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「命令されなきゃ、憎むこともできないの?」(ブルーアーカイブ#3 エデン条約編3.私たちの物語)

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「地球外少年少女」 あちこちにちりばめられた古典SFへのオマージュを楽しみつつ、遠い未来ではなくむしろ身近な「現在のネットの在り方」について考えさえられる作品

Leap out of the Cradle! (ゆりかごから飛び出せ!)

極めて古典的なテーマ(高度に発達したAIは人間を滅ぼそうとするというやつ)を描きつつ、実はそれはフェイク。
いろんな名作をなぞりつつも本作ならではの新しいゴールにたどり着こうとしてる作品だなと思いました。


めっちゃ面白かったです!


実際に見てほしいのでネタバレは控えめに

ざっくりいうと、前半は「ポセイドン・アドベンチャー」「タワリング・インフェルノ」のように災害に陥った乗り物からの脱出もの
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後半は「人類以上の知性体(となったAI)との対話」みたいな感じです。「ガンダム00劇場版」やこの後紹介しようと思ってる「ViVi」とも通じる内容ですね。
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最終話はまどマギ劇場版が好きな人にはたまらないでしょう。 個人的には私が好きな「OZ」あたりを思い出したりもしました。
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その際に、3つとても重要なキーワードがあったのでそれを念頭に置いてこの作品を見てほしいなと思います。
この3つは、むしろ「現代日本のインターネットとの向き合い方」とか「子供との向きあいかた」にフィードバックできる考え方です。

というか、おそらくそれを意識しています。
SF的設定で遠い未来の話かと思わせておいて、実は我々の身近な生活を描いた作品だと思います。



そういう意味で、SFはちょっと…と食わず嫌いをせず、ぜひ見てほしい。
今のネットについてモヤモヤしてるような人が見たほうが面白いかもしれません。


2.5時間ちょっとで見れるので、1本の映画を見る感覚で楽しめますよ!



フレーム

Ever since we were little, you've been in my frame. That's how I know.
Right now, Earthers are in your frame.

子供のころから、あなたは私のフレームの中にいた。
今は地球人があなたのフレームの中にいる

Seven didn't have humans in its frame before.
So it learned to ignore them.
I have you and your father in my frame.
I need your decision in order to choose the future.

セブンにとって(人類はフレームの中にいても)人間はフレームの中にいなかった。
だから、セブンは人間を無視して学習してしまったのです。
私はあなたやあなたの家族をフレームの中に入れています。
だから、未来を選ぶために、あなたの決定が必要なのです。

知能制限

If you only show a child things that have been edited to your biases,will they grow up to be a good person?
If you show them an unfiltered world, will they grow up to be bad?
子供は、都合よく偏った情報だけ編集して与えれば良い人間に育つのかな?
無編集のありのままを見せたら、悪い子に育つのかな?

But if you show everything to a child that doesn't understand yet…
Sure. If it's a stupid idiot child that doesn't know anything.
Aren't you forgetting something?
Right now, it's the smartest person in the world.
Let's show it everything, good and bad, without editing.

「でも、何もわかってない子供に何でも見せてしまったら…」
「ああ、何もわかってない馬鹿な子供ならな。 
 何か忘れてないか?あいつは今、世界で一番頭がいいんだぜ。いいも悪いも、全部見せようぜ!」

フィッツ

これについてですが、あまり深く考えてません。
ぶっちゃけ「デウスエクスマキナによる問題解決というオチを回避するための作劇上のアイテム」くらいに思ってます。

itoutsukushi.hatenablog.com

エンタメ作品は神様レベルの人知を超えた上位層が出てきたときに、運命に抗い救われたいのに、その運命に抗うロジックを作れないという矛盾が生じる。
本作はそこにフィッツという謎要素を意図的にセブンが含めたり、
そもそもセブンは人類を軽く欺いていた存在なので、視聴者が超論理を持って来られても許すしかない。

The big guy told me back then.
"Fly out from your cradle."
Cradle?
Cradles vary by individual.
For me, it was space.
It means flying out from where you feel secure to a place you fearand going beyond.
When I came into contact with that being, I got smarter, and that's how I knew.
That was why I flew out from space.
So did I.
I flew out too.
From the cradle of fate.

本作は「ほとんどすべてをAIが計算して決めているが、最後の最後に在り方の決定権だけは人間が持つことが許されている」という塩梅だと思うので
そういう人類に残された最後の自由領域、AIが支配できない領域のことじゃないかなと。なんてフィッツという単語なのかはよくわがんね。。。



古典SFへのオマージュがあちこちにちりばめられており、かつそれを乗り越えようとする意気込みを感じる作品でもありました

note.com

主人公を小学生~中学生くらいにしていることからもわかるように、

SFの古典作品が扱ってきた割と普遍的なテーマを小学生~中学生でもわかるような優しい言葉で語りつつ

過去作品とは少し違った点に着地させようとするところがとてもよかったです。

短い尺で、かつわかりやすさを重視したせいか、

5人すべてを丁寧に描けなかったりとか

大人たちの存在感のなさや、ナサさんの描き方とか

後半が駆け足すぎとか気になる点がないわけではないですが、そのあたりは自分で補完していくべきなんでしょうね。

というわけで、十分楽しめました。


animeanime.jp

ここ数年で「スペースX」のような民間の宇宙開発企業が実績を伸ばしており、宇宙がファンタジーから現実に近づいてきました。本作を企画していた2014年の段階では民間人が次々に宇宙に行くなんてまだ誰も思っていませんでしたが、日本でも実業家の前澤(友作)さんが宇宙旅行を実現させている。私はそんな未来を予測して本作を2022年公開にした……と言いたいのですが、これはたまたまですね(笑)。宇宙開発にとって時代の節目となるタイミングで本作を届けることができ、とても嬉しく思っています。

私もスペースXの映画を見なかったらこの作品も見なかったと思うので、いろんなものがつながっていて面白いですね。


考察しようと思ったらいくらでも考察できる内容ではあると思うので、もっと考察ブログとか見てみたい

www.shachikudayo.com

最初ネトフリで一気見したときは面白いと思った反面、全体的にキャラ一人一人の動機?が弱いなーと思っていました。しかし那沙・心葉・美衣奈がもとは一人のキャラクターであったと分かり、納得できましたね。
これは私の考察というより妄想なのですが、那沙はセブンポエムが実行されなかった世界線の心葉なのではないでしょうか。うろ覚えですが、テロのシーンで「ここで1人死ぬことは確定している」という発言があったと思います。本来ここで死ぬのは心葉だったのでしょうが、ここで那沙が自決することで「心葉が死ぬ」という予言のつじつま合わせを行ったのでしょう。その後なぜか心葉は自身の死を確信するようになりますが、これもセブンの予言というより、11次元思考によって今死んだのが自分であると察知してしまったからとも考えられます。うまくまとめられませんが、そう考えると「ノエイン」みたいな感じで深読みができそう

たとえばこの辺りはなるほどなあと思って感心してしまいました。まぁトトロのメイ死亡説みたいな話なんで個人レベルの楽しみではありますが、ほかにもいろいろ想像の余地があるかなと。