関税交渉の最中にこのニュースが出るの非常にまずい。
絶対に関税交渉のネタにしてきそうなので、国内世論をコントロースされないように
あらためて、この件に関しては過去の事実をちゃんと整理しておこう。
そもそもアメリカ人がフェンタニル中毒になったのは、処方鎮痛剤に含まれるオピオイドが製薬会社の利益追求で蔓延したからで、最初から最後までアメリカの問題で、中国は他の工業製品と同様に原材料を輸出してるだけだが、オピオイドスキャンダルを忘れさせるためにスケープゴートが必要という話。
— Kazuki Fujisawa (@kazu_fujisawa) 2025年6月26日
そもそもアメリカ人がフェンタニル中毒になったのは、処方鎮痛剤に含まれるオピオイドが製薬会社の利益追求で蔓延したからで、最初から最後までアメリカの問題で、中国は他の工業製品と同様に原材料を輸出してるだけだが、オピオイドスキャンダルを忘れさせるためにスケープゴートが必要という話。
ほんまそれな、なんだけど。
この件、主に保守系のクソインフルエンサーを中心に、トランプのプロパガンダをそのまんま真に受けて拡散していた人がめちゃくちゃ多かった。
なんでかというと、とりあえずネトウヨとか保守系むけにはトランプ万歳&外国人旅行者ヘイトを煽ればアホは支持してくれるからだ。
この点において、フェンタニルの話はめちゃくちゃ都合が良かった。
トランプもそうだし、保守系のインフルエンサーは「事実かどうか」には全く興味がない。 それで煽れるかどうかが全てなところがある。
今はそういう時代だと思っていた方が良い。
この件に関しては、初動でデマ指摘を指摘するのがかなり困難だった。
「さすがにここまで露骨に交渉材料としてアピールしてる話が嘘だ」とは思えなかったというのがある。
我々はトランプがいかにタチが悪いかをまだ正しく認識できていないと言える。
オピオイド問題について
アメリカのオピオイド危機は、確実に1990年代後半から2000年代初頭にかけて、製薬会社による積極的なマーケティング戦略によって開始された。
最も重要な転換点は1995年にパーデュー・ファーマ社がオキシコンチンを「常習性が低く安全な鎮痛剤」として積極的に広報・販売し始めたこと。
この時期、アメリカでは痛みを「第5のバイタルサイン」として記録・対応することが求められるようになり
医師たちは疼痛管理により積極的に取り組むよう求められました。製薬会社はこの流れを利用し、オピオイド系鎮痛剤の処方を大幅に拡大させた。
これほんとそうで、医者になったころ疼痛管理の勉強をすると、とにかくもっと麻薬を使うべきだって教科書でも論文でも書かれまくってたんだよな。日本の医療はアメリカみたいに麻薬すぐ使わないんだけど、結局そっちの方が正しかったんだよ。 https://t.co/URDArYJNsV
— ロスジェネ勤務医 (@losgenedoctor) 2025年6月26日
ここからオピオイド関連死者数は劇的に増加していく。
2004年: 9,091人
2014年: 28,647人
2017年: 47,600人
2022年: 110,000人(ピーク)
2024年: 80,391人(27%減少)
特にフェンタニルはオピオイド全体の約60%を占めるまでになり、
依然として18-44歳のアメリカ人の主要な死因となっている。
日本では想像できないくらいやばい。
フェンタニルはモルヒネの50-100倍、ヘロインの50倍の鎮痛効果を持つ合成オピオイド。
致死量はわずか2mg(鉛筆の先程度)。
極めて少量で、意図しない過剰摂取を引き起こしやすい超危険な薬である。
で、これらは最初からメキシコで生産されてたとか、中国が米国をシャブ漬けにするために持ち込んだわけではない。
当初は医療用として処方されていたオピオイドが、アメリカの製薬会社の強欲なマーケティングによって行き渡りすぎた結果である。
合法的にオピオイド🍏を製薬会社と医者🥼がバンバン処方しまくった
→処方が制限された頃にはもうアメリカ人はオピオイドが手放せなくなっていた
→大量のヤク中にとってはブラックマーケットで買った方が安くなった
→メキシコ🇲🇽のマフィアの太いしのぎができて今に至る
のであり、初動はアメリカの自業自得というか、製薬会社による薬害(大量殺人)みたいなものである。
初代のアニメ「攻殻機動隊」でもあったけれど、
製薬会社というのは稀にフィクションの世界だけでなく現実でもこういうことをやるのだ。
現在ではメキシコで密造されたフェンタニルが国境を越えてアメリカに流入する構造に変化している。
メキシコのカルテルが中国から原料を調達し、合成したフェンタニルを米国に密輸しているのが現在の主要な流通経路。
米財務省金融犯罪捜査部門の2024年版報告書は、中国をフェンタニル原料の「主要な供給国」として位置づけており
中国で製造した原料をメキシコの犯罪組織が合成し、米国に密輸している構造が確認されているし
「中国共産党に関する特別委員会」によると2024年4月に
中国がフェンタニル関連化学物質の製造企業に対して国外販売時に限って付加価値税還付という形で補助金を提供しているという報告書を発表している。
もはや19世紀のブリカスと同じで、現在では国単位で対応が必要だったのは事実である。
経済的損失の規模もやばい。
2019年: 4,870億ドル
2020年: 1兆4,700億ドル(前年比201.8%増加)
この損失には治療費、生産性の低下、法執行コスト、社会保障費などが含まれており、経済安全保障上の最優先課題であった。
もともとは自分たちのやらかしなのに、「メキシコや中国が最初から悪い」という話になっていて怖い・・・
そういうわけでフェンタニル問題はアメリカにおける最優先クラスの課題であり
現状ではメキシコ・中国が脅威となっているのは事実だ。
とはいえ、過去の経緯がだんだん漂白されていってる気がする。
もともとはアメリカの製薬会社の問題である。
このことは、トランプが就任する前はちゃんと報じられていた。
「パーデュー・ファーマ」で検索したら2024年以前の記事はたくさん出てくる。
それぞれの記事にはてブもちゃんとついているのでみんなも読んでたはずである。
でも、今年の2月くらいにトランプが「中国とメキシコ」叩きにしてからは、識者はちゃんと間違いを訂正しようとしたのだが
トランプの話をうのみにしたインフルエンサーとそれに便乗する人たちの声で押し流されてしまった印象がある。
さすがに言いがかりの要素が強く、こんなの暴力を背景にしたヤクザ外交である。
さすがにここまで「暴力万歳」を隠そうとしないトランプを選ぶような国に、なにもかも集約させてよいのだろうか・・・
以下はおまけ