以前にこういう記事を書きましたが、それに関連したお話です。
www.tyoshiki.com
「レスバ」に強い人がちやほやされがちなご時世ですが、ネットはともかくリアルにおいて本当に強さにつながるのはむしろ「聞き上手」の方なんじゃないかってことを語ってくれてる作品があったので紹介しておきます。
[第1話] ふたりぼっちのオタサーの姫 - クール教信者 | となりのヤングジャンプ
ちやほやされたい!愛されたい!ダメっこオタサーコメディ
すでに何作品もアニメ化されてるヒットメーカーであるクール教信者さんの作品です。
とにかく何がしたいわけでもないけど「オタサーの姫」という概念にあこがれて「ちやほやされたい」とい思っている女の子が、いかにもなオタクと二人でサークル活動をするというお話です。
この作品は読んでると「オタサーの姫ってなるのは大変だよね」って思わされます。
姫死亡の大山武子が、あの手この手でオタクくんであるタケさん誘惑しようとするんだけど、
このオタクくんが何気にハイスペック&ストイックなせいで全然通用せずに空回りするという展開になります。
※連載が「となりのヤングジャンプ」ということもあり、2020年12月9日現在では全話無料で読めるので、今のうちに読んでおくといいと思います。
この作品の最新話「大山武子には手を出すな」が個人的にグッときました。
この最新話では、とある映画を見てないことで他の女の子から知識マウントされて「ぐぬぬ」ってなっていた大山武子ちゃん。
その後映画にハマって逆に知識マウントしてきた女の子たちには無事やり返すのですが……
その勢いを借りてオタクくんに突撃してみると
肝心のターゲットであるオタクくん(タケさん)にだけはこの知識マウントが通用しない。
なぜかというと、タケさんは相手が聞き上手だから。
聞き上手な相手にはマウントが全く効かない
マウントが有効になるためには
①相手も「上下意識」を持っていないといけない
②当然だけれど自分が相手より勝っている(と思えなければ)いけない
わけですが、タケさんはこのどちらもうまくいかない。
何を言っても興味深そうに聞いてくれる。
張り合おうという意識が全く感じられず、しっかりと受け止めてくれる。
そうすると、マウントを仕掛けようとした武子ちゃんは全くマウントできてる気分にならないどころか、
マウントしようとする気持ちがそっくりそのまま返って、なにやら敗北感すら感じてしまうんですね。
この展開がなんというかすごく「あるある」でよかったです。
他の話もこんな感じで、設定こそ「オタサーの姫」の話なんですが、コミュニケーションが苦手な人間としては結構「あるある」「なるほど」って思えるエピソードの連発なので面白いです。
ふたりぼっちのオタサーの姫(1): ヤングジャンプコミックス
- 作者:クール教信者
- 発売日: 2021/01/19
- メディア: コミック
マウントを意識してしまう時点で、あんまりその人のこと大事じゃないのかも(笑)
これ、タケさんが実際に詳しいかどうかは重要じゃないと思ってます。
実際自分も、本当に大事だと思える友達との会話ではあんまりこういうマウントとかって実際に意識しなかったなーと。特に中高校時代はそうでした。
自分がが知らないことを相手が知っていたら素直にすごいなーって聞く。ただそれだけでそこにマウントとかいう意識ってなかった。
そういうことを考えると(ちょっと論理のステップを省略しますが)「マウントされてる」とか思う時点でもう多分その人のことあんまり好きじゃないのかなって思ったりします。
マウントされていると感じるということは、その人のことを少し警戒とか場合によっては敵視しているのかもしれないな、と。
知識マウントして来ようとするやつに対して、いちいち知識で対抗する必要って全くなくて
むしろ自分が知らないことを知ってたら素直にすごいなーって思えれば大幅に減っていいよね。
そういう人の方が「余計なところに神経使わない」から結果としていろんなこと勉強したり楽しめてる気がする……。
私は「マウント大好きはてな村」で長いこと暮らしすぎて、デフォルトで猜疑心やマウント警戒心が強くなってるのかもしれない……。
もちろん、だからといって今更批判や懐疑心なしで人の話を聞くのが良いっていうつもりもないですが。
余談:「クール教信者さん」の作品は不思議な魅力があるなと思っています
個人的に「作品そのもの」が好きというわけではないんですよ。
並行していくつもの作品を描かれている影響かもしれませんが、正直一つの作品を全部読もうって思った作品は皆無です。
でも、まず読みやすいよね。
この人の作品って「ピーチボーイ・リバーサイド」以外は全部1回あたり8ページぐらいでその中でちゃんと1話が収まってる。
そして、読んでると何かしら刺さる描写があって、そこを起点に引っ張り込まれてしまう。
めっちゃ好き!推したい!みたいなエモさはない代わりに実際に読んでみると、なんとなく「読んでよかったなー」って静かにうなづきたくなるというか。
マンガを描く手間はさておき、毎回こうやってコンパクトに1話完結の話を出してくるの本当にすごいなと。
なので「小林さんちのメイドラゴン」に限らず
「小森さんは断れない」とか「ぱらのいあけーじ」「ピーチボーイ・リバーサイド」とか
なんだかんだ結局どれも読んでしまっています。
エロ雑誌とかウェブマンガを中心に活躍されている方だから、なのかな……
小説・コラムニストの世界であれば林真理子さんみたいなもんかな、って思ってたりしますが
マンガでこういう人ってあんまりいない……ような気がします。
「 道満晴明」とかか「うさくん」とかも近いポジションかなとは思いますがバラエティの豊富さで言うとやはりクール教信者さんが一つ頭抜けてる気がする。
この不思議なポジショニングを可能にしている魅力ってなんだろうってのは前から気にはなっています。
といっても、そこまでくわしいわけではないので、
クール教信者のことは俺が詳しい!語らせろ!っていう詳しい人いたらぜひ語ってほしいです!