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「命令されなきゃ、憎むこともできないの?」(ブルーアーカイブ#3 エデン条約編3.私たちの物語)

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「第三のギデオン」(1/3)  フランス革命の「父殺しの物語」という軸を強調して描こうとした作品。ルイ16世のインパクトが絶大

今回の記事では1巻~3巻まで。

こちらはジロンド派寄りの立場からフランス革命を描いた「杖と翼」と違い、
ジャコバン派寄りの立場からフランス革命を描く作品。
フランス革命によってルイ16世やマリーアントワネットが処刑されるまでの展開がメインだ。


主人公はギデオン。エロ小説家をやりつつ、反体制活動をしていたが、ロワール家の貴族「ジョルジュ」に誘われる形で革命のど真ん中に巻き込まれていく。

第三のギデオンというタイトルは、当初は三部会において第三身分の代表として奮闘するギデオンさん、いう意味だったが、最後の8巻で別の意味に変化する。



この作品のメインは「魅力的なお父さんであるルイ16世を、子供である国民たちが殺すお話」である


それゆえに、物語の開始時点ではルイ16世はパワフルな名君だし、ロベスピエールは国王を敬愛する死刑反対論者の童貞だし、サン・ジュストは非モテの好青年として描かれる。


ロベスピエールはだいたいどの漫画でも最初は好感の持てる人物として描かれるよな。



一方で、サン・ジュストは作品によって描かれ方がぜんぜん違う。

こちらの作品ではサン・ジュストは人間離れした美しくて優秀な存在としては描かれていない。その部分はジョルジュに分離してしまっている。

そのかわりにサン・ジャストはむっつりスケベの非モテで、さらに父が貴族の地位を買ったせいでコンプレックスを拗らせている好青年として描かれている。



しかしなんといってもこの作品を特徴づけているのはルイ16世の描かれ方だろう。

本作はルイ16世の描写がメインとなる。彼を国民全ての父として描くために、非常に思慮深く国民思いで魅力的な人物として描く。そしてなぜ国民はこの国王を殺さねばならなかったのか、なぜ父殺しが必要だったのか、、、という視点からフランス革命を描こうとする。


「パワー重視のファイター」っていうところ何回読んでも好き。少なくとも当時の国民は、ヴァレンヌ逃亡事件まではルイ16世を敬愛し、不満は全部オーストリア女のアントワネットにぶつけていた、というのは割と史実っぽい。


一方でフランス革命の狂気を正当化するために、王妃はどこまでも憎まれる悪役でなければいけなかった。

日本の幕末における明確な悪役って井伊直弼くらいしかいないが、フランス国民にとってのマリーアントワネットはそんなものとは比較にならないくらいの人類悪として捉えられているのかもしれない。

ちなみに田村由美のバサラという漫画は、和風ファンタジーに見えるが終盤はフランス革命のオマージュになってる感じだね。



本作品では、破壊衝動の権化であるジョルジュ(サン・ジュストの分身)が恐怖によって民衆の暴力を煽っていく


どうも、ロラン夫人といっしょに組んで革命のためのテロリズムを主導するという筋書きのようだ。




このように、歴史上の主要人物の設定を結構大きくいじってるので
最低限ちゃんとこの時代の歴史の知識を持ったうえで読んだほうが安全だとは思うけれど
フィクションとして読むとめっちゃ面白いですよこの作品は。




おまけ1:革命という概念自体がこの時に生み出された・・・?

というわけではない。

1543年にニコラウス・コペルニクスは地動説の論文「天球の回転について」を出版したが、その題名で使用された「回転」(Revolution)は天文用語から、後に政治体制の突然の変革に使用された。この用語の政治的な最初の使用は、1688年のイギリスでのジェームズ2世からウィリアム3世への体制変革で、名誉革命と呼ばれた

おまけ2:悲しいけれどこれが現実なのよね


ただ、階級があるのは自然だとしても、それは血によるものではなさそうだというのは
テクノロジーとか社会制度の影響で長い時間をかけて浸透してる気はするね。