は?



カレー
いやだから……伝えに行くから 怒られるのであって伝えに行かなければ 怒られずに済むんでは……と」




「いや 丁寧に説明されればわかる話じゃないんだが 」



カレー
「うーんと… だからさ。 その厄介な人に怒られるのが嫌すぎるから忘れたふりをした可能性も ゼロではないって言ってんだよ。私もよく忘れたふりで『あ?』って言ってたからな。渾身の忘れたふりを何度もしたよ。




「嘘だろ……でも伝えない方が大変なことになって余計 怒られるのってわかるじゃないですか



カレー
それでも、その場では目の前の怒られるかもしれないを避けるほうが大事なんだ。 それに、厄介な人の怒りは上司に向かって 自分は回避できてるじゃん」




「そこまで計算してたとしたならば 極悪すぎるよ あんた!」



そんなマズイ行動をしているのになぜ謝らないのか? =自己正当化のプロセスが過剰に発達してるせいで反省もできない



「……じゃあその後謝らないのは悪いとも思っていないからですか?」



カレー
「バカを言ってもらっちゃあ困る。もちろん 悪いことをした自覚は『ある』よ。 むしろ ひどい 自己嫌悪に陥ってすらいる。でもずっと、自己嫌悪するのって辛いじゃん?だから防衛本能として 何とか自分が悪くない理由を作り始めてしまうんだ。そして悪くない理由を頭の中で作ってるうちに本当に自分は悪くないって思ってしまうんだ

「もっというと、『上司からその件について言ってきたら』謝ろうと思っていた可能性はある。でも『上司が何も言ってこないなら』もういいのかなって解釈しちゃうんだ。だって、謝る必要がないかもしれないのにこっちからノコノコ 謝りに行ったら やぶへびになりかねないし……って考えちゃうんだな」




いや、謝る必要性しかないじゃん。何いってんだ」



「目先の事柄に対する過度の悲観と、遠い未来に対する過度の楽観」が普通の人から見て異常な行動を引き起こすメカニズム

カレー
「まあつまりだな。発達障害者はストレスに弱い 傾向がある。しかも受けたストレスを長期間 引きずりやすいんだ。 それは前回の過去の失敗を反芻するクセのところで触れた通りだ。」

よって、目の前のストレスをどうしても避けたいがために普通では考えられない行動を取ったり 独特な考え方になってしまったりするんだ




「どういうことですか?つまり、発達障害者にストレスを与えないように周りの人間が気を使えとでも」



カレー
「いや さすがにそうは言わないよ。それだと周りがストレスでぶっ倒れるしな。でもその人が何度も問題を起こすということは、少なくともその人にとってストレスを感じやすい 仕事をさせている可能性はある、配置や 業務内容を変えれば マシになる可能性はあるとは思うぞ」



「 ストレスは発達障害だけではなく万里にとって 万病の元ですよね」



カレー
仕事と人間がいなくなれば ストレスは99%なくなるけれどな。つまり 発達障害は自分の特性だけではなく ストレスもコントロールしていく必要があるのだ 」


これほどまでにストレスに弱くて、どうやって生きて行くんですか?

ストレスのコントロールへの挑戦は、ぜひマンガを読んで確認してみてください。

この漫画は、作者が一つ一つ自分の特性を掘り下げて考えてみて、その上で
直そうとするのではなく、ちょっとでもましになるようにいろいろ取り組んでいく作品だ。
自分とは考え方が違うところもあるが、一つの意見としてとても納得が高く役に立つ。



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