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「命令されなきゃ、憎むこともできないの?」(ブルーアーカイブ#3 エデン条約編3.私たちの物語)

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「進撃の巨人」30巻~32巻の感想  巨人じゃなくて人類すべて駆逐してやる系男子と化したエレンを止めることはできるのか?

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の続き。


120話において「進撃の巨人」と「始祖の巨人」を宿すエレン・イェーガーと「獣の巨人」の力を宿し王家の血を引くジーク・イェーガーがついに接触を果たす。


ジークは師である「クサヴァー」の影響で、エルディア人安楽死計画を考えており、エレンもそれに同調しているかのように見えたが、エレンはその計画に賛同したふりをしていただけで最初からジークの王家の力だけを手に入れようとしていた。しかし、エレンのたくらみはジークに見破られていた。エレンは逆にジークによって拘束される。


ジークはエレンが父グリシャ・イエーガーに洗脳されていると考えて、グリシャの記憶をさかのぼってエレンの洗脳を解こうとするが、エレンはグリシャに洗脳されているわけではなかった。

あんたが望んだ哀れな弟はどこにもいない。あんたの心の傷を分かち合う都合のいい弟も。
ただここに居るのは、父親の望んだエルディアの復権を否定し続けることでしか自分自身を肯定できない男、死んだ父親にとらわれたままの哀れな男だ。

というよりも、その逆だった。エレンが過去のグリシャを操っていたのだ



グリシャの記憶から「進撃の巨人」の隠された能力が明らかになる

進撃の巨人は、未来の継承者の記憶をも覗き見ることができる。つまり、未来を知ることが可能なのだ。

父グリシャは、レイス家を殺そうとしたが、自分の意志ではできなかった。
父があの凶行に及んだのは、エレンがグリシャに未来の記憶を見せたからだった。

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エレンもまた、クーデターの前後にジークにも知りえない恐ろしい未来を見ていた。
それからエレンはすっかり変わってしまっていたのだ。




ジークはエレンを止めるために、始祖ユミルに命令して「エルディア人安楽死計画」を発動させる

あくまでこの時点で始祖の力を使えるのはエレンではなくジークの方。

ジークはユミルにエルディア人の生殖能力を完全に無効化する命令を出す。

王家の命令に逆らえないユミルは指示通りにその命令を遂行しようとするがエレンはユミルを止める。

お前は奴隷じゃない。神でもない。ただの人だ。
誰にも従わなくていい。お前が決めていい。
決めるのはお前だ。お前が選べ。
永久にここに居るのか、終わらせるのかだ。

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歴史では「優しい女の子」として教えられていたユミルは、実際にはエルディア王家によっておぞましい非人道的な扱いを受け続けていた

ユミルは生まれた時から奴隷だった。
それだけなく、おなじ奴隷仲間にも裏切られて王にその身を捧げられ、
無実の罪で両目をえぐられた上人間狩りのおもちゃにされた。

逃げ込んだ先でたまたま巨人の力に目覚めるのだが
ユミルは力を手にした後も王家に反逆することもなく奴隷として服従を強いられた。

好きでもない男に犯されては子を産み続けることを強制され、
子をはらんでいないときは土木事業や戦争の道具として酷使された。

道具としてその一生を使い捨てられ、やっと安息を得たかと思ったら
王家の人間たちは子孫にその能力を引き継がせるため、ユミルの死体を切り刻んで食した。
よくぞここまで非人道的なことができるなと思うが、王家にとってユミルは文字通り人間ではなかったのだろう。

ユミルは死んだ後も王家の血から縛られ続け、
2000年もの間ずっと一人で、王家の人間が求めた時に巨人を作り続ける役務を課せられ続けていた。



ここまでやっておきながら、
王家たちは歴史を改ざんし
「ユミルはエルディア王家のことを思い、そのために自らの意志で力を作った」
と子孫たちに語り継いでいたのだから吐き気を催す邪悪といっても良いだろう。




ユミルはずっとずっとずっとずっと心を殺して耐え続けてきた。

王家の血筋が誰一人ユミルを自由にしてくれなかったのだから仕方がない。

そんなユミルに対して、エレンの呼びかけがついにユミルの心を目覚めさせる。

ユミルはついに、王家の命令に反逆する。

ジークの命令を拒否し、エレンにそのすべての力をゆだねることにした。





エレンが始祖の力を完全掌握し、始祖の巨人として変身したうえで「地ならし」を発動する

結局、エレンは

・安楽死計画でエルディア人全員を去勢しようとしたジークを拒み、
・始祖の力を維持するためにヒストリアを犠牲にすることも拒んだ。



エレンが選んだ道は「エルディア人以外全人類の抹殺」だった。



そのために壁を形成していた巨人すべての硬質化を解いた。すべての巨人を目覚めさせた。

海の外の連中が一番恐れていたことが起きちまった。
俺たちを悪魔だと決めつけて皆殺しにしようとしたばかりに……

物語の開始から100年以上にわたってパラディ島の住人を守り、かつ住人をその内側に縛り続けていた壁は、あっというまにそのすべてが消失した。



すべての巨人が、壁の外に向かって進撃を開始する。

とはいえ、エレンもすべての巨人を細かく制御できたわけではなく、
マーレ人などエルディア外の人間だけでなくエルディア人をも襲い始め、ようやく巨人がすべてパラディ島の外に向かった時には街に大きな損害が出ていた。



エレンがすべての巨人の硬質化を解除したことで、「アニ」が4年ぶりに復活

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アニが今後どのように動くかはまだ不明。


これで現在巨人の血は以下の通りになった。

「始祖」「進撃」「戦槌」=エレン (「獣」=ジークも取り込んでいると思われる)

「顎」=ガリア―ド→ファルコ

「鎧」=ライ

「女型」=アニ

「車力」=ピーク

「超大型」=アルミン

ただ、ここまでエレンが圧倒的になってしまうと、残りの巨人たちに果たして意味があるのだろうか?



パラディ島ではエレン信奉者が実験を握り恐怖政治を行う

パラディ島内部のエルディア人の大多数はエレンのこの行動を熱烈に支持する。

今まで虐げられ、死の恐怖におびえていたものがエレンの力によって一転強者の立場に立ったためか
「イェーガー派」として完全な排外主義、完全な選民主義を持つ人間が一気に台頭することになる。

調査兵団の中ではひよっこ扱いだった「フロック」らがこのイェーガー派のリーダーシップをとり、
エルディア人の敵を皆殺しにすることで人類間の遺恨の「最終解決」をしようとたくらむ。

俺はエレンの代弁者だ。
エレンが島の外の問題を完全解決するなら、俺も島の中の遺恨を完全に消し去る

イェーガー派に従わない者をどんどん粛正しようとする。



もちろん、今まで中心的に活動してきた人物の中にもイェーガー派に反対する人たちはいたが
イェーガー派はそのことごとくを粛正しようとする。

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突然無差別に殺されることがどれほど理不尽なことか知ってるはずだろ!?
どうしてあんたたちがわからないんだ!!

まぁ……えてしてそういうもので、今まで差別されてきた人たちはまた自分たちが弱者の立場に戻るのが怖いから自分たちの他の存在を信じられないんだよね。今のネトウヨさんなりネットリベラルの人にしたりネットフェミニストさんたちにしたりみんな同じ。何かを信じて身をゆだねるしかない人たちは、それまでに疲れきっていて他者のことを考える余裕がないんだろうと思う。


元調査兵団のメンバーは、「イェーガー派」に従うことを良しとせず、ひそかに終結してエレンの皆殺し計画を止めるために行動を開始する

・ハンジとリヴァイは一応生きていた模様。車力の巨人たちと手を結ぶ。

・コニー、アルミン、ミサカはファルコ(顎の巨人を継承)とガビを確保。

・アニはコニーたちと合流。

・コニーたちはライナーを確保する。

・車力の巨人たち一行がジャンのほか、イェーガー派に粛清されようとしていた義勇兵たちを回収する。

時間がねえ。早くいくぞ。世界を救いに。


エレンが虐殺に走ったのはエルディア人を救う方法を模索していく中で理想論ばかりに頼っていて時間切れになったから

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エレンも最初は島の外の人たちと分かり合う道に希望を持っていた。でもその道は途絶えた。エレンが絶望してみんなの前から姿を消したのは、マーレ国にいき、彼らがみんな「ともあれエルディア滅ぶべし」と唱えているのを見せつけられたその日からだった。

壁の外の世界に希望を求め、その外側に絶望しかないことを知ったから、その絶望から「家族」である仲間を救うためにその他すべてを犠牲にしようと誓った。 あれほど「外」に希望を持っていたエレンが、「外」をすべて消し去ろうとした。


しかしそれはあくまで仲間を思うが故のエレンの独断であり、調査兵団の理念とは違う。

私はまだ調査兵団の14代団長だ。
人類の自由のために心臓をささげた。仲間が見ている…気がする。
大半は壁の外に人類がいるなんて知らずに死んでいった。だけど…この島だけに自由をもたらせばそれでいい。そんなケチなことをいう仲間はいないだろう?

これは、調査兵団に入りたてで、調査兵団の精神になじむ前に島の中での戦いが終わりその後エレンの圧倒的な力を見て「イェーガー派」の熱狂の信奉者になったフロックと対照的である。



とはいえ、どうやってエレンを止めればいいのか?

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ごめんなさい…
私たちは、パラディ島のあなたたちを皆殺しにすることが希望でした。
世界から認めてもらい、許してもらうために。
この島が、悪魔が消えてなくなることを願い続けていました。
そうしたら、お父さんやお母さんが、レべリオのみんなが消えてなくなることになりました。
…ごめんなさい。

すごく…図々しいことはわかっていますが。
皆さんの助けが必要です。どうか…私たちに力を貸してください。

エレンが人類すべての敵になったことで「守りたいもの」がある人々は連帯することができるようになった

これ見てると「ヴァンパイア十字界」を思い出すよね……。



元調査兵団一行はエレンを追うために飛行機を整備できるアズマビトのもとを訪ね、「イェーガー派」と殺しあう

「イェーガー派」の連中だって純粋な悪などではない。
自分たちの味方を守るためにエレンを守りたいと願った普通の人たちだった。

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だけれど、そのために「自分たち以外はみんな死んでも良い」という態度になり
従わない者をみな粛正するというジャコバン派やスターリンみたいなことをやり始めた。


ただ、調査兵団一行は、エレンによる皆殺しを止めるためにかつての仲間であった彼らと殺しあうことになる。
そして、アズマビトの技術者を連れ、飛行機を飛ばすことができるオディハの街に移動する。

最終的に、この戦いで殿を務めた「マガト」隊長は戦死してしまう。

昨夜の……私の態度を詫びたい。軽々しくも正義を語ったことをだ……

我々は……間違っていた。この期に及んで、まだ自らを正当化しようと醜くも足掻いた。
卑劣なマーレそのものである自分自身を直視することを恐れたからだ。
君たちに責任はない。同じ民族というりゆうで 過去の罪を着せられることは間違っている。
ピーク、アニ、ライナー、お前たちも世界の憎しみを一身に背負ういわれはない…。

だが…この血にまみれた愚かな歴史を、忘れることなく後世に伝える責任はある。
エレン・イェーガーはすべてを消し去るつもりだ。それは許せない。
愚かな行いから目をそらし続ける限り、地獄は終わらない。

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元調査兵団メンバーはもともと殺し合いをしていたマーレ国とエルディアの住人の混成チームだったが
もはやこのメンバーの中では、殺しあうほどの憎しみや対立は溶けていきつつあった。

もう…戦いたくない。あんたと…殺しあいたくない。
あんたたちとも……エレンとも……

こうやって元調査兵団メンバーが悩み続けている中もエレンの進撃は止まらない

ついに海を越え、世界の連合艦隊を撃破し、マーレ国への蹂躙を開始する。

完全にユミルを制御し、超巨大巨人など比較にならないくらいのスケールになった巨人を止めることなどできるのだろうか?

進撃の巨人(32) (講談社コミックス)

進撃の巨人(32) (講談社コミックス)

  • 作者:諫山 創
  • 発売日: 2020/09/09
  • メディア: コミック

32巻ラストの巨人たちの進軍の絵は壮大で神々しさすら感じる。

今、人類の世界に終わりが訪れようとしていた……。



おまけ イェレナみたいなやつ、Twitterにいっぱいいるよね

自称政治系インフルエンサー「黒瀬深」のツイートを信用してはいけない理由とは|おかっぱ|note

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こういう人たちが一番過激な思想を持ちやすい。なぜなら自分の中にストッパーが全く存在しないから。

もしかして「ONEPIECE」2部、めっちゃ面白いのでは……? - 頭の上にミカンをのせる

「自分自身に何の動機ないからこそ、無限に英雄願望に突き動かされてどこまでも他者を憎悪できる」という空虚さは、今のネット時代のネトウヨや、ミソジニーミサンドリーなどの「分断の社会」をいやがおうにも意識させます。正直今読むからこそ面白いなと感じるくらいですが、これを5年以上前に描いてたというのだから本当に鋭いなと思います