コミカライズのレベルたけえええ!!!!
はいもうこれ決まりでしょ。4月のイチオシ作品はコレでいきたいと思います。(3月のイチオシは「桜田の☓☓レポ2」)
なろうでは2018年から連載しており。ネットでは「拓銀令嬢」という愛称で知られる人気作品!
少なくとも1章の間は「悪役令嬢」はただのフック要素であり、実際は平成を舞台とした政治経済仮想戦記です。
主人公は読者から「拓銀令嬢」の相性で呼ばれるくらい特徴的なキャラであり
バブル崩壊でぼろぼろになっていく日本の中で、時代そのものに抗って生き延びようと奮闘します。
とにかく並の悪役令嬢と違い、自分だけが生き延びればいい系の話ではなく、主人公が真面目に日本経済を救おうと努力するのでかなり大掛かりな話になります。
バブル崩壊後不況の煽りで会社が倒産→転職失敗を繰り返し、やっとたどりついた職でも激務の結果身体を壊し、貧困の中で野垂れ死んだ主人公の人生やりなおし物語
転生した先は「現代日本とは分岐した世界だが、だいたい平成バブル崩壊直後の日本」だった。
「悪役令嬢」として二度目の人生を与えられた主人公は、最初は令嬢としての人生を楽しみつつ、
他の悪役令嬢モノと同様に「とりあえず自分だけ破滅フラグ回避できるように」といろいろ画策する。
しかし、バブル崩壊後に多くの人が理不尽な状況に追い込まれているのを見た時に彼女の考え方は変わる。
自分の前世の体験もあって、「時代の力が人々をすりつぶしていく運命そのもの」に対する怒りを覚え、その運命に抗おうとする。
自分の身の回りだけではなく、日本経済を救うという壮大な野望を持って戦いを始める
というわけで絶望と衰退が支配した「失われた20年」を回避するために倒産寸前の「北海道拓殖銀行」を買収して立て直すという超ビッグプロジェクトに挑むことになる。
このあたりの詳細は実際に読んでみてください。
2章以降はロシア絡みのネタが多くなる
ちなみにこのあたりまでは現代の我々とほぼ同じ感覚で読めるがあくまでこれは仮想戦記である。
北海道拓殖銀行救済後は、だいぶ現代日本と設定が変わってくるので、フィクションとしての要素が高くなる点に注意。
ここからは「悪役令嬢」要素もしっかり物語に絡んでくるぞ!
この後も名だたる大企業がガンガン登場するらしいので
YouTubeのしくじり企業シリーズのように企業の歴史を知りたい人にも楽しめるし
逆に「羽月莉音の帝国」、「ワールドエンドエコノミカ」など金融経済ラノベが好きな人にはたまらない作品ですね。
これは漫画版の続きを待つのは時間がかかりすぎるから普通に小説版の方を読みたくなったのだわ・・・もちろん漫画版も続きでたら絶対に読みます!
https://ncode.syosetu.com/n3297eu/
おまけ 実際の歴史の復習も兼ねて、主人公が「北海道拓殖銀行」を救うまでの流れをまとめ
マンガを読めばわかるように説明してくれていますが、自分がふりかえれるように一応まとめておきました。
みなさんは特に読む必要はないので、マンガを読んでみてください。
1997年末は地獄の倒産ラッシュだった。
11月3日に三洋証券破綻
11月17日に北海道拓殖銀行破綻
11月24日に山一證券が自主廃業を発表
実際の北海道拓殖銀行は、規模が10分の1の北洋銀行に債権・債務譲渡が行われたあと
北洋銀行が連鎖倒産しないために「日銀特融」(最近でいうとFRBが地銀に行ったBTFPのイメージ)が実施された。
最終的には不良債権処理に3.4兆円の公的資金が注入された。(そのうち半分は日銀特融の返済)
www.youtube.com
こちらは負債総額3.5兆円だが、山一證券は違法行為を山ほど行っていたので日銀特融が適用されなかった。
作品中での主人公の救済スキーム
主人公は自分が救済した「極東銀行」をベースにM&Aをしかけていく。
1:まず極東銀行が三洋証券を買収する。こちらは通常のスキーム。
2:三洋証券が山一證券を逆さ合併する。
大蔵省は、証券局と銀行局の対立関係を利用して納得させた。これでまず証券会社に恩を売る。
3:逆さ合併で強化した三洋証券に、山一證券とまとめて「日銀特融」を行ってもらう
4:北海道拓殖銀行が破綻の噂で株価がどん底まで下がった状態で「極東銀行の子会社を経由して」TOBを仕掛ける
5:この状態で逆さ合併を行い、その後で「日銀特融」を行ってもらう
6:さらに長期信用銀行と債権銀行も合併し「桂華銀行」として統合。最終的に「8兆円規模の日銀特融」を引き出す。
というわけで弱小地銀が、都銀を吸収合併するまでの流れでした。