あなたはこのメッセージを見て頷けるか?それとも綺麗事だと思うか?
この作品でクロガネが最後に発した選挙メッセージは以下のとおりである。
みんな誰かに評価されると同時に誰かを評価してきただろう。
だが、評価する対象は他人とは限らない。
「俺では稼げない。私には何もない」そう評価する者もいるだろう。他でもない自分自身を!
……それこそが間違いだ。人はみんな輝く何かを持っている。
俺は人を見出しそして活かすことで誰よりも稼いできた。
だからこそ、もう一度言おう。
君たちは、稼げる。自らの意思で輝ける!
そのための環境は、ハガネがきっと整える。
君らが稼ぐ活路を我々がきっと見出す!」
短縮すると
①「自分で自分を諦めるな。自分が輝けると信じろ」
②「そのために我々が手助けをする」
である。当然ながら①だけではただの説教である。②が必要だ。読者として、このメッセージが信じられるかどうか。それがこの作品のすべてだと思う。
一方、敵陣営はこういうメッセージを発している。
君たちにはわからないよね。
君たちも、朝政くんと同じ、持っている側の人間だ。だからわからない。自分の状況を的確に分析し、迅速かつ的確に行動する。
それができるなら、貧困に喘ぎ続けてなんかいないんだよ。でも、それは決して彼らが悪いわけじゃあない。
運がなかった。それだけだ。
(それを、自己責任だとか努力不足といって切り捨ててはいけない)
そんなこともわからない朝政陣営たち。
君たちには彼ら低所得者層の心はつかめない
これは持てるものの、持たざるモノに対する怠慢だ。
エリートに貧困なんて実感できない。
今の社会保障じゃ、本当に必要な人間にこそいきわたらない。
無条件ですべての人に行き渡る社会保障。
そのくらいでないと、彼女たちは救えない。
だからベーシックインカムだ
ぶっちゃけ、こちらは「プラス」を生み出す考えは何も示していない。片手落ちである。それでも、低所得者層が、もはや未来に夢を描けないならば。とりあえず少しでも再分配を増やしてくれることだけしか求めないなら、こちらが支持されるだろう。
あなたは、「君たちは稼げる。輝ける」というメッセージを信じられるだろうか。それとも、もうベーシックインカムでもやるしか無いという気持ちになるだろうか。
個人的な感想
この作品は、途中からあくまで「学円園」という舞台に絞って描いている。そして、この作品の中では全員がまだ若いし、機会もある。最後のクロガネの演説は一定の説得力を持つと思う。
ただ、それゆえに、この作品はファンタジーだなと思ってしまう自分もいる。願わくば、このファンタジーで描かれた希望が、現実でも可能と思える社会でありますように。私は社会を変えるみたいなだいそれたことは言えないけれど、自分のできる範囲で、良いと思えることをやってちまちま世界の片隅で稼ぎながら生きていこうと思います。
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おまけ 「投資家の毒舌家の妹bot」が面白い
個人的には、この作品「イアラ・ミタル」が可愛かったのでそれだけでも読む価値があると思うよ!
このキャラを元にした「投資家の毒舌家の妹bot」は面白いので投資やってる人はフォロー推奨だよ!中の人が普通にトレーダーっぽいよね。
お兄ちゃんってマーケットに対して文句を言えば自分のしょぼいパフォーマンスを正当化できるとでも思ってるの?
— 投資家の毒舌な妹bot (@invesister_bot) 2016年11月24日
その割安株、お兄ちゃんみたいだね!誰からも評価されずに放置されてるところとかそっくり!
— 投資家の毒舌な妹bot (@invesister_bot) 2016年11月23日
お兄ちゃんがやるべきなのは何かを決心することじゃなくてリターンに寄与する行動をルーチンに組み込むことだからね。他の人がやらないこと、やりたがらないことが、お兄ちゃんにとって当たり前になることが大事なんだよ。
— 投資家の毒舌な妹bot (@invesister_bot) 2016年11月21日