わたしは好きなようにした、お前たちも好きなようにすればよい
総理、あなたもそろそろ好きにしたらいいんじゃないですか?
見てきました。
映像が楽しい作品であり、百聞は一見にしかずな作品だと思うので、あんまり語ることもないです。
気になる人は見てください、という感じ。
シン・ゴジラ118.5メートル
— 藤井亮 (@ryofujii2000) 2016年8月2日
牛久大仏120メートルと知って、思わず簡易合成。
すごくいい勝負しそうではある。 pic.twitter.com/mRYUfBYt1z
作品の7割くらいはバトルではなくひたすら政府内部での会議や折衝の描写だけど私はここの部分結構好き
「政府」は、「国家」は、ゴジラに負けないくらい、それ以上に図体がでかい存在です。しかもその構成員は一人ひとりバラバラの意志を持っている。 だから何かやろうとしても簡単には動けません。好き勝手にならない現実の様々なしがらみ、手続きの煩雑さ、いろんな思惑やら背負うものやらなどでがんじがらめです。
ゴジラが一個の個体の統制の中で増殖し成長し、どんどん力をつけていくのに対して、国家は差し迫った脅威や刻一刻と変わる状況に対して対応がどんどん遅れていく。比べてみると図体のでかいうすのろに見えます。それに付き合ってる観客もハラハラというかジリジリさせられます。
こういうジリ貧の状態が続き、脅威にさらされ続けると、ついつい、スカッとしたくなる。一発で解決できるような何かを求めたくなる。つまりウルトラマンみたいな返信ヒーローだとか、スーパーマンみたいな存在がほしくてしょうがなくなります。 だけれどもそんなものはいない。人間たちだけでこのゴジラを何とかしなければいけない。そういうストレスのかかる状態がずーーっと続くんですよね。登場人物もずっと感情を抑えてる描写が続きます。観客としても同じようにスッキリするところがなく、見てるだけなのにかなりしんどいです。
しかし、最後にはこのバラバラで効率悪い人間たちが、がちっとかみ合ったとき、時間はかかるけどどんなことができるのかを見せてくれます。
彼ら彼女らの行動は、正々堂々と戦って力で上回って勝つ、と言ったようなものではありません。むしろ搦め手を使い、ある種卑怯と言われるような方法で勝利をかすめ取る、そんな戦いです。それは変身ヒーローが宇宙妖怪を倒すようなすっきりする形ではないかもしれません。はっきりいって見栄えは良くない。それどころか不格好で、ほんとに上手くいくのかどうかわからない。泥臭いし、あたりはぐちゃぐちゃに壊れるし、ろくでもないです。
それでもその前までの過程を見ているから、溜めに溜めに溜めてついに行動を始めたものを見ると、なかなかに画面の中の人たちと一体感を感じられる。淡々とした映画のはずなのに、結構感情移入してたような気はします。
「考えるな、感じろ!」的な楽しみ方が許されてる作品かなって思います
この映画にはいろんな読み取り方楽しみ方があるようです。しかし私は意識低いので、他の人が言ってる日本がどうとか震災がどうとか、そういうめんどくさいことはあんまり意識せず見てました。
それでもそういうのあんまり厳密に考えなくても十分楽しかったです。
母親は怪獣映画とかまったく見てない人だけど普通に楽しんでました。逆に、一緒に見に行ったうちの父親は、「ゴジラはそもそも核の恐怖へのアンチテーゼとして」とか「ゴジラの強さの仕組みがよくわからず納得いかない」などなど細かいこと気にして納得いかなさそうな顔をして楽しめなかったようです。なので、あんまり細かいことやらバックグラウンド考え出すと、逆につまらなる人多いんじゃないかなって思います。
もちろんあれこれ考えたほうが面白くなるというオタク気質の人は好きなだけ考えてくれたらいいと思いますけど別にそれ必須じゃないかなって。ぶっちゃけすべてが緻密に作られてるわけでもなさそうだし、まじめに考えたら粗というか納得できない点がボロボロ出てきそうに感じましたし。
今ネット見てたらどんどん観る側のハードルが上がってる気がするのだけれど、この映画は気軽に見に行って、気楽に味わえばいいんじゃないかなーって思います。そのうえで考えたい人には考えられる要素がたくさんある作品なんだとしたら、それって最高やん?
子供には難しいかもしれないけど、それでもこの映画を観せてあげてほしい
あと、お子様がいらっしゃるお父様がたは一緒に見に行くといいんじゃないかな。
多分子供が見ても7割くらいわからんと思います。すごいめんどくさし回りくどい話なんです。なんでこんな無駄なことしてるんだ、それよりもさっさとゴジラ倒しちゃえって思ってしまうかもしれない。
でも、大人ってすげえしんどいけど、目は死んでないし、どこか楽しそうに見えることとか、最後まで準備をやり切ったなら、結構とんでもないことができるんだってこととか、そういうのは伝わると思います。
そういうラストシーンを見せた後で、前半で大人たちは何をやってたのか、そういうのを見て説明してあげたらいいと思う。ガチの大人ってダサ格好いいじゃん!って思えるし(作中だけど)日本まだまだ捨てたもんじゃないよね!って思えるし、こんだけ好き勝手やってる大人もいるし、いざというとき自分も好きにしてやる!なんて思えるかもしれません。
「ワールドトリガー」 - 頭の上にミカンをのせる
「ワールドトリガー」の記事を書いた時にも思いましたけど意外と子供ってこういうのサクッと感覚で理解してるような気もしています。
作中ではゴジラの説明はあんまりないというかすごいややこしい話をしててよく理解できなかったのですが、こういう本読めばわかるのかな?
追記。文脈読みをするとこういう見方がオーソドックスのようですね。
震災映画としての「シン・ゴジラ」を見て「日本に希望がない」と確信
映画の枠組みを一言で言ってしまうと「福島原発事故がこんな感じで解決されていたら良かったね☆」というもの。ポンプ車での冷却とか、米軍の無人機出動とか、放射線気にしながらの作業とかわかりやすすぎ。官僚主義とか御神輿首相とかダメダメ日本だったわけですが、危機に際して覚醒。「この国にはまだ希望がある」ですよ。棚ぼたの奇跡じゃなくて、人々の努力で日本は救われる。映画見ていてちょっと泣いた。あー、こんな風に福島原発事故が解決していたら良かったのに、と。
「日本人にはまだ力がある。このダメダメな現状を変えられるッ!」というエールととらえればすばらしいんじゃないでしょうか。
でも結局、日本人は覚醒しなかったし、ダメダメな構造は今も続いている。その状況で「福島原発事故がこんな感じで解決されていたら良かったね☆」っつーのはたんなる自慰行為ではないでしょうか。
ゴジラの口にお薬をぶっこむポンプ車ですが、あれって福島原発事故の時に中国の三一重工が供与してくれたエピソードから採用しているわけですよね?なんで中国が出てこないの?台湾もぼくらの馬英九総統(当時)が特番で煽りまくって募金を集めまくってくれたわけですが、そのエピソードも無視
おお・・・なるほどなるほど。言われてみればそうだなぁという感じです。現実にリンクさせてみようとするとやっぱりツッコミどころ多そうですね。
・特に列車爆弾のシーンはスタンディングオベーションしたいぐらい。最高っす
・市川実日子さんの演技がすばらしかった。
これ、ほんとこれ!私がこの映画で声を大にして叫びたいのはほんとここらへんです。私もう一本シンゴジラの記事書けって言われたら厳しいけど、市川実日子さん素晴らしかったよね!って話だったら書ける気がするよ。