頭の上にミカンをのせる

もうマンガの感想だけでいい気がしてきた

効率厨的な振る舞いとアスペ的なふるまいの根本的な違いについて



結論から言うと「手段」と「前提」が大きく異なります。

両者は「納得できないことをしたくない」という点で表面的に似て見えますが、その動機と目的が根本的に異なります。

効率厨: 「タスクの最適化」が最優先の目的です。納得できないのは、その行動が「非効率・無駄」だからです。

アスペ(ASD):「自己の論理的納得」が行動の絶対的な前提です。納得できないのは、その行動が「自分の理解やルールと矛盾する」からです。



効率厨とアスペ(ASD)の違い:4つの視点

1. 優先順位の違い:「全体の効率」 vs 「自分の納得」

「効率厨」が求める「効率」
多くの場合、タスク達成や問題解決における客観的なリソース(時間、労力、コスト)の最小化です。
そのため、もし「相手の言うことを(納得できなくても)聞いた方が、結果的に早く終わる」と判断すれば、戦略的に妥協し、従います。
人間関係の摩擦も「非効率を生むコスト」として計算に入れることができます。


アスペのいう「効率」
「自分にとっての効率」であり、より正確には「自分の中の論理体系に合致しているか」という点に重きが置かれています。
「それでも私は問題だと思わないの壁」がまさにこれです。たとえ社会通念上や客観的に「効率的」あるいは「正しい」とされることでも、自分の論理で納得できなければ、受け入れること自体が非常に困難です。それを実行するには、まず自分の論理体系をアップデートするための膨大な説明と納得のプロセスが必要になります。


2. 「なぜ?」の質の流れ:「説明責任」 vs 「理解の要求」

効率厨 の「なぜ?」
非効率な指示に対して「なぜ?」と問う時、その意図は「その指示の合理性・効率性を確認し、より良い(効率的な)代替案を提示するため」です。
相手に合理的な説明を求めますが、相手が感情的になったり説明できなかったりした場合、「この人は非合理的だ」と判断し
別の効率的なアプローチ(例:無視する、上司に相談する、妥協する)に切り替えることができます。


アスペ(ASD) のなぜ?
「なぜ怒ってるの?」と問う時、それは純粋に「理解不能な事象(相手の怒り)の原因」を言語的・論理的に知りたいという欲求です。

相手が「そうやって聞くのが嫌」と返すと、今度は「『なぜ怒っているか聞くこと』が『嫌』である」という、さらなる謎が発生し、パニックや思考停止に陥ります。
相手の非言語的な機微や「察してほしい」という暗黙のルールを読み取ることが困難なため、「説明してくれなきゃわからない」状態になります。


3. 「説明コスト」に対する認識の違い

効率厨の考えるコスト
「説明するコスト」と「説明せずに非効率なまま進めるコスト」を天秤にかけます。説明コストの方が低いと判断すれば説明します。


アスペ(ASD)の考えるコスト
ASDの人は、「アスペにわかるように教えることの労力をすごい軽くみてる」傾向があります。

これは悪気があるのではなく、「自分が論理で理解する」というプロセスを(無意識に)他者にも当てはめてしまうため
「論理的に説明すれば、相手もすぐ理解できるはず(なぜ説明してくれないんだ?)」と考えがちです。

しかし、実際には「具体化・視覚化、理由の説明、その場での指摘…など」をクリアし
さらに「『それでも私は問題だと思わない』の壁を越える」という膨大なコミュニケーションコストがかかります。
このコストの非対称性への想像力が欠如しがちな点が、ASDの特性に起因する困難さ(アスペのアスペたる所以)と言えます。


4. 柔軟性と適応の違い

効率厨
あくまで思考様式(考え方のクセ)の一つです。
「非効率だ」と不満を抱きつつも、社会性や力関係(上司の命令など)を鑑みて
「納得できないけど、やる」という柔軟な選択が可能です。


アスペ(ASD)
認識の特性(OSの違い)に近いです。
「納得できない」状態は、単なる不満ではなく、システムエラーに近い状態です。
納得できないまま行動すると、強いストレスを感じたり、実行そのものができなかったりします。

だからこそ、「(納得できなくても)相手の言うことを聞いて理解しようとしてみる訓練が絶対に必要」と説いています。
これは、社会に適応するために、自分のOS(特性)を理解し、
意識的な「訓練」によって別の処理ルート(納得できなくても従う)を構築する必要がある、ということです。


まとめ

「効率厨」は、合理性を追求する行動選択のスタイルです。

「アスペ(ASD)」は、論理的な一貫性を求める世界の認識特性です。

「自分が納得できないことはしたくない」という点だけを見れば両者は似ていますが、

効率厨は「無駄だから」したくないのであり、

アスペ側は「理解できない(自分のルールに反する)から」実行困難なのです。


「Z世代の効率厨」を自認している人の中には、実際にはその根底にASD的な
「論理的納得感への強いこだわり」があるケースも少なくないのかもしれません。