「人が自殺しないためのメカニズム」なんて機能しようがない。あまりに強い絶望。
長く苦しい旅だった。
でも、その苦しみももうすぐ終わる。みんな死んだわ。私の大切な人はみんな。
これ以上生きて、何になるの?
なぜ生きなければいけないの?
苦しいばかりなのに。
なぜ、私は、生きなければならないの?
切なすぎて涙出る。人を憎むことを捨てて、争いから逃げることで居場所を見出そうとしたトルフィンにとって、もっとも残酷な形で現実がつきつけられる形になったよね…。
その問に胸を張って返せる答えを作るために生きる
でも、そこでただ悲しいと思ったり、仕方ないって諦めたり、絶望したりするだけじゃないのがトルフィン。ものすごく優しい目をしている。
「なぜ生きなければならないのか?」
アルネイズにそう問われた時、すぐには言葉が出てこなかった。
彼女はもう、死よりも魅力あるものを全てなくした。
生きなければならない責任も全てなくした。
もはや彼女にとって死は恐怖ではなく、最後の救い、完全な安らぎだった。
そんなアルネイズに「だから生きろ」と言えるだけの言葉がすぐには出てこなかった。
死を超えるものが欲しい。
アルネイズに胸を張って語ることができる、死を超えた救いと安らぎが、生者の世界に欲しい。無いなら、作る。
立て、エイナル。一緒に来い。
ヴィンランドに平和の国を作る。
海の向こうに奴隷も戦争もない国を。
アルネイズのために。
暴力は最後の手段だ。
なら、最初の手段、一番いい方法ってなんだったんだろう。
いつも最初の手段を選び取れるようになりたい。
そしてどこまで最後の手段を選ばずにいられるか。
このセカイから逃げ出したいと思っている人はたくさんいます。私とトールズもヨオムスボルグから逃げてこの島に来ました。
人々が戦争や奴隷制から逃げて、どこまでも逃げて水平線のかなたまで逃げ切ったその先で
あなたは平和の国を作って待ち、その人々を迎えるのです。
あなたはそのために生きなさい。
他の全てを失っても生きる目的さえ持てるなら
15巻でトルフィンは
マジで命以外何も持っていやがらねぇ
と言われるくらい何ももっていない状態だけれど
それでも生きることになんの迷いもない。
生まれ変わったような目つきになったトルフィンには
レイフやエイナルなどいろんな人達が「こいつなら」と言って力を貸してくれる。
なんというか、今の時点では希望を感じる。
ただし、この試みが成功するとは思えない……
どうするんだろうね、これ。
この作品は、そもそも世界の果て近くまで逃げて
平和に生きようとした戦士トールズが
それでも戦いを避けきれずに巻き込まれて殺され
そこからトルフィンが憎しみの塊になったところからスタートしている。
ようやくスタートライン戻ってこれたのだけれど
どうすればトールズと違う道を拓けるのか。
その道が見えない。
そのカギがクヌートとの「共闘」になるわけだけれど。
将国のアルタイル14巻 善意によってのみ成り立つ都市の限界 - 頭の上にミカンをのせる
世の中は、あんな立派に生きられる人間ばかりじゃない。
あっちの世界に住めない人でも、
安らかに生きて死ねる場所が、ひとつくらいはあってもいいよね。
「天井の都」は宗教的権威と寄付によって成り立っていた。しかし、戦争に巻き込まれた時は無力であったし、宗教の力や寄付に頼るのは、権力者や時勢との関係性に大きく依存することになる。
あくまで「独立・自立」した存在としてヴィンランドを作らなければならない。そのためには資金作りも必要だし、他の勢力の干渉を防ぐだけの力もいる。
ランス9 シーラバッドエンド - マンガ喫茶でまとめて読みたいようなマンガを紹介するブログ
「生まれてこなけりゃよかったね。」
ランスのような存在が必要かもしれない。