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「命令されなきゃ、憎むこともできないの?」(ブルーアーカイブ#3 エデン条約編3.私たちの物語)

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キンコン西野さんの近畿大学卒業式におけるスピーチは、長針短針の話より導入部分がモラハラになってるところが問題だと思う


キンコン西野 伝説のスピーチ「人生に失敗など存在しない」平成30年度近畿大学卒業式


なんか話題になってるなーと思ったらこんなんあったのね。5日遅れで知りました。



私はこのスピーチクッソ嫌いだなあ。冗談で「こういうことで盛り上がってる人種全部地球上から消滅してくれないかなぁ」と言いたくなるくらいには嫌い。

まぁでも一応確認しておくと別にこれが許されないから取り消せとかそういう意見ではありません。私はそういう風に「自分が気に入らないから視界から消してしまえ」「表現を規制せよ」っていう考え方に強く反対する立場です。
この西野さんも受け取り手がそれを活用して成果を出せるのならそれでいいと思います。でも私は嫌いです、というだけの話です。



西野さんのスピーチは東大生の前でやったら失笑を買ったと思うし、近大生はバカにされてると怒ってもいいくらいでは?

①そもそも1時間に1回というのが間違いなので「誰か西野さんに算数できないんですかとつっこめよ」派


②ただの叙述トリックだよ派



③時計と人間は違うよ派

時計は挑戦してません。決められたとおりに動いてるだけです。リスクをとって挑戦しろという呼びかけに対して時計の例えはむしろ最も不適切な例のひとつです。

さらにいうと、このたとえだと、11時台になる前に10時や9時にはちゃんと長針と短針があってるはずなんですよ。今あなたたちは11時台なんだよって言いたいのかもしれないけど、いままでに10回の成功体験やなにかを達成した経験がない人はこの例えに当てはまりませんよね。


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④学生向けの大事なイベントのスピーチで自分の作品の宣伝にむりやりこじつけるようなクソを卒業生のスピーチに呼ぶ近大がクソだよ派

そもそも長針と短針のたとえに関しては"a broken clock is right twice a day"というたとえがあってですね。むしろそのたとえだと「バカでもたまには正しいことを言う」くらいのニュアンスなんですよね。 時計の長針と短針が合うってのは、「努力が報われる」とはおよそ正反対の意味に使うことが一般的です。このたとえ持ち出す時点で「あ、こいつダメだ」って思うし、西野さんのその新作もやばそうだなって感じてしまいます。 正直話の流れとして、その前まではそこまでおかしくなかったので、明らかに不自然だったと感じました。  
かつてONE PIECEにおいて、エースを殺すためだけに「ハアハア…負け犬………?」をやらせるのと同じくらい不自然。明らかになんか変だなって思わなきゃいけないのに、よりによってこの部分を感動したとか言って拡散してた人は、もしかして「負け犬……」の部分も素晴らしいと思ってるのかな? 


⑤同じメッセージでも西野は下品すぎるから〇〇さんの話を聞こうよ派


⑥西野のスピーチに感動するようなやつは箸が転げても感動するよ派

全部聞いた人ならわかると思いますが、未来は変えられるが過去は変えられるっていう話は割と良いと思います。斎藤一人さんのパクリかもしれないけど。でもそこで時計の例えを出してきたときに「ん?」と思えないのは大学生としてはさすがにキツい。変な例えだったけどいい話してたよね、なら全然いいんですが。ここで感動してしまったという人は、論理における解像度が低すぎる。近大で行われているリベラルアーツ教育そのものの否定だと思います。冒頭でコミュ力が大事と言っておきながら、論理的思考やクリティカル・シンキングについては否定するのだったら、これは偉い人にとって都合のいい人間になれ、ということでしかない。
多分東大でこのスピーチやったら失笑されていたと思います。近大卒業生は、大学に誇りがあるならむしろ怒ってもいいのでは?



⑦ONEPIECE好きな奴と同じくらい西野のスピーチに感動してるやつが気に入らないからとりあえずDISっておくよ派

これはちょっと、、、


⑧業績と株価の時間差にトラウマが刺激されて頭痛がする株クラ民だよ派

私はこれですね(笑)テラプローブ今更株価上がりやがって許さんぞ(T_T)



というわけで。まぁこっちの話に関しては周りの反応が面白かったからいいんじゃないでしょうか。


私が問題だと思ったのは長針短針の話じゃなくてこっちの部分


私こういうコミュニケーションスタイルほんとに大っ嫌いなんですよね。

西野さん、半年くらい前によく宣伝に出てきてた「奴〇日記」っていう漫画のご主人様みたいなことやってるな。あるいは恋愛工学。こういうスピーチに感動しましたって言っておいてポリコレがーって言ってるやついたらさすがに頭おかしいと思いますがさすがにそんな人はいないと信じたいですね。


初手でめっちゃdisってそこからダブルバインドしかけつつ自分の命令に従わせて、言うとおりにしたら褒める。このタイプの会話する人ほんとに気をつけたほうがいいです。

ただの「アメ(強化)とムチ(弱化)」じゃね?って思うかもしれないけれど違うでしょ。私はそもそも行動分析学的にちゃんと検証されてないアメとムチ自体が好きじゃないけど、それでもアメとムチが正当なものとして成り立つためには「DISる対象」がまず妥当でなければいけない。そして「ダブルバインドを仕掛けて相手の意志で自分の指示に従ってると思わせない」ことが必要です。特に後者ね。 アメとムチを仕掛けていいのは行動までであって、そこで心をコントロールしようとするのはモラルハラスメントです

西野さんの場合は難癖つけれさえすれば対象は何でもいいんですよ。んで当たり前だけど普段から親しくない人間が集まってる状況なんだから拍手なんて揃わないのが当たり前でしょ。それを上から目線でdisる。そのあとで選択肢になってない選択肢を突き付ける。これで拍手しないほうの選択肢選べるようなやつは最初から西野のスピーチなんか聞かないよね。実質強制です。にも拘わらず相手に「自分は間違えてるのかも?→相手の言うことを聞かないと」って思わせるように仕向ける。 会社でもこういうコミュニケーションスタイルとる人間いるけど、私はそういう思惑が透けて見えるのが吐き気がするほど嫌いです。

この人心掌握術って、自我が弱い相手には効果絶大です。企業研修とかでも多用されるやつで、その場合は何回も拍手をやり直しさせるわけだけど。これの目的はとにかく相手の心を折って「自分の命令に従うまでずっと苦痛が続く」「自分の命令に従えばいい気持ちにさせてやる」って思わせることなんだよね。集団を統制する際に効率化だけを重視した教育者として下の下の下のコミュニケーションスタイル。通称「ダーク・ペタゴジー」です。


さすがに西野さんは人目もあったしそこに時間がかけられないからそこまで露骨ではないけれど明らかに狙ってやっているよねこれ。人目のあるところでこれをテクニックとして用いるような人が、クローズドなオンラインサロンで何やってるのかって考えたら怖いです。

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西野さんは以前も、話術としては旨いけど、オンラインサロン生に対してきわめて不誠実な説明をやってたので全く信用できません。


私はほかの記事で西野さんを肯定的にとりあげたりしてて、商才は本当に高い人だと思うけどとにかくコミュニケーションスタイルがクッソ嫌いです。何が問題って、これ「直接DISを言われる本人」以外にはそのきつさがわからないんですよ。上野千鶴子の件もそうだったけど「そのあとフォローしてるしいい話じゃん?」みたいに思う人さえいる。「悪気があってやってるんじゃないのでは?」とか「自意識過剰」っていう人も必ず出てきます。

そうですね、実際西野さんの真意は知りようがないし善意でやってるのかもしれませんよ。でも、この手法をためらわず使ってる時点で、こちらとしては「自分の奴隷作りたがってるクソ野郎だ」くらいに身構えた方がいいと思います。たとえ本当は善意だとしてもあかん。むしろ悪意でやるやつよりたち悪い。 

このコミュニケーションは超効率的だからこそ、この手法つかうやつは好かんです。


西野さんがやってることの悪質さが全然わからん人は、闇金ウシジマ君の「洗脳くん」たとえばこの漫画読んだらいいと思います。胸糞悪いですが、心理的掌握って悪意をもってやればこのくらい効果的だよってのがよくわかると思います。

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オチ


冒頭でも述べた通り、西野さんのスピーチがクソであろうが、それで奮起して成果を上げられればそのほうが意味があるし西野さんのスピーチを否定したからといってそこでとどまってたり別のものに騙されていたら意味がないです。 つまり成功する人は別に西野さんのスピーチを聞いても成功するし、成功しない人はしません。ただそれだけの話です。

ただ、西野さんのスピーチに関しては、聞いたことによって悪い方向にすすむ可能性が高いので私は嫌いですし、これを素晴らしいとか言ってる人とは仲良くなれないなと思うだけです。