頭の上にミカンをのせる

「命令されなきゃ、憎むこともできないの?」(ブルーアーカイブ#3 エデン条約編3.私たちの物語)

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「泥濘の食卓(ぬかるみのしょくたく)」1巻~4巻まで読んだ感想 | 子供に厳しすぎる家庭も、子供に甘すぎる家庭も、どっちもモンスターを生み出してしまう




最初は、主人公である捻木さんがひたすらかわいそうな話かと思っていた。

捻木さんは、父親からはDVを受け続け、父が亡くなった後も過保護な母か逐一自分がやることなすことすべて否定され続けて自我を破壊される。そうやって自我が破壊された彼女は親から言われた「人の役に立ちなさい 人にやさしくしなさい 何の取柄もないのだから親切を取柄にしなさい」みたいな呪いを吹き込まれ続けていた。それによって、自分の意思を表明できない人間、つまり「良い人」ではなくて「都合の良い人」になってしまって、いろんな人から搾取される状況に陥った。

こういう人は、弱いところに付け込まれて食い物にされてしまうのかなと思っていた。


実際に読んでみたら真逆だった。
捻木さんが悪気なく周囲の人間関係を破壊していく話だった。




「介護問題や殺人事件がないだけ少年のアビスよりちょっとマシ」みたいな地獄絵図が展開されている。
ストーリーが理解できる人は「少年のアビス」の方が面白いけれど、わかりやすさを求めるならこっちの作品の方かなって感じですね。

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実際は、捻木さんが、不倫相手の「那須川家」に入り込んでぐちゃぐちゃに荒らしていくホラーみたいな話だった。

那須川家は夫(店長)・妻(ふみこ)・息子(ハルキ)の3人家族だ。
まず店長は「都合の良い職員をキープするために必要だから」という理由でバイトの女に色恋営業を仕掛けるような男だった。

何度かうまくいってたからいつの間にかそれが「正しいことだ」と感覚がマヒしていた店長は、
やはり都合の良い店員であった捻木さんと不倫をしてしまう。
今までが上手くいってた通り、今回もうまくいくはずだった。



しかし、これが破滅の入り口だった。
店長は捻木さんは控えめな女性と思って舐めていたのかもしれない。



しかし、この捻木さんは、彼から必要とされたことで
何が何でも那須川さんの役に立ちたいと思うようになり
うつ病になった妻の問題から、息子のハルキくんの問題にまで関わってくる。


その結果、父親だけでなく、息子のハルキくんも被害に遭う。



ハルキくんは捻木さんを好きになってしまった挙句、
さらにもう一人の厄介女に絡まれて、まともな学園生活を送れなくなる。
しかも、父親がその捻木さんと不倫しているというので父子関係もぐちゃぐちゃになる。


そうやって他人の家庭をかき回しまくっているのだけれど
捻木さん本人はそれには無自覚で、自分はいいことをしてるつもりだし
本人は那須川家から必要とされてめちゃくちゃ幸せそうなんだよね。。。

このあたりが文字通り捻じれてて怖い。




ちなみに本作品には捻木さん以外にもう一人「尾崎ちふゆ」というヤバイ女がいる

この女がさらに事態をややこしくさせるのだけけれど、そのあたりは読んでみてのお楽しみです。

他の登場人物はそれなりに同情すべき要素もあるのだが、
この女だけは同情する余地がなくシンプルにわかりやすいクズです。このちーちゃんが本作品の白眉と言えるでしょう。
異常さにおいては「異常者の愛」の御堂くんには及ばないけれど、胸糞の悪さでは御堂くんを上回る瞬間もあるほど。
彼女の末路を読むためだけにこの作品を読んでるといっても過言ではない。

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とにかく捻木家も那須川家もとっくに壊れてるのにそれでも維持しようとした結果、より弱者がすりつぶされていく構図がなまなましく描かれててなかなかに胸糞悪い作品です

じゃあ、あんたも加害者だ。
変える気がないのなら、そのたまった鬱憤を弱い人にぶつけるようになるんでしょ?

胸糞悪い作品が読みたい人におすすめ。

ただの不倫もののマンガといえばそうなんだけれど、女性の生きづらさと女性の怖さの両方を描いてて面白い「ような気がする」

那須川家の妻であるふみこさんは、もともとはグラフィックデザイナーだったが
職場のパワハラに苦しんでいる時に、夫である店長と出会って、仕事を投げ捨てて寿退職した。


しかし、そのあと家庭では自分だけの部屋すらなく
経済力がないから「捨てられたら生きていけない」と思って不満があっても我慢しているうちに鬱になって行った。